ボクシングのWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチが27日、東京国際フォーラムで行われ、王者の粟生隆寛(帝拳)は同級4位の挑戦者ガマリエル・ディアス(メキシコ)に0−3の判定負けを喫し、4度目の防衛に失敗した。粟生は立ち上がりから相手の右ストレートを何度も被弾。得意の左で応戦するも、ペースをつかめないまま、相手にポイントを稼がれた。王座陥落により、実現が取りざたされていたWBA世界同級王者の内山高志(ワタナベ)との統一戦は遠のき、日本人の現役王者は5人に減った。
 戦前はKO宣言していた粟生だが、最後まで挑戦者の右をさばききれず、ベルトを手放した。
 1Rからやや強引にパンチを振るう相手にペースを乱された。特に左を放とうとする際にコンパクトに繰り出される右ストレートに手こずる。3Rにバッティングで左の目の上を切ったのも視界をふさがれ、余計に右を被弾する結果になった。

 4R終了時の採点でリードを許した粟生は踏み込んで左を当てようと試みる。これが何度か挑戦者をとらえるシーンがあったが、そこへ右を合わされて攻撃が続かない。焦りからか徐々にステップが単調になり、かえって相手のパンチが当たる距離に身を置いてしまう場面も目立った。

 8R終了時でも依然として採点はディアスがリード。劣勢をはねのけたい粟生だが、31歳のベテラン挑戦者はうまく休んだり、クリンチで逃れたりと試合運びもうまかった。逆に粟生はラウンドを追うごとに流血がひどくなり、相手の右を見切れない。バランスを崩してスリップするケースも増え、かえってジャッジの印象を悪くした。

 終わってみれば2〜4ポイント差でジャッジ全員がディアスに軍配をあげた。粟生は格下相手に気負いすぎたのか、最後まで良さが見られずじまい。内山との統一戦どころか足元を完全にすくわれた。