12日、FIFAクラブワールドカップ2012の準決勝第1試合が豊田スタジアムで行われ、コリンチャンス(南米代表、ブラジル)がアル・アハリ(アフリカ代表、エジプト)と対戦した。前半、コリンチャンスはボールを支配し、相手を押し込んだ。すると前半30分、FWパオロ・ゲレーロのゴールで先制。リードを奪って試合を折り返す。後半は一転、アル・アハリの猛攻にさらされた。しかし、守備陣が体を張って1点を守り切り、大会初出場で決勝(16日、横浜国際)に駒を進めた。コリンチャンスは16日、チェルシー(欧州代表、イングランド)対モンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)の勝者と対戦する。

 ゲレーロ、値千金の決勝ヘディング弾!(豊田ス)
コリンチャンス 1−0 アル・アハリ
【得点】
[コ] パオロ・ゲレーロ(30分)
 南米王者が盤石の試合運びを見せた。前半はボールを支配し、ゴールを陥れた。一方、リードして迎えた後半は相手の攻撃を受け止めてカウンターを仕掛けつつ、逃げ切った。

 コリンチャンスは序盤、元浦和の快足FWエメルソンや、先の日本対ブラジル戦で先制ゴールを挙げたMFパウリーニョがボールに絡んでアル・アハリ守備陣を脅かした。

 相手の堅い守りになかなかシュートまで持ち込めなかったが、前半30分、ついに均衡を破る。セットプレーからゲレーロが決めた。左CKのこぼれ球をつないで、同サイドで受けたMFドウグラスが左足アウトサイドでゴール前へ。これを下がりながらも頭で合わせ、ゴール左下へ流し込んだ。その瞬間、スタジアムに詰めかけたコリンチャンスサポーターから割れんばかりの大歓声が起こった。
 前半のボール支配率は実に60パーセント。相手のシュートも1本に抑え、完全に主導権を握って試合を折り返した。

 一転して後半は攻めるしかないアル・アハリに押し込まれる展開になった。だが、南米王者は守りも一級品だった。というのも、コリンチャンスはリベルタ・ドーレス杯を史上2番目に少ない失点数(14試合4失点)で制しているのだ。サイド攻撃を仕掛けてくる相手に対し、中央をしっかりと固めてボールを跳ね返す。また、ボールはキープされたものの、全員が積極的にプレスをかけ続け、見た目ほど相手にラクをさせなかった。

 最大のピンチは後半22分、スルーパスからMFアハメド・ファティにPA内右サイドまで侵入され、シュートを打たれた。しかし、揺れたのはゴール外側のサイドネット。DFがしっかりと体を寄せていた分、相手に焦りが生じ、シュートの精度が落ちた。フリーで打たれていれば同点になっていただろう。

 窮地をしのいだコリンチャンスは、その後も押し込まれる時間帯が続いたものの、ゴールだけは割らせない。逆にカウンターからチャンスをつくり、アル・アハリの押し上げを抑制した。アディショナルタイムは5分と長かったが、最後まで集中力を保ち、虎の子の1点を守り切った。

 決勝の相手は下馬評通りなら欧州王者のチェルシーが濃厚だ。クラブW杯は5大会連続で欧州王者が優勝している。南米王者として6大会ぶりのトロフィー獲得へ。一足先に、決勝の舞台で敵を待つ。

 広島、アジア王者下して5位に

 5位、6位決定戦ではサンフレッチェ広島(開催国代表)が蔚山現代(アジア代表、韓国)と対戦した。広島は前半17分、オウンゴールで先制を許す。しかし35分、MF山岸智のゴールで追いつき試合を折り返すと、後半11分、FW佐藤寿人が勝ち越し弾。その後、再び佐藤がゴールを決めて蔚山を突き放した。終了間際に1点を返されたものの、クラブW杯史上初の日韓対決を制した。

 佐藤、全得点に絡んで勝利貢献(豊田ス)
サンフレッチェ広島 3−2 蔚山現代
【得点】
[広島] 山岸智(35分)、佐藤寿人(56分、72分)
[蔚山] オウンゴール(17分)、イ・ヨン(90分+5)

 エースが勝利に導いた。佐藤は3ゴール全てに絡み、これぞストライカーの働きぶりを示した。

 先制されたのは広島だった。前半17分、ロングボールをFWキム・シンウクにヘディングでPA内に送られ、DF水本裕貴が走り込んだラフィーニャと競り合った。水本が先に追いつき、GK西川周作へのバックパスを選択。ところが、前に出てきていた西川とタイミングが合わず、無情にもボールはゴールマウスへ。痛恨のミスに水本は唇を噛んだ。

 嫌なかたちでリードを許した広島だが、35分、佐藤が同点弾を演出する。35分、右サイドからのFKに抜け出し、ヘディングシュート。GKがかろうじて弾いたボールを山岸が右足で押し込んだ。
 1−1で迎えた後半11分には、今度は自ら勝ち越し弾を奪った。左サイドでボールを受けた山岸からのクロスに反応し、左足でゴール右下に流し込んだ。佐藤は2試合連続ゴール。得点後はGK以外の選手がベンチ前で四股を踏み、張り手を繰り出す“相撲パフォーマンス”を披露した。さらに佐藤は27分、PA内でMF高萩洋次郎からのパスを左足で叩き込み、ダメを押した。
 終了直前にDFイ・ヨンの直接FKで1点を返されたものの、直後に試合終了のホイッスル。広島が2012年シーズンの最終戦を白星で飾った。

 立役者の佐藤は「世界の舞台で自分たちのスタイルを出せた。みんなで勝ち取った世界5位」と納得の表情で大会を振り返り、続けた。
「今日のような試合をすればアジアでも勝ち抜くことができると思うので、来季はACLの舞台でも頑張りたい」
 来年もクラブW杯に出場するためにはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制するしかない。日本一の次はアジアの頂点へ。さらなる高みを目指し、広島の戦士たちはしばしの充電期間に入る。