いよいよクラブの世界一が決まる。16日のクラブW杯2012決勝(横浜国際競技場)で顔を合わせるのはコリンチャンス(南米代表、ブラジル)とチェルシー(欧州代表、イングランド)だ。コリンチャンスは2度目、チェルシーは初の世界一を狙う。果たして、どちらが世界タイトルを手にするのか――。
 昨年の決勝はバルセロナが圧倒的な強さでサントスをねじ伏せた。だが、今年は互いのスタイルが噛み合う拮抗した展開になりそうだ。

 コリンチャンスは解説者のセルジオ越後氏が在籍していたチームとして有名で、現在はエメルソン(元浦和)、ダニーロ(元鹿島)など、元Jリーガーもプレーしている。今季はクラブ創設102年目にして、初めてリベルタドーレス杯を制した。

 南米王者の特徴は、王国ブラジルのチームらしからぬ堅守だ。リベルタドーレス杯での失点(14試合4失点)は大会史上2番目に少なかった。
 中心選手がボランチのパウリーニョだ。豊富な運動量でボールを追い、球際の争いも強い。彼が相手の中盤の選手を自由にプレーさせないことで、DFラインは落ち着いた対応ができる。準決勝のアル・アハリ戦の後半はサイド攻撃から押し込まれたものの、中央をしっかりと固めて猛攻をしのぎきって見せた。

 チェルシーには代表級のアタッカーが揃っている。後手に回りすぎれば、彼らを勢いづかせる恐れがある。コリンチャンスとしては、全員がプレスをかけ続ける積極的な守備で、欧州王者を抑え込みたい。その上で準決勝のように、先行逃げ切りの展開に持ち込めるか。

 対するチェルシーは多くのタレントを抱える世界屈指のメガクラブで、昨季は悲願のビッグイヤーを手にした。ただ、今季、欧州王者はまさかの屈辱を喫した。チャンピオンズリーグ(CL)において、前回優勝チームとして初めてグループリーグ(GL)で敗退したのだ。GL第5戦を終えた時点で自力突破が消滅。その後、成績不振を理由にロベルト・ディ・マッテオを解任し、ラファエル・ベニテスを招聘したものの、決勝トーナメント進出はならなかった。

 だが、今の“ブルーズ”(チェルシーの愛称)はしっかりと立ち直っている。12月5日のGL最終戦では6ゴールを奪っての大勝。続く8日のリーグ戦も3−1と快勝して日本に乗り込んできた。勢いのそのままに、準決勝でモンテレイ(北中米カリブ海代表、メキシコ)を3−1で退け、決勝に駒を進めた。指揮官も「今は何をするべきか選手たちもわかってきているし、自信を持ってサッカーを楽しんでいる」とチームづくりが順調であることを明かした。

 準決勝で特に存在感を示したのがフェルナンド・トーレスだ。12年EURO得点王のスペイン代表FWは1−0とリードして迎えた後半1分、チームに貴重な2点目をもたらした。公式戦3試合連続で5ゴール目。さらにダメ押しの3点目も演出し、決勝進出の立役者となった。鉄壁を誇るコリンチャンスだけに、好調のF・トーレスがいかにチャンスを決めきれるかがポイントだ。

 守備陣は相手の堅守からの速攻に気をつけたい。コリンチャンスには爆発的なスピードを誇るエメルソンがいる。彼にカウンターから抜け出されれば、世界屈指のGKペトル・チェフといえども失点を覚悟しなければいけないだろう。素早く攻守を切り換え、パスの出どころを潰すことが重要だ。

 コリンチャンスが南米に6大会ぶりの世界タイトルをもたらすのか。それともチェルシーが欧州隆盛を誇示するのか。世界が注目する一戦は16日、19:30にキックオフを迎える。

【クラブW杯 最終日】
●決勝
コリンチャンス × チェルシー (19:30〜、横浜国際)

●3位決定戦
モンテレイ × アル・アハリ(16:30〜、横浜国際)