キング・カズこと三浦知良(横浜FC)の参戦が大きな話題となった昨年11月のフットサルW杯(タイ)。小宮山友祐(バルドラール浦安)はキャプテンとして日本を初めて決勝トーナメントに導いた。その小宮山に二宮清純がロングインタビュー。カズとの知られざる秘話も飛び出した。
二宮: 小宮山さんがカズのフットサル日本代表入りを知ったのはいつ頃ですか?
小宮山: (昨年の)10月上旬ですね。22日から始まる合宿に「もしかしたらカズさんが参加するかもしれない」と聞いていました。ただ、J2リーグも大事な時期でしたので、「本当だろうか」と半信半疑も部分もありました。

二宮: キャプテンとしてカズが代表に入ることについては、どんな気持ちでしたか?
小宮山: 僕はJリーグができた時、中学生でした。幼いころからの憧れの選手と一緒にフットサルをやれるのは、うれしい半面、加入によってチームがどういう状態になるのか、正直不安な思いもありました。

二宮: キャプテンということでキング・カズに対しても言うべきことは言わなければならなかったと思いますが、憧れの選手だけに遠慮もあったのでは?
小宮山: むしろカズさんが「フットサルのことは俺はわからないから、どんどん言ってくれ」と自ら言ってくれました。ある時は「代表のユニフォームでは、今までの名前や経験は関係ない。フットサル界を変えるのは君たちだから、俺に足りないことがあればどんどん言ってほしい」とまでも言ってくれたので、本当にありがたかったです。でも、偉大な方なので言葉は選びますし、最初はどこまで言っていいのか戸惑いましたね(笑)。

二宮: 「カズ!」とか言いにくかったでしょう(笑)?
小宮山: 最初はそうですね。ただ、カズさんが「カズって呼んでくれ」と。ですので、紅白戦などでは「カズ!」って呼んでいましたね。

二宮: 短期間でしたがカズと一緒にやってみて、学んだことは?
小宮山: 2つあります。ひとつは、日の丸への思いです。カズさんは長い間、サッカー日本代表としてプレーされてきましたが、約12年、そこから離れてしまいました。それでも、日の丸への思いは強かったです。カズさんは代表合宿の初日に「(今のフットサル界は)22年前のサッカー界と同じような状況だ」と言われていました。だから「代表チームが結果を出すことでフットサル界が変わっていく」と。そういう日の丸の重みも改めて教えてもらいましたね。

二宮: 現役選手で彼ほど日の丸への思いを強く持っている選手はいないでしょうね。では、二つ目は?
小宮山: 現役にこだわる姿勢です。一緒に風呂に入らせてもらう機会があったのですが、45歳の体ではないですね。無駄な肉がありませんでした。現役を長く続けられるのは、あの体があってのことだと思います。トレーニングもすごいですし、特に練習後のケアは最後まで残ってやられていました。

二宮: カズは風呂上がりにガウンを着ると聞いたことがありますが、その真偽は?
小宮山: 確かに試合後にシャワーを浴びた後はガウンを着られていました。代表チームなので、その時はアディダス製でしたね。アディダスのガウンなんて初めて見ましたよ(笑)。

二宮: アハハハ。小宮山選手は現在、33歳。37歳になる次のW杯も目指しますか?
小宮山: 本当のことを言えば、今回が最後のW杯だと考えていました。3回(04年、08年、12年)も出場させてもらったので、タイを集大成にするつもりだったんです。しかし、ベスト16で負けた悔しさや、現役にこだわることの素晴らしさをカズさんから学び、選手を続けている限りは代表を目指すべきだと思うようになりました。37歳の僕が出るよりも、若い選手が出たほうがいいという意見はあるでしょうが、選手を続ける限りは、代表にこだわりたいですね。

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