3月のWBCに臨む日本代表の強化試合が17日、サンマリンスタジアム宮崎で行われ、広島と対戦した。15日に本番に向けた合宿をスタートして初の実戦となった日本代表だが、初回に先発・田中将大が2点を失うと、5回、9回にも得点を追加され、計7失点。翻って打線は広島の若手中心の投手陣に3安打に抑え込まれ、零封負けを喫した。

 4回以降は打線音なし(宮崎)
広島       7 = 200020003
日本代表    0 = 000000000
(日) 田中−能見−山井−杉内−内海
本塁打  (広)鈴木将3ラン
「完敗でございます」
 山本浩二監督の言葉がすべてを物語っていた。自慢の投手陣が失点を重ね、打線は沈黙。どちらが日本代表なのか分からない内容で本番へ不安が出る船出となった。

 日本は左右交互にジグザク打線を組んだ。1番・長野久義、2番・鳥谷敬、3番・坂本勇人、4番・阿部慎之助、5番・内川聖一、6番・糸井嘉男、7番・中田翔、8番・稲葉篤紀、9番・松田宣浩。先発には初戦のブラジル戦での登板が予想される田中を立て、前田健太と今村猛は広島のメンバーとして出場した。

 その田中が立ち上がりにつかまる。「変化球の部分でズレがあった」と振り返った右腕は、新外国人のフレッド・ルイスにレフト前へ運ばれると、3連打を浴び、2点を奪われる。2回も先頭打者に四球を与えるなど、制球面では課題が出た。

 滑りやすいといわれるWBC公式球への対応がポイントとなる中、散々な結果に終わったのが3番手の山井大介だ。5回からマウンドに上がると、いきなり先頭の下水流昂に頭へ死球を当ててしまう。以降もコントロールがばらつき、続くバッターを四球で歩かせ、連打で2点を追加された。6回も連打と四球で無死満塁のピンチを招き、代表入りへ黄信号が灯った。

 5番手の内海哲也もボールが上ずり、9回に若手の鈴木将光に手痛い3ランを浴びた。投手陣はそれぞれWBC球で練習を重ねてきたものの、実戦を経て改めて適応が問われることになりそうだ。

 そして投手陣以上に深刻なのは打線だ。ヒットが出たのは広島側から前田、今村が投げた3回まで。4回以降は福井優也、戸田隆矢、中崎翔太ら若手に対して、まったく快音が聞かれない。明らかに狙い球とは違うボールに簡単に手を出してしまうなど淡白さが目立った。つなぎの野球を掲げる日本だけに、いかに打線を機能させるかは急務だろう。

 18日には埼玉西武と強化試合を行い、試合後に33名の候補選手から28人のWBC代表メンバーを決定する見込みだ。