WBCに臨む日本代表の壮行試合が24日、京セラドーム大阪で行われ、前日に続き、オーストラリア代表と対戦した。この日の日本は打順の組み替えが当たり、初回に2点を先行すると、13安打10得点。投げては先発の前田健太が3ランを浴びたものの、以降は継投で無失点に抑え、快勝した。日本は今度は26日に阪神と強化試合を実施する。

 2番・松井、逆転打含む4打点(京セラドーム)
日本代表      10 = 200302030
オーストラリア代表 3 = 003000000
(オ) ローランドスミス−●サール−ソーポルド−タナー−リンゼイ−ワイズ
(日) 前田−○沢村−森福−攝津−今村−山口
本塁打 (オ)ヒューズ3ラン
 2試合で7安打と不安視された打線が、3試合目でようやくつながった。
 山本浩二監督はこの試合、1番に坂本勇人、2番に松井稼頭央、3番に内川聖一、5番に長野久義を入れる新オーダーを組んだ。さらに8番には角中勝也を起用した。

 この打順を“打線”に変えたのは新たにスタメンに入れた松井と角中だろう。松井は初回、四球で歩いた坂本を、きっちりと送り、得点圏へ走者を進めた。ここで3番に打順が上がった内川がセンター前へはじき返すタイムリー。侍ジャパンが幸先よく1点を先制する。

 内川がスチールを決めて二塁を奪えば、長野が詰まりながらもライト前へ運び、ホームへ迎え入れる。これまでは見られなかった機動力も駆使し、立ち上がりから攻撃が機能した。

 さらに2−3と逆転を許した直後の4回には、1死から中田翔がヒットで出塁したところを、角中がバットを短く持ってライトへ引っ張り、チャンスを拡大する。相手のエラーもあって2死満塁となり、打席に入ったのは松井。37歳のベテランは低めに落ちる変化球をうまくすくい上げると、打球はライトの右へ飛んだ。走者一掃のタイムリー三塁打。5−3と再逆転を果たし、ベンチは大いに沸いた。

 6回には角中がまたもライトへのヒットでチャンスをつくる。オーストラリアの内野守備の乱れで一、三塁と走者が得点圏へ進み、迎えた坂本がしっかり犠牲フライをあげた。さらに二塁へ走者を置いて、松井が2打席連続のタイムリー。7−3とリードを広げ、試合の流れを完全にモノにした。

 8回にも3点を追加し、終わってみれば2ケタ安打の2ケタ得点。スタメンでは9番の松田宣浩を除き、全員がヒットを放った。松井は2安打4打点。角中は2安打1四球で3度出塁し、いずれも得点につながった。また新3番の内川が3安打3打点と中軸の役割を果たし、広島戦、前日のオーストラリア戦と快音が聞かれなかった坂本にもようやく1本が出た。

「打順を替えた打者が仕事をした」と試合後の山本浩二監督もホッとした様子だ。攻撃は水物とはいえ、犠打や盗塁が効果的に得点につながり、日本らしいかたちがみえてきた。

 一方、投手陣では右肩への不安を残す前田健太が先発。復調を感じさせつつも、決して本調子ではない内容だった。初回こそ三者凡退で押さえる立ち上がりだったものの、2回には先頭のステファン・ウェルチにライトフェンス直撃の二塁打を放たれた。

 山本監督が「3回50球で球が抜け始めた」と評したように、3回はボールに抑えがきかず、連続四球でピンチを招く。2死から3番ルーク・ヒューズにはレフトスタンドへ運ばれ、3ランで逆転を許した。球速自体は140キロ台が出ていたとはいえ、簡単に長打を浴びたのは、まだ本来のボールではない証拠だろう。

 この日投げた中では攝津正がリリーフで登板し、1回をパーフェクトに封じた。彼に長いイニングを任せるのもひとつのプランだ。1次ラウンドでは2戦目の中国戦で先発予定だが、先の戦いを考えればマエケンに無理をさせるべきではないかもしれない。 

(石田洋之)