ボクシングのWBA世界バンタム級タイトルマッチが7日、大阪BODYMAKERコロシアムで行われ、王者の亀田興毅(亀田)は挑戦者の同級8位パノムルンレック・カイヤンハーダオジム(タイ)に2−1の判定で勝ち、6度目の防衛に成功した。亀田は常に先手をとって攻めてくる挑戦者に苦戦。接近戦で応戦したものの、攻撃が単発で続かない。ジャッジが割れる中、有効打の数で辛くも勝利を収めた。
 勝つには勝ったが、試合後の王者は敗者のような表情だった。
「ホンマに申し訳ない。今日は何も言うことない」
 観客に向かって深々と頭を下げて謝罪した。ジャッジは1者がパノムルンレックを支持。亀田を支持した2者もポイント差はわずかに1〜2ポイントだった。

 2度の挑戦者変更があり、パノムルンレックとの対戦が決まったのは3週間前。しかも相手は亀田が唯一敗れたポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)と同じ、苦手なサウスポーだった。対策に時間がとれなかったとはいえ、それは相手も同じことだ。

 立ち上がりから先にジャブを突いてくるタイ人に対し、完全に後手に回った。2Rからは距離を詰めて打ち合いに転じたが、サウスポー同士で相打ちとなり、決定打にはならない。3Rには鼻からの出血が見られ、明らかに見栄えは悪かった。

 亀田はボディ打ちで相手の体力を奪いにかかるものの、先に先に攻めてくるパノムルンレックの圧力に屈し、ズルズルと後退してしまう。カウンターを狙ってロープを背にする場面も多かった。一発を狙おうとするあまり、手数が少なくなるのも悪い癖だ。左ストレートはたびたび入っても、そこから2発3発と畳み掛けられない。

 11Rには逆にロープ際に追い詰められてラッシュをかけられ、クリンチで逃れる場面も。最後まで主導権を握れないまま、12Rを終えた。パノムルンレックにも決め手はなく、それに救われたかたちだ。戦前にはKOラウンドを予告して圧勝を宣言していたが、倒せる雰囲気は全くなかった。

「アカンものはアカン」と本人も不本意な試合だったことは自覚している。今後はひとつ下のスーパーフライ級で4階級制覇への挑戦も視野に入れているという。ただ、この内容では周囲は真の王者としては認めてくれない。