Jリーグ20周年を記念するパーティーが17日、都内のホテルで開かれた。会場には大東和美チェアマンに加え、現日本サッカー協会(JFA)最高顧問で初代チェアマンの川淵三郎氏ら歴代チェアマンが顔を揃え、大仁邦彌JFA会長やJリーグの創生期に貢献したジーコ氏など約1100人が駆けつけた。またJリーグは、ファン・サポーターなどの投票による「Jクロニクルベスト」を発表。ベストゴールにはレオナルド(鹿島)の1995年の横浜フリューゲルス戦での得点が輝き、ベストマッチには2006年のJ1最終節、埼玉スタジアムで開催された浦和レッズ対ガンバ大阪の試合が選ばれた。またベストイレブンには、三浦知良(横浜FC)、遠藤保仁(G大阪)中村俊輔(横浜FM)らを選出。最多得票はFW部門で1位に入った三浦の5852票だった。
(写真:左から鬼武氏、大東氏、川淵氏、鈴木氏の歴代チェアマン)
 パーティーに先立って行われた記者会見では、初代川淵氏、2代目鈴木昌氏、3代目鬼武健二氏、現4代目の大東氏の歴代チェアマンが出席した。川淵氏は「91年にJリーグを法人化した時の(会見の)ことを思い出します。その時はもっと記者の方がいたけど」とジョークを交えて、感慨深げに語った。当時はチェアマンという役職も浸透していなく、記者から説明を求められたという。川淵氏は「この1年間の私がやる仕事を見てください」と答えたそうだ。今や、チェアマンという名称、そしてJリーグが地域に根ざすことは浸透してきた。川淵氏は「これだけ発展するとは夢にも思わなかった。(はじめた当初は)“10年後に16チームになるだろう”くらいだった」と振り返るが、10チームで始まったJリーグは現在、40チームにまで広がった。Jの生みの親とも言える川淵氏は「現状には十分満足している」と胸を張った。

 川淵氏のあとを継いだ鈴木氏は、Jリーグ20周年のキャッチコピー「20周年、ありがとう」になぞらえ、「まさに“ありがとう”という気持ちです。皆さんの協力でここまできた」と感謝の意を表した。3代目の鬼武氏は「つぶさんようにせんといかん」と、継続に尽力した。挨拶の最後を引き継いだ大東氏は「誰もがひとつの理念にブレないでやってきた。5月15日にJリーグが開幕して20周年を迎え、間違いじゃなかったと確信した」と、まとめた。

 この日、Jリーグ20周年を記念して企画した「Jクロニクルベスト」が発表された。ベストゴールに選ばれたのは、鹿島で活躍したレオナルドの95年11月の横浜フリューゲルス戦での得点。それは“貴公子”の名にふさわしく優雅で美しいショーだった。ペナルティエリアすぐ外、ゴール正面の位置で味方の横パスを受けたレオナルドは、左足でふわりとボールをすくってDFをかわす。さらにゴールを阻止しようと、詰めてくるDFたちをあざ笑うかのようにリフティングでボールをキープ。最後はボレーシュートをゴール左に突き刺した。ゴールマウスを守っていたGK楢崎正剛は一歩も動けず、それを見送るだけだった。

 ベストマッチには優勝争う2チームによって行われた06年の最終節だ。“オリジナル10”の浦和対G大阪。どちらが勝っても初の年間優勝という大一番に、浦和の本拠地埼玉スタジアムには、6万2241人の大観衆がつめかけた。J史上最多の観客動員を記録した天王山は、浦和が3−2で競り勝ち、初の栄冠を手に入れた試合である。

 ベストイレブンには、三浦知良、遠藤保仁、中村俊輔ら今も現役でプレーする5名と、中田英寿、中山雅史らJ史を彩ったOB6名が選ばれた。最多得票は、日本サッカーの顔・キングカズこと三浦だ。本人は「積み重ねたものが評価されて、あとは20年ピッチに立ったご褒美も含めて、サポーターの人からの投票はうれしいです」と喜んだ。これまでの20年を振り返って、「あっという間でした」と選手として駆け抜けた感想をそう表現した。報道陣からの「Jリーグで一番印象に残っているプレーは?」との問いに「みんなが全力を尽くした全試合が、やはりみんなの心に残っているんじゃないかな」と、常に全力プレーを心がける“お手本”らしい答えで返した。

 Jリーグの発展の功労者・ジーコ氏は「日本の進歩、進化は彼(カズ)からはじまった」と褒め称えた。現在もピッチに立ち続ける46歳に対し、「執念、情熱が維持てきている。彼にしかできないこと」と“神様”は“王様”を賛美した。自身も40歳を超えて、Jリーグの舞台で躍動した。「あの頃はリラックスしてプレーができて、昔は余裕があった」と語ったが、20年前の開幕戦ではハットトリックを達成するなど、鹿島のファーストステージ優勝に貢献。ブラジルの英雄は、老いてもなお存在感を発揮した。20周年を迎えたJリーグについて、「これだけの進化をした(Jリーグの)土台を築けたこと、それを祝えることに感激しています」と語った。
(写真:時折、ポルトガル語を交えながら談笑した)

【Jクロニクルベスト】
◇ベストゴール◇
レオナルド(鹿島)
1995年11月1日 Jリーグ NICOSシリーズ第19節 鹿島アントラーズvs.横浜フリューゲルス(県立カシマサッカースタジアム)

◇ベストマッチ◇
2006年12月2日 Jリーグ ディビジョン1第34節 浦和レッズvs.ガンバ大阪(埼玉スタジアム)

◇ベストイレブン◇
GK 川口能活(ジュビロ磐田)
DF 松田直樹(横浜F・マリノス)
   中澤佑二(横浜F・マリノス)
   井原正巳(浦和レッズ)
MF 遠藤保仁(ガンバ大阪)
   中田英寿(ベルマーレ平塚)
   中村俊輔(横浜F・マリノス)
   名波浩(ジュビロ磐田)
FW 三浦知良(横浜FC)
   中山雅史(コンサドーレ札幌)
   ストイコビッチ(名古屋グランパスエイト)
※所属は現所属またはJリーグ最終所属
(写真:ポスターに映る20年前の自分と肩を並べる)