21日、東アジアカップ2013で初戦がソウルワールドカップスタジアムで行われ、日本代表が中国代表と3−3で引き分けた。日本は前半5分、MFワン・ヨンポにPKを決められた。前半のうちに同点に追いつくと、後半14分、FW柿谷曜一朗のゴールで逆転。直後にMF工藤壮人が追加点を決めた。しかし、36分に再びワン・ヨンポにPK弾を献上。42分にはMFスン・ケーに同点弾を奪われた。日本は25日、オーストラリア代表との第2戦に臨む。

 柿谷、1G1Aも実らず(ソウルワールドカップスタジアム)
日本代表 3−3 中国代表
【得点】
[日] 栗原勇蔵(34分)、柿谷曜一朗(59分)、工藤壮人(61分)
[中] ワン・ヨンポ(5分、81分)、スン・ケー(87分)
 ほろ苦い代表デビューとなった。初のA代表選出となった柿谷が、1ゴール1アシストのパフォーマンスを披露した。しかし、決定機を外すなど、精度を欠く場面も見受けられ、チームを勝利に導くことはできなかった。

 試合は開始早々に動いた。前半5分、DF栗原勇蔵がPA内でFWユ・ターパオを倒してPKを与えてしまう。これをワン・ヨンポにゴール左下へ決められた。日本が出鼻をくじかれるかたちとなった。

 日本はワントップに入った柿谷にボールを集めようとした。しかし、準備期間が2日間しかなかったこともあり、連係ミスからパスカットされる場面が多く見受けられた。球際の争いでも体格で勝る中国になかなかボールをキープできなかった。

 ただ、技術で上回る日本は徐々にボールポゼッションを高めていく。前半19分、MF原口元気が工藤のクロスに右足ボレーで合わせた。これはGKに防がれたものの、初めて決定的なチャンスをつくりだした。
 同点弾が生まれたのは33分だった。左CKが相手に当たってこぼれたボールを工藤が頭で中央に折り返す。これを栗原がダイビングヘッドでゴールに押し込んだ。PKを与えてしまったミスを取り返すための気迫のこもったプレーだった。
 42分には、ユ・ターパオにPA内に侵入されてシュートを打たれたが、GK西川周作が左手1本で弾き出すファインセーブ。1−1のまま試合を折り返した。

 日本は後半に入ると、連動性が見え始め、ピッチを広く使った攻撃のかたちをつくりだした。後半12分、左サイドで受けた原口が中央へ切れ込んでから右足のミドルシュート。ゴール上へ外れたものの、積極的にゴールに向かう姿勢を示した。

 すると14分、柿谷が見せた。DF槙野智章が左サイドへのスルーパスに反応して左足でニアサイドにクロス。このボールを頭で逸らしてゴール右へ流し込んだ。A代表デビュー戦での初ゴールは史上26人目。今季、Jリーグで10得点を挙げている決定力の高さを示した。逆転の余韻が残る中、柿谷が3点目を演出する。左サイドから中央にカットインしながらPA内に入り込むと、相手DF3人を引きつけて右前方へスルーパス。フリーとなっていた工藤が右足でゴール左へ沈めた。

 さらに柿谷にチャンスが続く。19分、後方からのロングパスに抜け出すとGKと1対1に。しかし、ドリブルにタッチが大きくなり、GKにキャッチされた。結果的に、このダメ押し点を奪い切れなかったことが、大きく響いた。

 日本は中盤以降、反撃に出た中国の勢いに押し込まれた。両サイドを深いところまで突かれるかたちが増えた。そんな36分、中国に1点を返された。相手シュートがクロスバーを直撃。跳ね返ったボールをDF駒野友一がクリアに行ったプレーが、FWチャン・シチェに対するファールをとられた。この試合2本目のPKを再びワン・ヨンポに決められた。

 日本はさらに勢い付く中国を押し返せない。42分、左サイドからのクロスを、逆サイドから走り込んだスン・ケーに右足ボレーで合わされた。この場面、直前に治療でピッチを離れていたセンターバックの栗原と左サイドバックの槙野がポジションを入れ替えていた。その影響でマークの受け渡しが遅れ、左サイドバックとセンターバックの間に入り込まれるかたちとなった。

 その後、再逆転を狙った日本だが、決定機をつくるには至らず、3−3のままタイムアップ。惨敗を喫したコンフェデレーションズカップからの仕切り直しの一戦は、後味の悪い結果となった。

「気候が味方してくれなかった。中国がフィジカルを前面に出してくる中で、我々は技術と素早いパス回しで対抗しようとしたが、気候がそれを許してくれなかった」
 アルベルト・ザッケローニ監督は蒸し暑さで思うようなプレーができなかったことを嘆いた。そして、「柿谷がGKと1対1になったところで4点目を決められれば」ととどめをさし切れなかったことをドローの要因に挙げた。決して柿谷だけの責任ではないが、決定機を決めないと相手に流れが傾くということを指揮官は言いたかったのだろう。

 柿谷の局面を打開できるドリブルは、これまでの日本のワントップにはなかった武器だ。次のオーストラリア戦では自身の持ち味を発揮した上で、試合を決めるゴールをもぎ取りたい。

<日本代表出場メンバー>

GK
西川周作
DF
駒野友一
栗原勇蔵
森重真人
槙野智章
MF
山口螢
青山敏弘
→高橋秀人(66分)
工藤壮人
高萩洋次郎
原口元気
→齋藤学(72分)
FW
柿谷曜一朗
→大迫勇也(88分)