23日、日本代表MF香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドが横浜F・マリノスと日産スタジアムで対戦し、2−3で敗れた。マンUは開始直後に先制点を奪われたが、前半19分にMFジェシー・リンガード、30分にオウンゴールで逆転。2−1とリードして試合を折り返した。しかし、後半4分、DFファビオに同点弾を許すと、42分にはFW藤田祥史に決勝ゴールを決められた。注目の香川は後半16分から出場したものの、ゴールを挙げることはできなかった。マンUは26日にセレッソ大阪との親善試合に臨む。

 香川、決定機迎えるも不発(日産スタジアム)
横浜F・マリノス 3−2 マンチェスター・ユナイテッド
【得点】
[横浜FM] マルキーニョス(1分)、ファビオ(49分)、藤田祥史(87分)
[マンU] ジェシー・リンガード(19分)、オウンゴール(30分)
「見に来てくれた人に申し訳ない」
 香川に笑顔はなかった。マンUの一員として初の日本凱旋。しかし、チームは敗北を喫し、自身もチャンスを決めきれなかった。

 香川は前日にチームに合流したこともあり、ベンチスタートとなった。それでも、昨季のプレミアリーグ得点王FWロビン・ファンペルシやフランス代表DFパトリス・エブラなど、世界屈指の選手を揃えるマンUがどんなサッカーを見せるのかに注目が集まった。

 しかし、観客を先に驚かせたのは横浜FMだった。開始約30秒、マルキーニョスがPA手前からミドルシュート。これはGKダビド・デ・ヘアが弾いたが、こぼれ球を再びマルキーニョスに左足ボレーで合わされた。強烈なシュートがゴール右下へ突き刺さった。電光石火の先制劇に会場にどよめきが起こった。

 マンUは横浜FMの連動した守備になかなか攻撃のかたちをつくれなかったものの、個人の力で打開を図った。10分、左サイドバックのエブラがゴール前にクロス。DFに当たってこぼれたボールをMFアドナン・ヤヌザイが左足で狙ったが、わずかにゴール上へ外れた。
 同点に追いついたのは19分だった。MFウィルフレッド・ザハが右サイドを突破し、ゴール前にグラウンダーのパス。DFに当たってルーズになったボールをリンガードが押し込んだ。30分にはヤヌザイの左サイドからのFKがDF田代真一のオウンゴールを誘発した。

 2−1とリードして後半に入ると、ついに香川が動き出した。ウォーミングアップのためにゴール裏へ向かっただけで、スタジアムが沸いた。だが後半4分、ファビオにCKから頭で同点弾を叩き込まれ、試合は再び振り出しに戻った。

 勝ち越しゴールを狙うべく16分、ついに香川が赤いユニホームを身に纏ってピッチ横にスタンバイ。満を持して登場した背番号26に向かって6万5372人が詰めかけたスタンドからは一斉にフラッシュがたかれた。

 すると22分、香川にチャンスが訪れた。PA手前でパスを受けると、細かいボールタッチでエリア内へ。会場の歓声が一気に大きくなったが、シュートはGKの正面を突いた。

 決定機を逃した香川は、その後も前線でボールを受けようとするが、逆に横浜FMにボールを支配される時間が続いた。40分には、カウンターからFWアシュリー・ヤングが左サイドに抜け出し、ゴール前の香川にラストパス。しかし、これは香川に渡る寸前でGKにキャッチされてしまった。マンUは3点目が遠かった。

 すると43分、横浜FMに決勝点を奪われた。PA内でドリブルを仕掛けたFW端戸仁をDFが止めたものの、こぼれ球が藤田のもとへ。これを左足でゴール右に蹴り込まれ、土壇場で勝ち越しを許した。5分のアディショナルタイムが与えられ、香川を中心に最後まで同点弾を狙ったが試合はそのままタイムアップ。マンUにとってアジアツアー2敗目となった。

 香川は繊細なボールタッチでゴールに迫るなど、随所にらしさは見せた。だが、決定機をモノにできなかったことは課題だ。前線の選手にとって首脳陣への一番のアピールとなるのは、ゴールという目に見える結果だ。「どんどんアピールして、戦っていきたい」と語った香川。26日の古巣・C大阪戦では、しっかりとゴールを決めて観客を沸かせる。