23日、日本代表MF香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドがセレッソ大阪と長居スタジアムで対戦し、2−2で引き分けた。マンUは序盤から攻勢を仕掛けたものの、ゴールは奪えない。逆に前半34分、C大阪のFW杉本健勇に先制ゴールを決められた。ただ後半9分、香川が古巣相手に同点弾。18分にC大阪のMF南野拓実に勝ち越し弾を許したものの、終了間際、FWウィルフレッド・ザハのゴールで追いついた。先発出場の香川は後半13分までプレーした。

 18歳・南野、圧巻ミドル弾(長居スタジアム)
セレッソ大阪 2−2 マンチェスター・ユナイテッド
【得点】
[C大阪] 杉本健勇(34分)、南野拓実(63分)
[マンU] 香川真司(54分)、ウィルフレッド・ザハ(90分+1)
 かつてのホームグラウンドで結果を出した。香川は序盤からボールに絡むと幾度もチャンスを演出。自身もゴールを奪って、古巣のファンに成長した姿を示した。

 前半6分、香川は相手陣内でパスを受けると、PA内に走り込むFWロビン・ファン・ペルシにスルーパス。通ったかに思われたが、ファン・ペルシはDF2人に挟まれてシュートは打てなかった。

 香川は12分にもチャンスを演出した。中央をドリブルで攻め上がり、PA内右サイドにパスを送る。受けたファン・ペルシがGKと1対1からループシュートで狙ったが、これはGKキム・ジンヒョンの体に当たり、またもゴールにはならなかった。しかし、香川は積極的にボールを受けてはドリブルやパスから攻撃のリズムをつくりだしていた。

 押し気味に試合を進めていたマンUだったが、前半34分、ミスから先制点を喫してしまう。DFクリス・スモーリングがPA手前で南野にボールを奪われ、拾った杉本に左足でゴールに流し込まれた。世界的強豪からの得点に、C大阪がサポーターが沸いた。

 追いつきたいマンUは40分、香川が絶好のチャンスを迎えた。FWウェルベックがPA外から強烈なミドルシュート。ゴール左ポストに当たってこぼれたボールに反応したファン・ペルシは中央へ折り返す。フリーになっていた香川が右足で合わせたものの、ボールがバウンドしていたこともあり、シュートはゴールのはるか上へ。長居スタジアムが大きなため息に包まれた。結局、前半のうちに追いつくことはできなかった。

 Jクラブに連敗するわけにはいかないプレミアリーグ王者は、後半開始から猛攻を仕掛けた。7分、FWアシュリー・ヤングがPA内にドリブルで侵入したところを倒され、PKを獲得した。PKのボールをセットしたのは背番号26。大きく息を吐いてから右足でゴール左を狙ったが、シュートはキム・ジンヒョンの横っ飛びのファインセーブに防がれた。まさかのPK失敗に香川は天を仰いだ。

 しかしその直後、香川に3度目のチャンスが到来した。MFライアン・ギグスのPA内左からパスをニアサイドで受ける。反転しながら左足で打ったシュートが背後にいたDFとGKの股下を抜けてゴールに吸い込まれた。3度目の正直で決めた凱旋弾に、香川は大きくガッツポーズ。13分にベンチへ退く時には、4万4856人の大観衆から大きな拍手が送られた。

 勢いに乗って逆転といきたかったが、後半18分、ポスト香川との呼び声が高い南野にゴールを奪われた。左サイドから中央にカットインされ、PA手前から右足でゴール右上へ突き刺された。

 マンUは同点を狙い猛攻を仕掛けるが、フィニッシュの精度を欠いて得点につながらない。1点ビハインドでアディショナルタイムに突入し、そのまま試合終了かと思われた。だが、左サイドを崩すと、香川と交代でピッチに入っていたザハが起死回生の同点弾。何とかドローに持ち込んで、対Jクラブ連敗を回避した。

「自分を外に出してくれ、苦しいJ2時代もともに戦ったチーム。そのチームとユナイテッドの一員として戦えたことを誇りに思う」
 香川は凱旋マッチの感想をこう述べた。23日の横浜F・マリノス戦では後半途中からの出場で目立った活躍はできなかった。しかし、この日はチームのエンジンとして攻撃を活性化。ゴールという結果も残し、首脳陣に存在をアピールした。

 8月のプレミアリーグ開幕に向けて、マンUは今後も香港やスウェーデンのクラブらとプレーシーズンマッチを行う。香川はさらに活躍してレギュラーを確保することが当面の目標だ。「もう戦いは始まっている。マンチェスターに帰ってからも勝負は続く」と意気込んだ日本のエースが、勝負の2年目へギアを上げる。