今季、連覇を達成したカープは2年続けて優勝パレードを行った。パレードの舞台は平和大通り。晴天に恵まれ、30万3000もの人々がカープの選手たちを祝福した。

 

 カープが初めて優勝パレードを行ったのは、球団創設26年目にして初優勝を遂げた1975年秋のことである。この時も30万人を超える人々が集まった。

 

 当時の広島市の人口は約85万人。つまり市民の3分の1以上がパレードを目に焼きつけたのである。

 

 その2年後、平和大通りと平和記念公園周辺をメイン会場に「ひろしまフラワーフェスティバル」が行われるようになった。

 

 初開催の1977年には3日間で125万人がこの祭りに参加した。カープの優勝が観光産業創出の萌芽となったのである。

 

 フラワーフェスティバルは毎年、5月3日から5日までの3日間、「平和」をテーマに開催される。ゴールデンウィーク中に開催される祭りとしては福岡の博多どんたくや弘前のさくらまつりと並ぶ集客を誇る。

 

 私が知る限りにおいて、スポーツチームの優勝パレードが、毎年恒例のフェスティバルに発展した例は他に知らない。海外でも例を見ないのではないだろうか。

 

 パレードは老若男女、誰もが参加することができる。喜びを公平に分かち合うことができる。カープファンは3年連続の優勝パレードに期待している。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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