21日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦が日立柏サッカー場で行われ、柏レイソルがアルシャバブ(サウジアラビア)と1−1で引き分けた。前半、柏は序盤からボールを支配。21分には、FW工藤壮人が先制ゴールを奪った。しかし、その後はアルシャバブに主導権を握られ、44分、MFフェルナンド・メネガッゾに同点弾を決められた。柏は後半、相手の攻勢をしのいで終盤にチャンスをつくったが、勝ち越すことはできなかった。第2戦は9月18日、アルシャバブのホームで行われる。

 工藤、先制弾も勝ち越しチャンス生かせず(柏)
柏レイソル 1−1 アルシャバブ(サウジアラビア)
【得点】
[柏] 工藤壮人(21分)
[ア] フェルナンド・メネガッゾ(44分)
 満員のサポーターに勝利を届けることはできなかった。柏は先制しながらもペースを握り切れなかった。アウェーゴールを奪われ、準決勝、そして12月のクラブW杯(モロッコ)出場へ黄信号が灯った。

 序盤は積極的に前へ出てきた相手の攻撃をうまくいなし、ショートカウンターからゴールを狙った。前半12分、DF橋本和がパスカットから左サイドを駆け上がり、クロスを上げる。相手DFに当たってコースが変わったボールを、MFレアンドロ・ドミンゲスが右足ダイレクトで合わせた。シュートはわずかにゴール右へ外れたが、シンプルな攻撃でいいかたちをつくった。

 迎えた21分、待望の先制点を奪った。決めたのは工藤だ。FKからのこぼれ球を、PA手前から右足インサイドでゴール右へ流し込んだ。これで工藤はACLで4試合連続ゴール。頼れるエースが試合の均衡を破った。

 柏はこのまま主導権を握りたかったが、高い個人技で攻め込んでくる相手に苦しんだ。29分、PA内でスルーパスを受けたFWナイフ・ハザジが後方にヒールパス。走り込んできたMFラフィーニャに左足でシュートを許した。これはGK菅野孝憲がパンチングで防いだものの、完全に守備組織を崩されていた。

 すると1−0のまま試合を折り返すかに思われた44分、同点弾を許した。相手の右CKがPA内でこぼれたところを、メネガッゾに左足でゴール左上に叩き込まれた。

 嫌なかたちで追いつかれた柏は、後半開始からワントップのFWクレオに代えてMF狩野健太を投入。狩野を右MFに入れ、工藤をワントップへと移した。

 勝利して第2戦に臨みたい柏は、後半は立ち上がりからボールを支配してアルシャバブゴールに迫った。しかし、しっかりと組織を築く相手守備陣の前になかなかシュートまで持ち込むことができない。逆に10分、カウンターを仕掛けられて、MFマクネリー・トーレス、ラフィーニャとつながれ、最後はPA内でフリーとなっていたハザジへ。フリーでシュートを打たれたが、ボールはゴール右へ外れた。

 いいかたちをつくれない柏は、“魔術師”と言われるネルシーニョ監督が積極的な交代策で攻撃の活性化を図る。20分、右サイドバックのDF藤田優人からDFキム・チャンス、34分にはレアンドロ・ドミンゲスに代えてMF澤正克が投入された。

 それでも、アウェーゴールを奪っているアルシャバブにボールをキープされ、攻撃のかたちをつくることができない。前がかりになった42分には、速攻からトーレスにクロスバー直撃のシュートを打たれた。

 柏が再び攻勢を強めたのは4分のアディショナルタイムに入ってからだ。澤がPA内左サイドへのパスに抜け出して中央へ折り返す。これを工藤が左足で合わせた。しかし、シュートはGKのファインセーブに防がれてしまった。この後も立て続けにセットプレーのチャンスを得たものの、ゴールにはつなげられなかった。

「先制してからも主導権を握ればよかったが、相手のペースに合わせてしまった」
 工藤はこのように試合を振り返った。自身は先制弾を挙げたものの、終盤の決定機をモノにできなかった。工藤は「フィニッシュの部分など、細かい部分を修正していきたい」と課題を口にした。

 柏が準決勝に進むためには、第2戦を勝利するか2−2以上の引き分けに持ち込む必要がある。「日本の代表として熱く戦いたい」と気合を入れた工藤。自身のゴールで、クラブW杯へ再び青信号を灯せられるか。