29日、日本サッカー協会は、9月に行われるキリンカップ2013に出場する23名の日本代表を発表した。本田圭佑(CSKAモスクワ)、香川真司(マンチェスターU)ら海外組は11名を招集。14日のウルグアイ代表戦に出場した柿谷曜一朗(C大阪)は引き続き選出され、柿谷を含む国内組は12名が入った。東アジアカップで結果を残し、Jリーグでも好調の大迫勇也(鹿島)が復帰した一方で、代表常連組の前田遼一(磐田)らは選ばれなかった。日本代表は6日にグアテマラ代表と大阪・長居スタジアムで、10日はガーナ代表と横浜・日産スタジアムで対戦する。
 日本代表アルベルト・ザッケローニ監督は、9月の2連戦を次のように位置づけた。「成長のために大切な舞台」。これまでのW杯予選でも育成と勝利の両立を目指していた。だが、最終的には結果を優先し、メンバーはほぼ固定して戦ってきた。指揮官は「(これからは)成長に比重をおいていきたい」とW杯本戦に向けて、チームづくりのシフトチェンジを改めて明言した。

 ザッケローニ監督の言葉どおり、今回のメンバーには育成を重視した選手がセレクトされた。大迫と齋藤学(横浜FM)である。ともに7月の東アジアカップで代表デビューを果たしたいわゆる“東アジアカップ組”だ。指揮官は「リーグ戦の活躍は著しいし、引き続き成長していると見えた。チャンスを与えるのもいいかなと思う」と2人の招集理由を明かした。

 大迫は直近のリーグ戦で3試合5得点と上り調子だ。指揮官は「(ペナルティ)ボックス内に入ってくる動き、フィジカルの強さとダイナミズム。ポストプレーの巧さ、柔軟性もある」と万能型FWとしての能力を高く評価。齋藤については「1対1での仕掛けの怖さを持っている。オフ(ザ・ボール)での相手DFラインの裏へ走り込むことができ、非常に運動量もある選手」と、サイドアタッカーとしての資質を称賛した。

 また守備にも労を惜しまない大迫と齋藤は「(代表は)攻守両面でチームに貢献できる選手が来るべきところ」と語る指揮官の基準にも当てはまる。展開によっては2人同時の起用もあるかもしれない。

 一方で、ここ7試合19失点と機能していない守備陣には、新戦力の招集はなかった。
「心の底から信用している。世界中から選手を獲ってもいいと言われれも、あまり変えたくない」。ザッケローニ監督は守備陣への厚い信頼を口にした。大量失点については「いち選手や、DFだけの責任ではない。他のパートとのからみも考慮すべき」と準備期間の短さやコンディション不良なども要因とした。解決策としては最終ラインだけでなく、中盤や前線の選手と連動させることを挙げた。W杯に向け、「守るための守備ではなく、攻撃につなげるための守備」の成熟を目指す。

 昨日行なわれたJリーグでは、各地にスタッフを派遣し、視察を行った。そこでは日本人FWたちが軒並みゴール奪うなど結果を残した。ザッケローニ監督は「Jリーグの選手には感謝したい。よくやってくれているし、今回のメンバー選考も苦労した。呼べなくて残念な選手もいた」と、嬉しい悲鳴を上げている。その上で「メンバーを固めるのは5月以降。柱となる部分は、年内に固まってくるだろうが、最後の最後まで選手には扉が開かれている」とメッセージを送った。W杯まで約10か月――代表生き残りをかけた戦いから目が離せない。

<日本代表メンバー23名>

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
今野泰幸(ガンバ大阪)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
長友佑都(インテル・ミラノ)
森重真人(FC東京)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(ハノーファー96)
酒井高徳(VfBシュツットガルト)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
長谷部誠(VfLヴォルフスブルク)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
清武弘嗣(1.FCニュルンベルク)
山口螢(セレッソ大阪)
FW
岡崎慎司(1.FSVマインツ05)
香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
齋藤学(横浜F・マリノス)
工藤壮人(柏レイソル)
大迫勇也(鹿島アントラーズ)