11日、欧州遠征中の日本代表はセルビア・ノビサドのカラジョルジェスタジアムでセルビア代表と対戦し、0−2で敗れた。前半、日本はホームのセルビアに押し込まれる時間帯が長かった。前半終盤にはチャンスを迎えたものの、決めきれず、0−0で試合を折り返した。後半は日本ペースで進んでいたが14分、FWドゥシャン・タディッチに先制点を奪われた。その後、反撃を試みるもゴールが遠い。逆に終了間際、MFミロシュ・ジョジッチに追加点を決められた。敗れた日本は15日、ベラルーシ代表と対戦する。

 攻撃陣不発、9試合ぶり無得点(セルビア・ノビサド)
セルビア代表 2−0 日本代表
【得点】
[セ] ドゥシャン・タディッチ(59分)、ミロシュ・ジョジッチ(90分+1)
「うちのいいところ、悪いところが出た」
 アルベルト・ザッケローニ監督はこう試合を振り返った。いいところは多くのチャンスを作りだした点。悪いところは、そのチャンスを決めきれなかったことだ。

 開始10分は、MFデヤン・スタンコビッチのためにあった。スタンコビッチはこの試合が代表での引退試合。この試合で国際Aマッチ通算103試合となり、同国代表の歴代最多記録を塗り替えた。セルビアの英雄の最後を飾るため、両チームともに激しい競り合いはなかった。迎えた前半9分、審判が笛を吹き、スタンコビッチは交代を告げられた。試合は一時中断され、両チームの選手が花道をつくり、スタンコビッチを送り出す。観客はピッチを去る背番号10を、スタンディングオベーションで見送った。

 その後、“本当の試合”が始まった。日本は相手のシンプルな攻撃に押し込まれた。24分、DF吉田麻也が裏に入れられたロングボールをクリアし切れず、PA内右にこぼれた球をFWフィリップ・ジョルジェビッチに拾われてクロスを上げられた。ファーサイドでFWゾラン・トシッチに左足ボレーで狙われたが、これはDF内田篤人が体を張って防いだ。

 日本は30分、ようやく攻撃のかたちをつくった。中央からMF香川真司、MF本田圭佑、MF長谷部誠とつなぎ、再び香川がPA内でボールを受ける。GKと1対1になったが、左足で打ったシュートはGKのセーブに阻まれた。日本はここからボールのポゼッションが高まり、徐々にペースをつかんだ。45分には、本田が直接FKを無回転シュートで狙った。シュートは枠に飛んだが、GKに横っ飛びで防がれた。見せ場をつくったものの、無得点で試合を折り返した。

 後半の立ち上がりも日本のペースで試合は展開した。後半9分、FW柿谷曜一朗がPA内ゴール正面からシュート。10分には、MF岡崎慎司が右サイドからのクロスにヘディングで合わせた。しかし、いずれもゴールには至らなかった。

 そんな14分、逆にセルビアに先制点を奪われた。ワンチャンスを生かされた。MFドゥシャン・バスタにドリブルでPA内に進入されてシュート性のクロスを上げられる。これを中央にいたタディッチにワントラップから右足でゴール右へ蹴り込まれた。優勢に推し進めていた中、セルビアにワンチャンスをモノにされた。

 日本ベンチは22分、長谷部に代えてMF細貝萌、23分には柿谷を下げてMF清武弘嗣をピッチへ送り出した。この交代で右サイドの岡崎が1トップにポジションを上げ、清武は右サイドに入った。

 日本は細かいパスワークからの攻撃で相手を押し込んだ。しかし、スタンコビッチの引退を白星で飾ろうと守りを固めるセルビア守備陣をなかなか切り崩せない。43分、途中出場のMF乾貴士が裏へ抜け出し、左45度の位置から右足で狙ったが、ゴール右へ大きく外れた。

 すると、アディショナルタイムには自分たちのミスから追加点を決められた。細貝がゴール前に送ったパスがカットされ、カウンターを仕掛けられる。左サイドを突破され、右に流れたクロスを、FWシュチェポビッチに再びゴール前へ折り返された。これをジョジッチにニアサイドで押し込まれた。その後、日本は最後までゴールを目指したが、ノーゴール。7月のコンフェデレーションズカップ・ブラジル戦以来の零封負けを喫した。

「うちは勝ち切るには多くのチャンスを作らないといけない。決定力を向上させることがこのチームの課題」
 ザッケローニ監督は厳しい表情でこう語った。柿谷は「ゴールという結果にこだわりたかった。(無得点に終わり)後ろの選手には迷惑をかけてしまった」と悔しさを滲ませた。

 きっかけをつかめば、ゴールは生まれやすくなる。元オランダ代表の名ストライカーだったファン・ニステル・ローイは「ゴールはケチャップのようなもの。出ない時は出ないが、出る時はドバドバッと出る」と表現していた。日本も決定力不足を解消するためには、やはり指揮官が語るように、決定機を多くつくりだすしかない。それが、次のベラルーシ戦のポイントである。