(写真:屈辱の失神KOを喫したRENA。約7カ月ぶりの再戦に挑む)

 7月から9月にかけて、『RIZIN』3連戦が開催される。日程は次の通りだ。

 

『RIZIN.11』(7月29日、さいたまスーパーアリーナ)

『RIZIN.12』(8月12日、ドルフィンズアリーナ=愛知県体育館)

『RIZIN.13』(9月30日、さいたまスーパーアリーナ)

 

 その第1弾となる『RIZIN.11』のカードが徐々に発表されている。6月8日の時点で決定しているのは次の5カード。


●MMAルール(60キロ契約)
 堀口恭司(アメリカン・トップチーム)vs.扇久保博正(パラエストラ松戸)

●MMA特別ルール(73キロ契約)
 五味隆典(イーストリンカンラスカルジム)vs.アンディ・サワー(オランダ)

●MMAルール(93キロ契約)
 イリー・プロハースカ(チェコ共和国)vs.ブルーノ・カッペローザ(ブラジル)

●女子MMAルール(49キロ契約)

 浅倉カンナ(パラエストラ松戸)vs.RENA(シーザージム)

●女子MMAルール(49キロ契約)
 石岡沙織(禅道会)vs.山本美憂(KRAZY BEE)

 このほか、那須川天心(TARGET)の出場も予定されている。

 

 いまやRIZINのエースとしての風格が漂う堀口、再起戦を行う五味も気になるが、私がもっとも注目しているカードは、浅倉カンナとRENAの再戦だ。

 昨年大晦日、「女子スーパーアトム級トーナメント」決勝で両者は対戦。2ラウンドにチョークスリーパーを決めた浅倉が勝利したわけだが、それから僅か7カ月で再び顔を合わせることになる。

 

 RENAにかかるプレッシャー

 

 このカードが決定した直後には、こんな声が多く聞かれた。

「RIZINはRENAに肩入れし過ぎではないか。再戦が早過ぎる。浅倉には何のメリットもない」

 その通りだと思う。

 RENAは早期のリベンジチャンスを欲した。片や浅倉は、一度勝った相手とは闘いたくない。

 

 つまり、これはRENAのために組まれたカード。だが、RIZIN女子部門をこれまで引っ張ってきたのがRENAであることを考えれば、納得できる部分もある。その想いは、浅倉にもあろう。だからこそ、再戦が実現することになったのだと思う。

 

 さて、この一戦、雪辱に燃えるRENAが有利との見方が強いようだが、果たして、そうだろうか?

 

 私は、浅倉が有利と見ている。

 打撃力で上回るRENAと、グラウンドで強さを発揮する浅倉の実力は、ほぼ互角だろう。

 

 ただ、強くプレッシャーを感じるのはRENAの方だ。浅倉は、もし敗れたとしても1勝1敗。大晦日での「決着戦」を訴えることができる。しかし、RENAは負ければ後がない。「もう一丁!」とは言えないだろう。「エース浅倉、2番手RENA」の序列が明確化されてしまう。これまでに築いてきたものを一気に失うことになるのだ。

 この置かれている状況の差は大きいように思える。

 

 いずれが勝つにせよ好勝負は必至。スマックガール時代から十数年の時を経て、大きくレベルアップした「女の闘い」を堪能したい。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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