7日、Jリーグ2013シーズンの最終節が各地で行われる。注目は優勝の行方だ。現在首位の横浜F・マリノス(勝ち点62)は、04年以来のリーグ制覇に挑む。また2位・サンフレッチェ広島(同60)と3位・鹿島アントラーズ(同59)が最終節で激突。勝者には逆転優勝の可能性があるが、鹿島は勝っても勝ち点が62で、横浜FMとは得失点差で9離されている。実質、逆転優勝の芽があるのは広島だけだ。果たして、歓喜のフィナーレを迎えるのは横浜FMか、それとも広島か。運命の最終節は、15:30に各地でキックオフされる。
  横浜FM、求められる“今までどおり”

 横浜FMは勝利すれば、優勝が決まる。引き分け以下の場合でも、広島対鹿島の結果によっては栄冠に手が届く。

 だが、横浜FMとしては、勝って優勝を決めたいところだろう。というのも、同じく勝てば優勝という条件で臨んだ前節は、ホームでアルビレックス新潟に0−2の完敗。リーグ新記録となる6万6532人のサポーターの前で、屈辱を味わったのだ。試合後、DF栗原勇蔵は「やっぱり優勝するというのは難しいとあらためて思った」と悔しそうに語った。

 しかし、選手たちが口を揃えたのは、「まだチャンスがある」ということ。最終節で川崎フロンターレに勝利すれば、自力で優勝を決められる。チームの要・MF中村俊輔は「もう一回(自力の)チャンスがあるのはウチらだけ。そういうポジティブな気持ちにチームがなれるか」と前を向いた。

 新潟戦では優勝の重圧からか、攻守において出足が鈍かった。横浜FMのストロングポイントは攻守の切り替え時における速さとスムーズさだ。攻撃時にボールを奪われると、奪われた選手もしくは周囲の味方が素早くプレスをかける。逆に、マイボールになれば、中村やMF齋藤学がすぐ顔を出し、パスやドリブルで攻撃のスイッチを入れる。この攻守の切り替えがうまくいくかどうかが、川崎F戦のポイントだ。

 また川崎戦では守備陣の踏ん張りも重要だ。川崎Fには得点ランキングでトップ(26点)を独走する大久保嘉人がいる。アウェーの戦いで横浜FMが主導権を握るには、直近10試合で8ゴールをマークした相手エースを抑えなければならない。ハマの守備陣は、大久保にスペースを与えず、最後のところで体を張る粘り強い守備で対応したいところだ。

 新潟戦後、樋口靖洋監督は最終節に向けて「今までどおり、いい守備からの攻撃というのを徹底してやっていくだけ」と語った。横浜FMにとって9年ぶりのタイトルは、“今までどおり”のサッカーができるかにかかっている。

  “一丸”となって勝利目指す広島

 一方の広島は、最終節で鹿島に勝つしか、逆転優勝の望みはない。しかし、余計な計算が必要ないだけに、横浜FMよりも戦いやすい状況といえるだろう。

 広島は今季、序盤はなかなか連勝できずに順位を上げられなかった。しかし、第11節から第20節で9勝1敗という好成績を記録し、優勝争いに加わった。第15節以降は常に3位以上の順位をキープしてきた。終盤にきて直近10試合を5勝4敗1分けと勝ち点を伸ばせなかったが、最終節前に優勝を狙える位置につけているのはさすがディフェンディングチャンピオンといえる。

 総得点は現時点で49。昨季の同時期は62点だったことを考えると、攻撃力の低下は否めない。これは広島のパスサッカーが対戦相手に研究された結果だ。広島のパス回しに、相手選手が飛び出して奪いくる場面が減少。ゴール前と中盤を徹底的に固められ、攻撃を弾き返された。

 では、なぜ広島は2年連続で優勝争いを演じられているのか。それは、優勝した昨季以上に、守備が安定しているからだ。現在の総失点数はJ1最少の29。1試合平均失点はわずか0.88だ。日本代表GK西川周作を中心に築く守りはまさに鉄壁である。また守備陣のみならず、前線の選手の守備意識も高い。ボールを失うと同時に、FW佐藤寿人やMF高萩洋次郎らが相手にプレスをかけ、簡単に速攻を仕掛けさせない。これによって、広島の後方は守備陣形を整えられるのだ。

 対戦相手の鹿島とは今季、第3節に戦って0−0の結果だった。鹿島で注意すべき選手は、FW大迫勇也だろう。今季ここまで19ゴールを挙げ、ザックジャパンでもレギュラー争いを演じている。高いシュート技術のみならず、体を巧みに使ったポストプレーで攻撃の起点になることも多い。広島としては、大迫にできるかぎりボールを入れさせないことが重要だ。そのために、中盤から前線にかけての選手が、MF小笠原満男、MF柴崎岳といった相手のパスの出所をつぶしたい。攻撃では鹿島の弱点であるDFラインの裏を徹底的に突く。佐藤や両サイドの選手が裏へ飛び出し、高萩や青山がパスを通す。裏を警戒させてDFラインを下げられれば、スペースの空いた中盤からのミドルシュートも狙える。

 広島が連覇を達成すれば史上4クラブ目の快挙となる。チームスローガンのとおり“一丸”となって、勝利を掴みとれるか。

【Jリーグ ディヴィジョン1 第34節(最終節)組み合わせ】

川崎フロンターレ × 横浜F・マリノス (15:30〜、等々力)
鹿島アントラーズ × サンフレッチェ広島 (15:30〜、カシマ)
浦和レッズ × セレッソ大阪 (15:30〜、埼玉)
FC東京 × ベガルタ仙台 (15:30〜、味スタ)
湘南ベルマーレ × 大宮アルディージャ (15:30〜、BMWス)
ヴァンフォーレ甲府 × サガン鳥栖 (15:30〜、中銀スタ)
アルビレックス新潟 × 名古屋グランパス (15:30〜、東北電ス)
清水エスパルス × 柏レイソル (15:30〜、アイスタ)
ジュビロ磐田 × 大分トリニータ (15:30〜、ヤマハ)