7日、J1第34節が行われ、サンフレッチェ広島がアウェーで鹿島アントラーズを2−0で下し、リーグ連覇を果たした。広島は勝ち点を63とし、川崎フロンターレに敗れた横浜F・マリノス(同62)を逆転した。リーグ連覇は史上4クラブ目の快挙となった。

 石原、逆転?導く2ゴール!(カシマ)
鹿島アントラーズ 0−2 サンフレッチェ広島
【得点】
[広島] 石原直樹(35分、80分)
 横浜FM、9年ぶり戴冠ならず(等々力)
川崎フロンターレ 1−0 横浜F・マリノス
【得点】
[川崎F] レナト(54分)

 試合終了後に訪れたのは歓喜だった。広島は勝利しか逆転優勝の可能性がなかった中で、見事、白星と優勝を手にした。

 序盤は静かな立ち上がりを見せ、中盤での競り合いで両チーム譲らず、お互いに決定機は訪れなかった。
 しかし前半35分、広島が先制に成功する。決めたのはFW石原直樹だ。ショートカウンターからMF高萩洋次郎のスルーパスに抜け出す。石原はPA内で前に出てきたGK曽ヶ端準をあざ笑うかのようなループシュートを決めた。アウェーで貴重な1点を奪った。

 前半終了間際には、この試合2枚目のイエローカードが提示されたFW大迫勇也が退場。勝利が必要な広島にとって願ってもない展開となった。
 一方、等々力陸上競技場で行われていた首位・横浜FM対川崎F戦は前半を終えて0−0。このまま広島が勝利すれば、逆転優勝となる。

 後半、先にチャンスが訪れたのは広島だった。8分、FW佐藤寿人が相手のバックパスを読み、受けにきた曽ヶ端と交錯。こぼれたボールに石原が反応し、DFと混戦になってルーズボールになったところを、再び佐藤が左足で狙った。だが、これはDFにブロックされた。

 その後は、前がかかりになった鹿島に押し込まれる時間帯が続いた。それでも、前線の選手が献身的にプレッシングを行い、ゴール前では守備陣が体を張って攻撃を跳ね返す。すると35分だった。カウンターから待望の追加点を奪った。攻め上がったDFファン・ソッコのミドルシュートがDFに当たり、こぼれ球をMF青山敏弘が右サイドのスペースへ。抜け出したMF清水航平が折り返したボールを、石原が右足でゴール右隅に流し込んだ。勝利に近付くゴールは、結果的に優勝も大きく手繰り寄せた。

 2−0のまま試合終了の笛が鳴った。直後、広島の選手たちに横浜FMの敗北が伝えられ、選手たちは喜びを爆発させた。
「信じられないです。全員で勝ち取った連覇。チーム一丸になれたから勝ち取れた」
 佐藤はこう連覇の感想を口にした。今季は主力が移籍し、戦力ダウンがささやかれた。またアジアチャンピオンズリーグと国内戦の過密日程も影響し、負傷者が続出。しかし、森保一監督が「ブレずにやってきた」と語ったように、誰が試合に出ても持ち前のパスサッカーを最後まで貫いた。

「(タイトルを)獲ったよー!」
 佐藤はサポーターに向けて叫んだ。苦しんだ末の連覇達成で、チームはさらに自信を掴んだに違いない。広島の黄金時代突入を予感させる逆転優勝だった。