52年ぶりの決勝進出か、初の決勝進出か。準決勝の第1試合同様、イングランド対クロアチアの一戦もタフな戦いになるだろう。実力が拮抗しているだけに、白熱した展開が予想される。決勝トーナメントに入って2試合連続でPK戦にまでもつれ込んでいるクロアチアの疲労具合が気がかりだ。

 

 1966年の地元開催以来の戴冠を狙うイングランドは、現在得点ランキング1位(6得点)を走るFWハリー・ケイン(トッテナム)が攻撃の中心だ。かたちを問わずゴールを奪える188センチの万能型ストライカーが試合を決定づけるゴールを決められるか。ベンチにはカウンターから得点を奪うことに長けたFWジェイミー・バーディー(レスター)も控える。タイプの違うストライカーがベンチにいることがイングランドの武器である。

 

 迫力満点のセットプレーも武器の1つだ。ファーサイドにクロスを入れて、主にDFハリー・マグワイア(レスター)がターゲットとなる。マグワイアが折り返したボールを中で合わせたり、彼がヘッドで直接ゴールを狙うパターンは相手にとっては脅威である。ただ、クロアチアの平均身長は185.3センチ。相手も空中戦には強いだけに、ショートコーナーやトリックプレーなどひと工夫するのか、それとも真っ向勝負を挑むのか。イングランドのセットプレーにも注目だ。

 

 3連勝でグループリーグを突破したクロアチアは決勝トーナメントに入り、1回戦のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦と2試合連続で延長を含む120分でも決着がつかなかった。ぎりぎりの戦いを制してきているだけに、チームは一丸となっている可能性もあるが、心身ともに疲労は計り知れない。MFイバン・ラキティッチ(バルセロナ)、MFルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)らがガス欠を起こさないかという不安要素を抱える。

 

 加えて、モドリッチがボールを触る位置が低すぎる点も気になる。チームの司令塔役を担う彼は、低い位置に下りてゲームを組み立てることも重要な役割のひとつだ。だが、やはり10番が相手のゴール前から離れすぎると攻撃の迫力が半減してしまう。ミドルシュートやゴールに直結するスルーパスを出せる選手だけに、もう少し高い位置でプレーができればクロアチアの勝機は上がるのではないか。

 

(文/大木雄貴)