8日、J1第2節が各地で行われ、FC東京は本拠地・味の素スタジアムでヴァンフォーレ甲府と1対1で引き分けた。FC東京は前半5分、FWエドゥーの移籍後初ゴールで先制した。その後は両チームともに決定機をつくれず、FC東京が1点をリードして試合を折り返した。後半、FC東京は序盤にチャンスを迎えたものの、シュートの精度を欠いてリードを広げられない。すると27分、FWクリスティアーノに同点ゴールを決められた。FC東京は開幕戦から2戦連続ドロー。ホーム開幕戦を白星で飾ることはできなかった。

 エドゥー、J初ゴールも実らず(味スタ)
FC東京 1−1 ヴァンフォーレ甲府[/color]
【得点】
[F東京] エドゥー(5分)
[甲府] クリスティアーノ(72分)
 今季初白星はお預けとなった。FC東京はホーム開幕戦で序盤からボールを支配。早めの時間帯に先制点を奪い、優位にゲームを進めるかに思われた。しかし、なかなか2点目をうばえず、逆に甲府に同点弾を許した。

 先制点は意外なかたちで生まれた。前半5分、前線でボールを受けたエドゥーが、左足でミドルシュート。DFに当たったボールは、GKのファンブルを誘発し、ゴールへ。エドゥーは「素晴らしいゴールではなかったが、ゴールはゴール。これでようやくドアが開いた」と移籍後初ゴールを喜んだ。

 幸先よく先制点を奪い、FC東京がこのまま勢いに乗るかに思われた。しかし、引いて守る甲府を前に、なかなかシュートまで持ち込めない。パスを回し、時にはドリブル突破で打開を試みたが、決定機を作るには至らなかった。
 守りは前線からの積極的なプレスで、甲府の選手に重圧をかけ続けた。簡単に攻撃を組み立てさせず、チャンスをつくらせなかった。結局、1対0とリードしたまま、試合を折り返した。

 後半に入り、FC東京が攻勢を強めた。後半2分、MF高橋秀人がPA手前でルーズボールを拾い、そこから右足を一閃。強烈なシュートが枠内へ飛んだが、これは左ポストを直撃した。
 更にFC東京ベンチは15分、FW渡邉千真に代えてMF石川直宏を投入し、攻撃の活性化を図った。18分、MF東慶悟が左からのクロスが流れてきたボールを拾い、PA右角の位置から左足でシュートを打った。だが、これはGKの好守に防がれ、追加点にはならなかった。

 度重なるチャンスを決めきれないでいると、後半27分、甲府に同点弾を許した。途中出場のMF水野晃樹のロングスローがゴール前で混戦となり、拾ったMFマルキーニョス・パラナにシュートを許す。これはゴール右ポストを直撃し、こぼれ球を再び水野に拾われる。水野が上げたクロスをクリスティアーノにバイシクルシュートでゴールに流し込まれた。

「1点取られて同点になった後、何としても2点目を取りたいという気持ちから前掛かりになってしまった」
 マッシモ・フィッカデンティ監督がこう語ったように、FC東京はその後、攻勢を強めようとした。しかし、簡単にボールを失う場面が多く、そこからカウンターでピンチを迎えるという悪循環に陥った。35分、水野に右サイドを抜け出され、PA内に進入してから中央に折り返された。決定的な場面だったが、クリスティアーノのシュートがゴール上へ外れて事なきをえた。

 FC東京のバランスは崩れたまま戻らず、いいかたちをつくれずに試合終了のホイッスルが鳴った。

「同点にされた後の姿勢がキーポイントだった。しっかり、その状況においてもバランスを保ちながら、やりたいことを試していく必要があった。それが今のこのチームにとって足りないところ」
 フィッカデンティ監督は、このように課題を述べた。高橋も「もう少し、注意深くやらないといけなかった。焦って(前線にボールを)当てた時に奪われる時間帯も多かった」と、前ががかりになったことで生じたミスを悔やんだ。

「攻撃は2点目をとりにいかなきゃいけないし、守りは1対0で勝てるチームを監督は求めている。その意味で、今日はまだまだだった」
 GK権田修一はこう語った。柏レイソルとの開幕戦も、後半1分に先制した。しかし、続くチャンスを決めきれず、追いつかれてドローに終わった。2点目をとってリードを広げる理想を求め、それが難しい時はボールを支配して1点を守り切るという現実をしっかり見つめる。FC東京に求められるのは、理想と現実のバランスである。

(鈴木友多)