10日、なでしこジャパン(女子日本代表、世界ランク3位)はポルトガルで行われている国際招待大会・アルガルベ杯で女子スウェーデン代表(同6位)を2対1で下した。日本は前半、ボールポゼッションを高めて相手ゴールに迫ったが、なかなかチャンスをつくれなかった。すると、42分、セットプレーからDFリンダ・センブラントに先制点を奪われた。しかし、後半4分にFW大儀見優季のゴールで追いつくと、44分にMF宮間あやのPK弾で逆転。劇的勝利で2大会ぶりの決勝進出を決めた。日本は12日(水)に決勝でA組1位の女子ドイツ代表(同2位)と対戦する。

 宮間、土壇場で逆転PK弾(アルガルベ)
女子日本代表 2−1 女子スウェーデン代表
【得点】
[日本] 大儀見優季(49分)、宮間あや(89分)
[ス] リンダ・センブラント(42分)
 世界女王の底力を見せた。日本は決勝進出のためには勝つしかなかった。先制されるという嫌な展開の中、全員が最後まで諦めなかったことで、勝利を手にした。

 試合を支配したのは日本だった。少ないタッチ数でボールを回し、両サイドからの攻撃を中心にスウェーデン守備陣を崩しにかかった。前半15分、宮間が右サイドバックDF近賀ゆかりからのクロスに合わせたが、これはゴール右へ外れた。33分には、FW大野忍が左サイドから中央へカットインし、右足でシュート。しかし、ボールはクロスバーを越えていった。日本は攻め込むものの、決定機をつくるには至らなかった。

 すると42分、劣勢だったスウェーデンに先制点を奪われた。左サイドからのFKが、壁に当たってゴール前へ。これをセンブラントに頭で押し込まれた。

 直後、日本にも決定的なチャンスが訪れた。MF川澄奈穂美が大儀見のスルーパスに抜け出し、GKと1対1に。川澄は前に出てきたGKを見て、右足アウトサイドでシュートを放ったが、惜しくも右ポストに当たってゴールにはならなかった。攻め込みながら先制される嫌な流れになるかと思われたが、試合の主導権は握ったまま試合を折り返した。

 迎えた後半4分、大儀見が同点弾を奪った。スウェーデンのバックパスがずれたところを見逃さず、DFの前に体を入れてボールをカット。そのままPA内へ進入し、DFを背負いながらも右足で豪快にゴール左へ突き刺した。「相手のミスを狙っていた」という大儀見のしたたかさが光った。

 逆転を目指す日本は、20分、MF澤穂希に代えて、デンマーク戦で決勝点を決めたFW岩渕真奈を投入。宮間はボランチ、大野が右サイドハーフに移り、岩渕は大儀見と2トップを組んだ。攻撃の活性化を図ると、25分、中央付近でパスを受けた宮間がPA外から左足でミドルシュート。強烈なシュートが枠に飛んだが、これはGKにパンチングで防がれた。

 一気に逆転したい日本だったが、試合中盤はスウェーデンに押し込まれる時間帯となった。ここで存在感を示したのがGK海堀あゆみだ。32分、ゴール前の混戦からMFイェランソンにシュートを打たれたが、海堀がファインセーブ。33分にもイェランソンに左サイドからのクロスに合わせられたが、鋭い反応で防いだ。

 日本は嫌な時間帯を凌ぎ切ると、逆転を目指して攻勢を強めた。43分、岩渕がPA外から強烈なミドルシュートを放ったが、シュートはGKに右手1本で弾き出された。スウェーデンの堅い守備を崩せず、引き分けの空気がスタジアムに漂い始めた。

 しかし、44分、日本にビッグチャンスが訪れた。CKからのボールがPA内で混戦となり、センブラントのハンドを誘発。日本にPKが与えられた。キッカー・宮間のシュートは、GKの手に当たったものの、ゴール左下へ。「みんなでとったPKなので入ってよかった」と宮間はホッとした表情で劇的弾を振り返った。

「“決勝に行きたいんだ”という思いが選手にあった」
 佐々木則夫監督は、逆転につなげた選手たちをこう称えた。最後まで諦めず、自分たちのサッカーをやり続けた。大儀見は「(先制された後も)チームとして負ける雰囲気がなかった。ゴールを決められる雰囲気もあった」という。その予感が的中したかたちだ。

 決勝で当たるドイツとは、2年前の決勝でも激突した。その時は激しい打ち合いの末に3対4で競り負けた。「もっと質を上げて優勝したい。中1日で厳しいが、前回(2年前は)負けているので、勝って自分たちの面目を保ちたい」と宮間。果たしてなでしこジャパンは、2年越しのリベンジを果たせるか。