7日、「FIFA U−17女子W杯」(コスタリカ)で優勝した“リトルなでしこ”(U−17女子日本代表)が帰国し、都内で優勝会見を開いた。会見には高倉麻子監督、上田栄治日本サッカー協会理事、全選手(21名)が出席。会見に集まった100人以上の報道陣の数が、快挙の大きさを物語っていた。目標としていた世界一を達成し、監督、選手たちには笑顔が多かった。高倉監督が「選手21人、スタッフが心を一つにして優勝を勝ち取ることができ、非常に誇らしく思う」と語れば、大会MVPを受賞した主将・MF杉田妃和も「このチームはチームワークがいい。1試合1試合を全員でしっかり戦えたことが優勝までいけた要因」と語った。
(写真:笑顔で写真に収まる高倉監督と選手たち)
 今大会、日本は6試合を戦って23ゴール、1失点という圧倒的な成績で頂点まで駆け上がった。

「私自身は攻撃的にサッカーをやりたいと思っていて、そのために守備の調整で、チームとしての約束事を選手に積み上げていった。その中でいい守備のかたちから選手が自由に、選手間や1人の選手を見ながら、2人の選手を見ながら、今というチャンスのときには思い切って攻撃に参加し、いろんなところから攻撃することができた。いろんな選手が得点を取ることができたというのが、日本の強みだった」

 高倉監督は、このようにチームの特徴を語った。日本が6試合で放ったシュートは125本。1試合平均で約20本だ。これは選手たちが指揮官の意図をしっかりと理解し、ひとりひとりが強くゴールを意識したからに他ならない。そして高倉監督が分析したように、日本は12人の選手がゴールをマーク。“どこからでも点が取れる”チームとして、他の追随を許さなかった。
(写真:一発芸を披露した遠藤<左>と橋沼)

 また、大半の選手は優勝の要因にチームワークの良さを挙げた。最優秀GKに選出された松本真未子は「たとえ強いとは言われなくても、チームワークという強みを持ってこの大会に臨んだ」と述べた。高倉監督に「団結力を高めるために気を付けたことは?」という質問が飛ぶと、指揮官は不敵に笑みを浮かべ、こう答えた。
「我々も工夫し、楽しみながら選手たちに、オフをどんな風に過ごさせてあげようか考えている。川柳コンテストをやったり、スタッフの小さい頃の写真を使って笑いを取ったり。一番団結力が高まったのは“一発芸コンテスト”。アジアカップの時もやったが、それを機にチームの調子がグッと上がった。ね、橋沼さん!」

 指揮官に話を振られたDF橋沼真帆が、おもむろに立ち上がり、前に出てきた。すると、DF遠藤優を誘って即興で一発芸を行い、会場に笑いを起こしてみせた。そして、橋沼が「最後にみんなで踊ろう!」と合図すると、席についていた他の選手が立ち上がり、ダンスを披露。息の合った振り付けで、抜群のチームワークを表現した。

 笑顔で溢れた優勝報告だったが、もうすでに次のステップへの戦いは始まっている。
「選手はこれまで、自分の努力で育ってきたが、今後は、未来に向かってより一層、自分自身の力で育っていって欲しい。なでしこの未来もこの選手たちが中心になって、より高いものに女子サッカーを引っ張ってくれると信じている」
 高倉監督は、このように選手たちの成長を期待した。選手たちも十分に自覚している。「優勝という結果に満足せず、自分のチームに帰って、この大会で出た自身の課題を修正し、次のカテゴリーに残れるように努力していきたい」と杉田。今後、彼女たちの目標は、なでしこジャパン入りになるが、現在の代表でプレーする選手たちも、簡単に席を譲るはずはない。ただ、なでしこの座を激しく争う激しい戦いが、日本女子サッカーを更なる高みへと導くだろう。
(写真:MVPを受賞した杉田<右>が次代のなでしこを担う)