開幕してまだ2試合。この時期の順位を気にしている選手やファンなどいないだろうし、実際のところ、シーズン序盤の成績ぐらいアテにならないものはない。とはいえ、連勝スタートを切って気分の悪い人間はいないし、この時期の勢いがまったくの無意味というわけでもない。序盤だろうが終盤だろうが、得られる、あるいは失った勝ち点の価値に違いはないからだ。

 

 おそらく、心中最高の手応えを感じているのは得点6と失点0、非の打ちどころのないスタートを切った名古屋の風間監督だろう。開幕戦はアウェーで鳥栖を叩き潰し、地元での初戦は粘るC大阪を終盤で押し切った。

 

 昨季の得点王ジョーの存在感は相変わらず。C大阪戦では後半途中から投入された赤崎が、それだけで日本代表に招集されてもおかしくないようなビューティフルゴールを2発ブチ込んだ。交代出場した選手の活躍は、チーム内に一体感と活気をもたらすことが多い。もとより実力のあるチームだけに、このまま前半戦の主役となっていく可能性もある。

 

 2試合続けて打ち合いを制した横浜は、昨季から推し進めてきた攻撃偏重ともいうべきスタイルがいよいよ染みでてきた感がある。なにしろ、2試合で放ったシュートの合計がリーグダントツの42本である。まだ2試合とはいえ、1試合平均20本以上。守備的なイメージの強かったかつての面影は完全に払拭された。

 

 3連覇に挑む川崎Fは、ホームでの開幕2連戦で勝ち点2しかあげられなかった。これはもう、かなり失敗に近い形でのスタートと言っていい。ただ、昨年の大逆転の経験がある上に、ゼロックス杯を含め、内容ではいずれも相手を上回っていることを考えると、さほど心配する必要はなさそうだ。リーグ戦無得点のレアンドロ・ダミアンに1発が生まれると、一気にすべてが好転しそうな気配もある。

 

 深刻なのは浦和である。2試合で勝ち点1という結果はもちろんだが、それ以上にチャンス自体の少なさが気になる。攻めて攻めて、それでも得点が奪えないのが川崎Fだとしたら、いまの浦和は攻撃に費やす時間そのものが少ない。まだまだ序盤とは言いつつも、次節、好スタートを切り勢いに乗る松本戦の結果と内容次第では、早くも危機的状況が訪れてしまうかもしれない。

 

 次節を待つまでもなく、すでに危機的状況にあるのが鳥栖である。2試合終えて得点と勝ち点が0で失点は5。結果だけでなく、ボール保持率やシュート数といったデータに目を向けても、ポジティブな要素が見つからない。次節の相手は、こちらも好調なスタートを切ったFC東京。開幕3連敗を喫するようなことがあれば、早くもJ1残留に赤信号が点灯である。

 

 まだまだシーズンは始まったばかりだが、ここまでの時点で言えるのは、どこも似たりよったりのサッカーを志向していたJリーグの金太郎飴状態が、どうやら終わりを告げつつあるということ。Jリーグのエンターテインメントとしてのレベルは、確実に階段を上がってきている。

 

<この原稿は19年3月7日付『スポーツニッポン』に掲載されています>


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