今回は予告どおり3月3日に開催された「渋谷運動会」のことを取り上げます。渋谷運動会の始まりや詳細については、以前、<わからないから面白い! 渋谷「パラ草の会」>で書きました。運動会の開催場所は渋谷区広尾の広尾高校体育館。4チームに分かれて戦い、対戦競技はボッチャと気づきのリレーの2つでした。当日は240人の参加者とボランティアのようなお手伝いの人たちが30人、合計270人が集まりました。さらには國學院大學の応援団も駆けつけてくれて、大変な盛り上がりでした。


 お手伝いをしてくださった人たちに「参加した理由は?」と聞くと以下のような答えが返ってきました。

 

「ひまだから」「誘われたから」「おもしろそうだから」「パラリンピックが気になるから」「競技に出たかったから」「イベント好きなんです」「手伝いたかった」「世話好きなんです」「盛り上げたいと思って」「自分で役に立てるなら」と、実に様々で、さらにこんな答えもありました。

 

「代表の髙橋さんに誘われたから」「誰々さんに来いと言われたから」。こういうイベントは誘われても「行けたら行きますね」と答えて、当日は来ないのが常套です。もとより運動会の中心人物であるパラ草の会代表・髙橋千善さんの求心力は「ただもの」ではありません。

 

 かくいう私も「伊藤さんにぴったりの会があるから」と言われてふらふらーと来てみてはまりました。この「ふらふら」は重要なキーワードかもしれません。わたしはイベントでは主催者(運営する人)、参加者、その間のボランティア、と役割がはっきりとした現場が好きでした。例えばボランティアのスタッフが休憩時間に「観戦」することを許されていた場合、必ずユニフォームを脱いでもらいます。どちらかというと、立場や役割がきめきめの感じが好きなのです。

 

 渋谷運動会はそうではありません。先日、このイベントの打ち上げがありました。打ち上げの席では次回に向けていろいろな提案やアイディアが出ていました。特にパラスポーツに興味を持っていないような人から「来年は違う競技を入れましょう」との発言もあって、「なんだ、しっかりパラスポーツに興味を持っているじゃないですか」とも思ったものです。

 

 この様子からすると、2回目の運動会は、きっと、たぶん開催されるでしょう。参加者の間に「やらねばならない」という使命感はないのですが、たぶん自然にやることになります。。

 

 渋谷運動会には「しなければ」とか「すべき」という言葉はありません。ゆるゆるとした雰囲気で集まって、そして面白そうだからといろんなことをやってみるという空気に満ちています。この「ゆるゆる」もキーワードです。というわけで、これまでの「きめきめ」と違ったこの感覚に魅了されました。大好きです。

 

 東京パラリンピック開催まで500日を切って、2020年大会に向け、各地でいろいろなイベントが開催されています。なんでもいいから参加してみると、何か面白いことがあるかもしれません。単なる参加ではなくお手伝いをしてみたらもっとオモシロイかも。それがパラスポーツのことだったら、私としてはなお嬉しいかな。とゆるゆると思いながら、生まれて初めての10連休へふらふらと突入します。みなさまはぜひどこかのイベントへ!

 

 

伊藤数子(いとう・かずこ)プロフィール>

新潟県出身。パラスポーツサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。スポーツ庁スポーツ審議会委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問。STANDでは国や地域、年齢、性別、障がい、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するための「ユニバーサルコミュニケーション事業」を行なっている。その一環としてパラスポーツ事業を展開。2010年3月よりパラスポーツサイト「挑戦者たち」を開設。また、全国各地でパラスポーツ体験会を開催。2015年には「ボランティアアカデミー」を開講した。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ~パラリンピックを目指すアスリートたち~』(廣済堂出版)がある。

◎バックナンバーはこちらから