12日、2020年東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会は理事会を行い、専門委員会のアスリート委員会とメディア委員会の設置を決定した。アスリート委員会は21名の委員で構成され、委員長には日本水泳連盟の鈴木大地会長を選定。一方のメディア委員は36名で、委員長にはフジ・メディア・ホールディングスの日枝久会長が務める。それぞれ第1回の議会は、メディア委員会が4日後の16日、アスリート委員会は10月10日に開催する。その他、副事務総長に佐藤広常務理事、スポーツディレクターには室伏広治理事を選定した。また内閣府への公益財団法人移行を申請し、年内までにの認定を目指す。
(写真:現役時代はソウル五輪で金メダルを獲得した鈴木委員長)
 アスリート・ファースト。いわゆる選手の視点から、助言等を与えるのがアスリート委員会の役割である。委員長には鈴木氏が就いた。組織委の森喜朗会長は「競技団体の会長を務め、大学教授の実績もある」と選定理由を述べた。他の20名については「広く多くの人に参加をしていただいた」と男性9名、女性11名と柔道、ラグビー、サッカー、車椅子バスケットボール、ゴールボールなど様々な競技からの声を聞くため幅広い人選となった。基本的には現役選手を避けたものの、パラリンピアンに関しては例外とした。

「大所高所からメディアの意見を参考にしたい」というメディア委員については、日枝委員長を含む36名は大手メディアに属する男性22名、女性14名。組織委の武藤敏郎事務総長は「人選は会社、団体から推薦された経験や見識のあるバランスのとれたメンバー」と、その陣営に胸を張った。

 理事会後に行われた記者会見で、森会長は東京都内で発症したデング熱についても触れた。「(東京都知事の)舛添(要一)さんと話した。単なる危機管理では済まない。感染症についてもセクション設置の話はあった」。開催計画に新たな事項を盛り込むことを示唆した。

 アスリート委員会の第1回が行われる10月10日は、前回の東京五輪開会式からちょうど50年後となる。当日は記念イベントの式典や第1回顧問会議も開催される。組織委としては、それまでに大会ビジョンの骨子案を作成する予定だ。刻一刻と時計の針は進んでいる。6年後のビッグイベントに向け、歩を止めずにいきたい。

(文・写真/杉浦泰介)