11日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕。シーズン3位の北海道日本ハムが、シーズン2位のオリックスを6−3で下した。中盤までは1点を争うシーソーゲームとなったが、後半は救援陣に明暗が分かれた。乱調だったオリックスの投手陣に対し、日本ハムは安定したピッチングで無安打無失点とオリックス打線を完璧に封じた。

◇ファーストステージ第1戦
 大谷、6回3失点でCS初白星(日本ハム1勝0敗、京セラドーム)
北海道日本ハム   6 = 000012120
オリックス     3 = 020001000
勝利投手 大谷(1勝0敗)
敗戦投手 岸田(0勝1敗)
セーブ   増井(1S)
 今季、リーグ最多の16勝を挙げ、現在日本を代表するエースと言っても過言ではないオリックス金子千尋、そしてプロ2年目にしてチーム最多の11勝を挙げ、将来日本のエースとなることを期待されている日本ハム大谷翔平。そんな両投手の投げ合いで幕を開けた第1戦は、12勝12敗という対戦成績が示すように、中盤までは1点を争う好ゲームとなった。

 1回表、日本ハムは内野安打で出塁したランナーを一塁に置いた場面、5番・中田翔が金子のスライダーを完ぺきにとらえ、レフトへライナー性の当たりを飛ばした。これで2死二、三塁と先制のチャンスをつかむ。しかし、ここは金子が踏ん張る。6番・小谷野栄一をライトフライに打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 その裏、大谷がCS初のマウンドに上がった。まずは心を落ち着かせるかのようにスパイクのひもを結び直した大谷。1死からランナーを出すも、今季首位打者の3番・糸井嘉男、4番・T−岡田を連続三振に切って取り、今季の対戦成績を2勝0敗としている相性の良さをうかがわせた。

 2回、両エースの明暗が分かれた。3者凡退に切ってとった金子に対し、大谷は簡単に2死を取った後、制球を乱した。7番・ヘルマンに左中間にクリーンヒットを打たれ、これが二塁打となる。続く8番・駿太には粘られた末に四球を出してしまう。そして9番・伊藤光への4球目、内角高めへのストレートがシュート回転し、振りにいった伊藤の右の指に当たる。栗山英樹監督は空振りだと抗議するも、これが死球と判定され、大谷は満塁のピンチを迎えた。すると、1番・平野恵一に四球。押し出しでオリックスが1点を先制した。明らかに動揺の色が見える大谷。続く2番・坂口智隆にも死球を与え、2者連続の押し出し。オリックスが2点をリードした。

 しかし、大谷はすぐに立ち直りを見せ、3、4回を3者凡退に切って取る。すると5回表、打線が反撃。先頭の6番・近藤健介が詰まった当たりもセンターへポトリと落ちるテキサスヒットで出塁した。7番・ミランダ、8番・大引啓次は内野ゴロに倒れるも、近藤は三塁へと進む。ここで9番・大野奨太が金子のストレートを完璧にとらえ、ライトへ打球を飛ばす。近藤がホームに返り、日本ハムが1点差に迫った。

 1点を失ったものの、5回まで60球、4安打無四球と抜群の安定感を見せていた金子だったが、6回表、2死から中田にこの試合初めての四球を与える。続く小谷野にはレフト前に運ばれ、一、二塁としてしまう。逆に得点のチャンスをつかんだ日本ハムは、近藤、ミランダに連続タイムリーが出て、勝ち越しに成功した。

 しかしその裏、オリックスがすかさず反撃する。先頭のT−岡田が内野安打で出塁すると、5番・安達了一がきっちりと送りバントを決め、T−岡田を二塁に進める。ここで6番・川端崇義が初球、真ん中高めのストレートをとらえ、センターへ。この打球が捕球しようとした陽岱鋼の前で高くバウンドし、陽が後逸。この間にT−岡田が一気に三塁も回り、同点のホームを踏んだ。さらに2死一、二塁と勝ち越しのチャンスをつかむと、伊藤がライトへ鋭い当たりを飛ばした。二塁ランナー川端がホームを狙い、オリックスが勝ち越すかと思われた瞬間、ライト西川遥輝から最高の球が送られ、間一髪タッチアウト。オリックスの勝ち越しを防いだこの好プレーが、日本ハムに流れを引き寄せることになる。

 試合を振り出しに戻したオリックスだったが、7回に金子を下げて継投策に出たことが裏目に出る。7回表、2番手・岸田護が1点を失うと、8回表には4番手・佐藤達也が大乱調。中田、小谷野に連打を浴びて無死二、三塁とすると、近藤に犠牲フライを打たれて1失点。さらにミランダ、大引を歩かせて1死満塁とピンチを招く。2死後、1番・西川をストレートの四球で出し、押し出しで2点目を献上した。

 一方、継投策が吉と出たのは日本ハムだった。宮西尚生、クロッタ、増井浩俊とつなぎ、いずれも無安打無四球でオリックス打線を完璧に封じた。大谷は6回3失点も、打線や救援陣の援護でプレーオフ初登板初勝利を挙げた。