17日、ミャンマーで開催中の「AFC U−19アジア選手権」は準々決勝が行われ、U−19日本代表はPK戦の末、同北朝鮮代表に敗れた。日本はベスト4以上に与えられる来年の「FIFA U−20W杯」出場権を逃した。日本は序盤から押し気味に試合を進めたものの、決定機を生かすことができない。すると前半37分、DFキム・クチョルに先制弾を許した。0−1で迎えた後半、日本は攻め手を欠いてなかなかチャンスをつくり出せなかった。同点に追いついたのは38分、MF金子翔太がPA内で相手に倒されてPKを獲得し、これをFW南野拓実が決めた。だが、試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。先攻の北朝鮮が5人全員成功したのに対し、日本は5人目の南野のキックがGKにストップされた。日本は4大会連続でU−20W杯の出場権を逃がすことになった。

 南野、同点弾も2度目PKで痛恨の失敗(ミャンマー)
U−19日本代表 1−1 U−19北朝鮮代表
   (PK 4−
 またも世界への切符を掴むことができなかった。
 序盤から主導権を握ったのは日本だった。前半10分、ゴール前で得たFKをMF井手口陽介が右足で直接狙った。しかし、シュートは右ポストを直撃。26分には、FWオナイウ阿道がPA内左へのスルーパスに反応して左足で狙ったが、わずかにゴール左に外れた。さらに30分、南野がMF関根貴大からのスルーパスに抜け出し、GKと1対1の場面を迎えたものの、シュートはGKにセーブされた。

 度重なるチャンスを生かせないでいると、逆に北朝鮮に数少ない決定機をモノにされた。37分、右CKからのこぼれ球をゴール前でFWキム・ユソンにシュートを打たれる。これはGK中村航輔がパンチングで弾いたが、右サイドから上げられたクロスを、キム・クチョルに頭で合わせられた。人数は揃っていたものの、北朝鮮の波状攻撃にマークにズレが生じたところを捕まえきれなかった。

 その後、北朝鮮がロングボール主体の攻撃から一転し、守備に人数をかけるようになった。日本はなかなかスペースを見つけられず、1点ビハインドの状況で試合を折り返した。

 日本は後半も引いて守る相手を前にシュートに持ち込むことができない。ようやくチャンスをつくったのは29分だ。右サイドからのFKに、DF内山裕貴が頭で合わせ、シュートが左ポストを強襲。ゴール前に跳ね返ったボールに、南野が詰めた。しかし、南野はピッチに足をとられたのか、体勢を崩してシュートを打つことができなかった。日本はまたもチャンスを生かせなかった。

 それでも38分、金子が左サイドでボールを持つと、中央へスライドしながらPA内に進入。2人のDFを抜いたところで、キム・クチョルに足をかけられた。判定はファール。倒された金子は地面を叩いて喜びを表現した。与えられたPKを、南野がGKの逆を突いてゴール左に沈め、日本が土壇場で試合を振り出しに戻した。

 迎えた延長戦も、日本が北朝鮮を押し込んだ。だが、かたちをつくってもゴールが遠い。延長前半13分、坂井が左サイドかの折り返しに合わせたがDFにブロックされた。結局、流れの中から北朝鮮ゴールをこじ開けることはできないまま、PK戦に突入した。

 先攻・北朝鮮、後攻・日本ともに4人目まで成功し、スタジアムは異様な雰囲気に包まれた。プレッシャーのかかる5人目。北朝鮮のキッカー、FWヨ・ソルソンのシュートがゴール右に決まり、日本は失敗した瞬間に敗退という状況に立った。5人目を務めた南野が右足で振り抜いたシュートは後半に蹴った時と全く同じゴール左下へ。しかし、今度はGKチャ・ジョンフンに横っ飛びでストップされた。南野は呆然と立ち尽くすしかなかった。

 日本は北朝鮮よりも質の高いプレーをしていた。相手がラフプレーや執拗な時間稼ぎを繰り返したの対し、クリーンな姿勢でゴールを奪おうとした。だが、勝てなかった。ドイツの“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーは言った。「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」と。日本の選手は、北朝鮮の選手が喜びを爆発させてピッチを駆け回った光景を忘れてはならない。