世界の頂点を決める4年に一度の戦いが幕を開ける――IBSAブラインドサッカー世界選手権2014が、16日から東京・国立代々木競技場で行なわれる。ブラインドサッカーとは、視覚障がい者がプレーするサッカーのことで、大会には、パラリンピック3連覇中のサッカー王国ブラジルをはじめ、各大陸予選を突破した強豪国がズラリと並ぶ。その中で、アジアパラ競技大会では強豪・中国を凌ぐ銀メダルを獲得した日本が、アジア初開催の今大会でどんな戦いを見せるのかに注目だ。
(写真:アジアパラ競技大会で銀メダルを獲得した日本代表)
 ブラインドサッカーは、アイマスクをした4人のフィールドプレーヤーが、鈴入りのボールの音を聞き分けて、攻撃、守備をする。また、守備側はボールを持った選手に近づく際、「Voy(ボイ)」という言葉を発することが義務付けられている。「Voy(ボイ)」とはスペイン語で「行く」という意味の言葉で、プレーヤー同士で衝突しないようにしたルールだ。一方、ゴールキーパーは視覚に障がいのない晴眼者が務め、守備の指示をする。また、ゴール裏には「コーラー」と呼ばれる晴眼者が1人つき、攻撃する際のゴールの位置やシュートする方向をフィールドプレーヤーに伝える。

 こうしたルールを見ると、障がい者スポーツ全てにおいて言えることだが、固定観念にとらわれることなく、工夫次第でいかようにもやれてしまうのがスポーツなのだ、ということを改めて感じさせられる。

 さて、ブラインドサッカーの魅力はといえば、サッカーあるいはフットサルの要素はもちろんのことだが、ブラインドサッカーならではのものがある。ドリブルのスピード、コントロール、ボールタッチのやわらかさ、シュートの正確性……どれをとっても「見えていない」ということを忘れてしまうほど質の高いパフォーマンスだ。

 ヒールキックあり、クロスからのヘディングシュートあり、の光景に、初めて見る人は「視覚障がい者のサッカー」という試合前のイメージが、試合開始のホイッスルが鳴ったとたんに、消え去ってしまうに違いない。そして、ふとした瞬間に気づく。「あれ、そういえば選手って見えていないんだ……」と。すると、そこには一般のサッカーやフットサルにはない興奮が芽生えてくるに違いない。
「見えていないのに、あんなプレーができるのか……!」
 そこからは、“ブラインドサッカー”というひとつのスポーツから生まれる魅力に吸い込まれていくことだろう。

「見えない。そんだけ。」――今大会のキャッチコピーだが、まさにその通りだ。百聞は一見にしかずである。ぜひ、会場に足を運んで生の“ブラインドサッカー”の魅力を味わってほしい。


〜大会日程〜
16日(日)
12:00〜 開会式
13:30〜 日本vs.パラグアイ
15:30〜 フランスvs.モロッコ

17日(月)
11:00〜 スペインvs.アルゼンチン
13:00〜 ブラジルvs.トルコ
17:30〜 中国vs.コロンビア
19:30〜 韓国vs.ドイツ

18日(火)
11:00〜 パラグアイvs.フランス
13:00〜 コロンビアvs.ブラジル
17:30〜 ドイツvs.スペイン
19:30〜 モロッコvs. 日本

19日(水)
11:00〜 中国vs.トルコ
13:00〜 韓国vs.アルゼンチン
17:30〜 モロッコvs.パラグアイ
19:30〜 日本vs.フランス

20日(木)
11:00〜 ブラジルvs.中国
13:00〜 トルコvs.コロンビア
17:30〜 スペインvs.韓国
19:30〜 アルゼンチンvs.ドイツ

21日(金) 準々決勝
22日(土) 5位、9位トーナメント
23日(日) 9、11位決定戦 準決勝
24日(月) 3、5、7位決定戦 決勝

詳しくは>>ブラインドサッカーオフィシャルウェブサイト