愛媛FCは13日、石丸清隆監督の今季限りでの退任を発表した。後任は未定。15日のギラヴァンツ北九州戦がホームでの最後の指揮となる。石丸監督は昨季、ユース監督から昇格するかたちで就任。昨季は12勝11分19敗の17位だった。今季は天皇杯でJ1の川崎フロンターレを破り、4回戦まで進出したが、リーグ戦では13日現在、11勝12分17敗の17位と低迷していた。
 初のクラブOB監督として期待された指揮官は、2年の短期政権に終わった。
 石丸監督はJFL時代の2005年のシーズン途中から約1年半、愛媛でプレー。J2昇格に貢献すると、引退後もクラブに残り、トップチームコーチ、ユース監督を務めてきた。早くから将来の監督候補と目されており、11年シーズンで事実上の解任となったイヴィッツア・バルバリッチ監督(現コンサドーレ札幌監督)の後任として指揮を執った。

 だが、就任1年目は開幕前からケガ人が続出。リーグワースト4位タイの43得点と得点力不足に泣き、目標としたクラブ最高位の9位以上を大きく下回る17位に沈んだ。

 2年目の今季はFW西田剛やMF堀米勇輝ら補強した攻撃陣が機能。FW河原和寿と西田がともに10ゴール以上をマークするなど、得点力は改善された。リーグ戦では開幕14連勝だった湘南ベルマーレをホームで撃破(5月24日)。4年ぶりの3連勝を収めるなど昇格プレーオフ圏内をうかがえる位置につけながら、その後は逆転負けや大量失点のゲームが目立ち、後退した。

 天皇杯こそ3回戦(8月20日)でJ1の川崎に対し、U-19日本代表のMF表原玄太のゴールで下す金星をあげたものの、同時期のリーグ戦では6戦連続未勝利と波に乗り切れなかった。2試合を残し、得点はリーグ8位の50ゴールと増えた一方で、逆に54失点はリーグワースト6位。攻守のバランスが保てず、昨季と同じ順位にとどまっている。

 愛媛は石丸監督が就任した12年から、「3年でJ1昇格」をテーマとして掲げてきた。しかし、実際にはJ1昇格どころか、J3降格の危機を回避するのが精一杯の状況で、3年計画は絵に描いた餅となりつつある。本気でJ1を目指すのであれば、誰をリーダーに据え、どのような陣容を整えるのか。来季は節目のJ10年目。フロントの責任が大きく問われることになる。

<最後のJFL経験選手、DF関根と契約更新せず>

 愛媛FCは、DF関根永悟と来季の契約を更新しないことを発表した。本人は他クラブでの現役続行を希望している。埼玉県出身の関根はホンダルミノッソ狭山FCから05年に当時JFLだった愛媛へ加入。当初は右サイドバックの控えだったが、豊富な運動量と、故障者の多いチーム内でタフな点が評価され、09年以降はレギュラーに定着する。

 だが、ここ数年はケガも目立ち、昨季はリーグ戦8試合の出場にとどまっていた。今季も開幕3試合こそスタメン出場を果たしたものの、以降は出場がなかった。J2での通算成績は176試合2得点。昨季のMF赤井秀一(現FC今治)に続き、10年在籍した関根がクラブを去ることで、JFL時代を経験した選手は皆無となる。