(写真:同学年の西本<左>との2年連続の決勝を制した桃田)

 第72回全日本総合バドミントン選手権大会各種目決勝が1日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われた。男子シングルスは桃田賢斗(NTT東日本)が西本拳太(トナミ運輸)にストレート勝ち。2大会連続3度目の優勝を果たした。女子ダブルスは永原和可那&松本麻佑組(北都銀行)が福島由紀&廣田彩花組(アメリカンべイプ岐阜)を2-1で下し、大会初優勝。福島&廣田組の3連覇はならなかった。

 

 そのほか、混合ダブルスは渡辺勇大&東野有紗組(日本ユニシス)が3連覇。渡辺は遠藤大由(日本ユニシス)と組んだ男子ダブルスも制し、自身2度目の大会2冠を成し遂げた。女子シングルスは奥原希望(太陽ホールディングス)が4大会ぶり3度目の優勝を果たした。

 

 今年の世界選手権を制した桃田と永原&松本ペアが、国内の舞台でも持ち味を遺憾なく発揮した。

 

 男子シングルスの桃田はラケットワーク、レシーブの巧さを披露し、会場を大いに沸かせた。「本当に獲りたいタイトル」という天皇杯を2年連続で掲げた。

 

 決勝の相手は昨年と同じ、同い年の西本だった。「同級生のライバルということもあり、意地の張り合い。力強いクリアーを押し込めば、次のラリーで西本が打ち返してきた。質の高いプレーで決め合うのは、すごく楽しかった」。自然と笑顔がこぼれることもあった。一方の西本は「ライン際に打ってもクオリティーの高いシャトルが返ってくる。クリアー、ロビングに対しても入りが速い。いろいろな球を打ち分けてくる。そこに圧倒された」と力の差を痛感したという。

 

 第1ゲームは順調にポイントを重ね、21-14で先取した。「去年は1ゲーム目を取ってから、2ゲーム目に決め急いでから相手のペースになった。ファイナルまで苦しんだ。今年はそういう場面もなく冷静に状況判断しながらプレーできた」と桃田。2ゲーム目も自分のペースで試合を運んだ。

 

 西本の強打を拾うレシーブ力。そして相手を翻弄するかのようにコートの四隅に打ち分けた。8-7から6連続ポイントで突き放すと、16-12から5連続ポイントで勝負を決めた。左の拳を振り上げ、派手にガッツポーズを作った。昨年はヒザを付き、喜びを噛み締めていた。今年は“どうだ”と言わんばかりに、力でもぎ取ったように喜びを表現した。

 

 昨年との違いについて、桃田はこう語る。
「昨年は世界ランク1位になって気持ちがフワフワしていた。“このままでいいのかな”と気持ちのどこかで弱い部分もあった。今年はツアー10大会優勝することができた。自分が目指す“世界ランキング1位”にはまだまだ遠いんですけど、自信を持って2連覇に挑むことができました。その自信が相手のプレッシャーになったと思う」

 

 昨年9月にBWF世界ランキング1位に躍り出て以降、その座を守り続けている。
「昨年はディフェンス主体。長いラリーでミスを誘うプレーでした。でも世界のトップランカー相手では守り切れない場面があった。今年はスピードを上げ、攻撃をテーマに取り組んでいます」
 フィジカル強化により、シャトルの下に素早く入れるようになった。それにより次の一手が打ちやすくなり、相手を惑わせる。その成果が世界選手権連覇を含む今季10度の国際大会優勝という安定感だったのだろう。

 

 オリンピックレースは来年4月末まで続くが、「1試合1試合の積み重ね。全力で取り組むことで、その先にオリンピックがあると思っています」と肩肘は張らない。桃田は度々、周囲への感謝を口にする。「プレーでしか自分は返すことができない」。自分らしく、楽しみながらプレーした25歳が笑顔で大会を締め括った。

 

 女子ダブルスの永原&松本ペアは初の決勝進出ながら、準決勝で髙橋礼華&松友美佐紀ペア(日本ユニシス)を破った勢いのまま頂点に駆け上がった。

 
 決勝は世界選手権決勝で2度とも勝っている福島&廣田ペアが相手だが、最新のBWF世界ランキングでは1ランク上(福島&廣田組が2位、永原&松本組が3位)の存在だ。全日本総合も2連覇中と国内でのキャリアも劣っている。
 
「初めての決勝。思い切ってやろうと思い入りましたが、浮足立った」とは永原の談。第1ゲームは松本が「攻めてもレシーブされ、押せない展開だった」と振り返ったように、10ー21で先手を取られた。
 
 持ち味は170cmを超える高さから強打で押すスタイルだ。「1ゲーム目は自分たちのプレーを出せなかった」と永原。松本は「素直な球回しになり、相手にハマッてしまっていた」という。翻って2ゲーム目は気持ちを切り替え、出だしからスピードを上げた。
 
「自分たちから仕掛ける」
 攻めの姿勢を失わなかったことが功を奏し、21ー15で取り返した。ファイナルゲームへと望みを繋いだ。
 
「悔いのないように自分たちのプレーを出そうと思った」と松本。2ー2の同点の場面から一気に畳み掛けた。11連続ポイントで突き放す。永原が「点数が離れてたとしても、点差を見ないで点を重ねることができた」と胸を張ったように、その後も着実に得点を取り続けた。最後は永原が押し込み、21ー8で初優勝を決めた。
 
 全日本総合ではベスト4の壁を破っての戴冠だ。所属先の佐々木翔監督は全日本総合の決勝を経験し、2度の優勝を果たした。
「2人はいい意味での鈍感力を持っている。初の決勝でも突っ走って優勝できる。私とは性格が違う。それが2人の良さ」
 
 オリンピックレースに弾みを付ける初Vだ。女子ダブルスは最大2枠の椅子を争っている最中だ。永原は前を見る。
「これまで引っ張ってもらえる立場でした。日本の女子ダブルスは混戦で、これからも熾烈な争いは続くと思います。みんなで高め合い、切磋琢磨していけたら日本はもっと強くなる。引っ張り合える関係になれたら」
 
(文・写真/杉浦泰介)