1日、第64回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝2020)が行われた。群馬県内を巡る7区間100キロのコースを制したのは旭化成。6区でニューイヤー駅伝ルーキーの小野知大が区間新の快走で2位トヨタ自動車を引き離し、アンカーの7区・鎧坂哲哉がトップでフィニッシュした。旭化成は4連覇で通算25回目の優勝。

 

 9時15分、号砲とともにスタートしたレース。トーエネックの服部弾馬が飛び出し、スタート早々からハイペースの展開となった。2キロを過ぎるまでトップをキープした服部は、区間新更新もあわやというハイペースを見せ、これにより後続集団もペースアップした。このハイペースに惑わされたのが優勝候補の一角MHPSの的野。2キロ過ぎまでトップ服部を追った的野だったが、その後、集団に飲み込まれる形で失速。1区32位と大きく順位を落とすこととなった。

 

 2.7キロ地点でトヨタの藤本がトップに立ち、その後、旭化成の茂木、ホンダの小山、JR東日本の大隈がトップ集団を形成。中継地点まで激しくトップを争い、最後は大隈が抜け出しトップでタスキをつないだ。

 

 外国人選手の出場が認められるインターナショナル区間の2区、旭化成のK・アブラハム・キャプシスがJR東日本のポール・クイラを2キロ地点でとらえてトップに浮上した。そのままキャプシスが快走し、旭化成がトップをキープ。1位旭化成、2位小森コーポレーション、3位ヤクルトでレースは3区に入った。

 

 3区で旭化成・市田宏がトップを快走し、その後ろでは、14位でタスキを受けたトヨタの西山が前走者を次々に追い抜き、11人抜きで3位まで浮上した。12.5キロ地点で旭化成の市田宏がスパートし、旭化成、カネボウ、トヨタの順で4区へ突入した。最長22.5キロの4区は各チームがエースランナーを投入。旭化成の市田孝を先頭に、トヨタ、ヤクルトが続いた。

 

 後方集団で目立ったのはホンダの設楽悠太だ。ホンダは2区23位から9位まで順位を上げ、設楽も5キロ地点で7位に浮上すると、その後も快調に飛ばし、10キロ過ぎから14キロ地点までで4チームをかわし3位、優勝圏内まで挽回してみせた。トップ争いは旭化成とトヨタ。16キロ地点でスパートしたトヨタの大石がトップに立ち、12秒の差をつけ5区の服部勇馬へタスキをつないだ。

 

 服部は持ち前のスピードをいかし、2位旭化成・村山謙太の追撃を許さない。だが11キロ地点で14秒あった差は、その後、村山がスパートし6秒にまで縮まった。トヨタ、旭化成の順で6区へと突入した。

 

 6区序盤、トヨタ田中が2位旭化成の小野との差を10秒に拡大。だが、4キロ過ぎに小野が勝負に出て、スパート。一気に田中との差を縮め、トップに立った。5キロ過ぎから小野のペースが上がり、2位田中との差は徐々に開いていった。高卒2年目でニューイヤー駅伝ルーキーの小野は、35分13秒の区間新記録で40秒の差をつけ、アンカーの鎧坂へタスキをつないだ。

 

 最終7区で鎧坂は後ろを振り返ることなくトップを快走。5キロ地点で2位トヨタに1分14秒の差をつけた。その後も快調なペースで走った鎧坂が危なげなく逃げ切り、ゴール。旭化成が3度目の4連覇を達成した。2位はトヨタ、3位には昨年24位から復活のホンダが入った。4位のJR東日本は初入賞となった。5位に初出場のGMOアスリーツが入り、6チームで最後まで争った入賞争いは6位・愛三工業、7位・ヤクルト、8位・コニカミノルタの順となった。

 

(取材・文/SC編集部西崎)