ラグビーW杯を運営するRWCL(ラグビーワールドカップリミテッド)は2日、アイルランド・ダブリンで理事会を開き、2019年に開かれる日本大会の開催都市を12カ所に決定し、承認した。開催都市に選ばれたのは、札幌市、岩手県・釜石市、埼玉県・熊谷市、東京都、神奈川県・横浜市、静岡県、愛知県・豊田市、大阪府・東大阪市、神戸市、福岡市、熊本県・熊本市、大分県。これを受けて都内で会見を開いたラグビーワールドカップ2019組織委員会の御手洗冨士夫会長(日本経団連名誉会長)は「開催都市と綿密な連携をとり、素晴らしい大会になるよう盛り上げていきたい」とW杯成功を改めて誓った。
(写真:開催都市ボードの前で記念撮影する大会アンバサダーの(左から)元木由記雄氏、大畑大介氏ら)
 開催都市の選定は昨年10月、希望申請書の受付を行い、14カ所から立候補があった。その後、12月に神奈川県と横浜市が共同で申請を行い、組織委が受理したため、15カ所に増加。1月の立候補都市視察を経て開催都市案が作成され、この日のRWCL理事会で正式決定した。立候補都市のうち、仙台市(仙台スタジアム)、京都市(西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)、長崎県(長崎県立総合運動公園陸上競技場)が落選した。 

 当初、RWCLは運営コストや集客などの観点から適性な会場数は「10」との意向を示してきた。しかし、組織委は「大会は日本全国、みんなでつくりあげ、盛り上げていくもの」との観点から、12会場を主張。協議の結果、現地で会見に出席した嶋津昭事務総長によると、「試合運営機能、大会運営上の都市基盤、地理的条件と会場の規模のバランス、開催意義やラグビーレガシー、そしてラグビーの盛り上がりを総合的に勘案して」、RWCLも12会場での開催に合意した。

 希望が認められたことに嶋津事務総長は「ベストオブベストと言える」と胸を張った。都内の会場で発表を見守った森喜朗副会長(日本ラグビー協会会長)は「感無量」と喜びの表情をみせた。

 御手洗会長、森副会長とともに、会場には下村博文文部科学大臣、日本大会成功議員連盟会長代理を務める中谷元防衛大臣ら多数の国会議員が並んだ。下村文科相は「開催自治体、組織委員会、ラグビー協会と連携を密にして地域を巻き込んだプロモーション活動を支援していきたい」とバックアップを約束。中谷防衛相も「大会成功のためには合宿地、キャンプ地の決定、開催都市の財政的支援、協議の普及などいろいろな課題がある。一致協力して臨みたい」と政治面からのサポートを表明した。

 W杯には選手として第1回大会から3度出場し、99年のウェールズ大会でジャパンの指揮を執った組織委の平尾誠二理事は「回を重ねるごとに大会が大きくなってきた。2019年は予想以上の大きな大会になる」と挨拶。アジアでの初開催に「W杯にイノベーションを起こすための大きな役割を担っている」と決意を新たにしていた。同席した大会アンバサダーの元日本代表選手たちも、「日本開催のW杯に参加した選手、ファンの皆さんが人生の中で最高の思い出となるように気を引き締めて頑張りたい」(大畑大介氏)と4年後への意気込みを語った。

 今後は9月開幕のイングランド大会を踏まえて、来春以降にキャンプ地選定のプロセスが発表される。具体的な試合日程が決まるのは2017年以降だ。2020年の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長でもある森副会長は「五輪・パラリンピックは(W杯の)翌年に開催されるが、東京中心。W杯は日本全体でやる。五輪と違うおもてなしができる」と強調する。

 残り4年強でビッグイベント開催の機運をどこまで高め、準備を整えられるか。開催都市というメンバーは決まった。オールジャパンでパスをつなぎ、トライにつなげたい。

 開催都市と試合会場は以下の通り(数字は収容人数)。

札幌市        札幌ドーム 41,410(サッカーモード)
岩手県・釜石市   釜石鵜住居復興スタジアム(仮) 16187
埼玉県・熊谷市   熊谷ラグビー場 24,000
東京都        新国立競技場 約80,000
神奈川県・横浜市 横浜国際総合競技場(日産スタジアム) 72,327
静岡県        小笠山総合運動公園エコパスタジアム 50,889
愛知県・豊田市   豊田スタジアム 45,000
大阪府・東大阪市 花園ラグビー場 30,000
神戸市        御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸) 30,132
福岡市        東平尾公園博多の森球技場(レベルファイブスタジアム) 22,563
熊本県・熊本市   熊本県民総合運動公園陸上競技場(うまかな・よかなスタジアム) 32,000
大分県        大分スポーツ公園総合競技場(大分銀行ドーム) 40,000