26日、東京オリンピックの国内代表選考会を兼ねた「第39回大阪国際女子マラソン」が大阪・ヤンマースタジアム長居を発着点に行われ、松田瑞生(ダイハツ)が日本歴代6位の2時間21分47秒で優勝した。松田は日本陸上競技連盟が選考基準に定めた記録(2時間22分22秒)をクリアしたため、東京オリンピック代表3枠目の筆頭候補に。3月の名古屋ウィメンズマラソンで日本人選手が松田の記録を上回らなければ、代表に内定する。

 

 秋のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)で涙を飲んだ松田が、冬の大阪で笑顔を取り戻した。

 

 東京オリンピック出場権をかけた戦いは9月、東京で行われた。そこで女子の代表は前田穂南(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)が決まり、残り1枠の暫定トップとなる3位には小原怜(天満屋)が入った。

 

 優勝候補にも挙げられた松田は4位。悔し涙を流した。残り1枠を巡る争いで小原を抜くには、3レース(さいたま、大阪、名古屋)のいずれかにおいて日本歴代9位にあたる2時間22分22秒以内で走った最速ランナーにならなくてはならない。

 

 さいたまでは上記に該当する者がおらず、大阪には松田、小原に加え、4年前に大阪でリオデジャネイロオリンピックの代表を手にした福士加代子(ワコール)がエントリー。ハーフマラソンの日本記録を更新したばかりの新谷仁美(積水化学)らがペースメーカーに起用され、レースを引っ張った。

 

 10km通過は33分7秒のハイペースを刻む。このままいけばフィニッシュタイムは2時間20分を切る。1人、また1人と先頭集団からこぼれていく中、松田は先頭でレースをリードする。小原、福士も離れていく中、24km過ぎには松田とミミ・ベレテ(バーレーン)との一騎討ちに。

 

 2時間21分22秒の自己ベストを持つベレテ相手に松田は真っ向勝負を仕掛けた。31km過ぎに抜け出すと、力強い走りで逃げ切った。途中、苦しそうな表情を見せる場面もあったが、ゴールテープを切る際には右拳を突き上げた。松田は自己ベストを36秒塗り替える会心のレース。東京オリンピック代表の座をグッと手繰り寄せた。

 

(文/杉浦泰介)