ロシアワールドカップで日本代表のベスト16進出に貢献した昌子源がJリーグに戻ってくる。

 

 古巣の鹿島アントラーズではなく、ジュニアユースで在籍したガンバ大阪への完全移籍には驚かされた。ガンバの守備陣は一気に層が厚くなった印象だ。日本代表の三浦弦太、韓国代表のキム・ヨングォン、それにGKには昌子とロシアワールドカップでともに戦った東口順昭がいるのだから他のクラブがうらやむほどの守備の陣容になる。背番号は「3」に決まった。

 

 フランス1部トゥールズでの挑戦は1年で終わってしまった。2018年末に鹿島から移籍し、昨季終了までの全試合に出場するなどチームの中心を担ってきたが、今季は開幕前に左太腿を負傷。復帰した9月25日のホーム、アンジェ戦で今度は右足首を痛めてしまい途中交代した。以降も足首痛が再発した影響もあってか、試合から遠ざかっていた。

 

 患部の状況や現在のコンディションは気になるところ。2月23日のJ1開幕戦(対横浜F・マリノス、日産スタジアム)に間に合うかどうかは不透明だが、チームへの早期合流を目指しているという。

 

 昌子のJリーグ復帰は日本代表にとっても大きい。順調にコンディションが上がってくれれば、東京五輪(男子サッカーは7月23日開幕)に出場するU-23代表のオーバーエイジ(OA)有力候補になってくるからだ。

 

 大迫勇也の所属するブレーメンが東京五輪出場を容認するという報道が出ている。メダル獲得のためには経験のあるOAの存在はやはり重要で、3枠すべて使う可能性は十分にあると言っていい。

 

 欲しいポジションはエースストライカー、センターバック、攻撃を組み立てられるボランチになるだろうか。大迫が本当に出場可能ならば、他のポジションでの検討に入っていると思われる。

 

 昌子がなぜセンターバックのなかで有力候補となるのか。

 

 元々リストアップはされているはずだが、国内に移ることで代表活動がやりやくなるからだ。海外組がOA候補としてU-23代表の強化試合に参加する場合(U-23代表も同様)、所属クラブの承認が必要となる。もっと言えば五輪本大会の招集にも強制力が働かないため、ここでも交渉が必要となってくる。

 

 たとえばサンプドリアに移籍した吉田麻也をOA候補として呼びたいと思っても、そこには高いハードルが待っているわけだ。Jリーグのクラブに所属していれば、いろいろと融通が利く。

 

 五輪代表のスケジュールを見ていこう。3月27、30日に国内で強化試合が2試合組まれている。5月には福島のJヴィレッジで国内キャンプ、6月には海外遠征、そして本大会に向けて7月6日から仕上げのキャンプとなる。大会直前の7月17日には壮行試合が予定されている。

 

 もし国内組であれば、クラブの許可さえあればキャンプの遠征も参加可能になる。チームづくりに1枚かんでいく意味でも国内組のOAは貴重な存在となり得るのだ。

 

 またそればかりでなく、日本の環境に慣れるというのもメリットだと思う。欧州から戻って日本の暑さに慣れるよりもコンディションはスムーズにつくれるだろう。

 

 森保一監督はロシアワールドカップでコーチを務めており、昌子の実力やパーソナリティーを知っている。元々リーダーシップに長けていることも承知しているはずだ。

 

 昌子がガンバでいいパフォーマンスを発揮していけば「OAに昌子を」という声は自然に高まってくるに違いない。


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