新型コロナウイルスの影響によって延期が続いているJリーグ。NPB(日本野球機構)との「新型コロナウイルス対策連絡会議」における専門家からの意見を踏まえ、実行委員会で今月18日からの再開見送りを決定した。4月3日からの再開を目指すという。

 

 日本スポーツ界ではプロ野球のオープン戦、大相撲春場所などが感染拡大防止の観点から無観客開催を実施。同じく無観客に踏み切ったBリーグは選手や審判員の発熱で中止になる試合が出たことから、4月1日までの試合を取り止めた。4日以降の試合やポストシーズンについては今後の状況を見ての判断になるという。

 

 選抜高校野球は既に中止が決定している。またプロ野球は4月10日以降の開幕を目指す方針を明らかにしている。

 

 各スポーツ界が難しい判断が迫られるなか、Jリーグも今月25日をメドに3日から開催できるかどうかを再び判断しなければならない。

 

 人々の健康を守ることが何よりも優先されなければならない。現状、新型コロナウイルスの感染拡大にストップは掛かっておらず、4月3日からの通常開催は難しいという見立てが出ている。感染拡大がどの程度になっているかという問題はあるにせよ、次なる決断は「再延期」か、それとも「無観客開催」かになってくる。

 

 Jリーグの村井満チェアマンは無観客開催を「最終手段」としている。12番目のプレーヤーであるファン、サポーターあってのJリーグだということは言うまでもない。日程変更や大会方式の見直しを優先するというのは十分に理解できる。

 

 3日に再開できればYBCルヴァンカップも現行方式を崩さなくていいという。しかし逆に言えば3日に再開できなかったら、YBCルヴァンカップを踏まえて大会の見直しに踏み切らなくてはならない。

 

 今のJリーグのスタンスだと「再延期」が次の選択肢と言えるだろうか。だが筆者は「無観客開催」も検討すべきではないかと考える。

 

 大相撲の無観客開催をテレビで見て思うのは、会場に観客がいない寂寥感がある一方で、「日常にスポーツがある」という安心感も心に入ってくる。実況アナウンサーが「学校に行けないので、相撲を観るのが楽しみ」という子供のファンの声を紹介していた。

 

 スポーツを楽しみにしている人は多い。

 

 無観客で開催できる状況であれば、シーズンを消化していくことも大事である。ファン目線のみならず、中断が1カ月以上となっているためにさらに延期となってしまえば選手たちのモチベーション、コンディションに影響が出てこないかという懸念もある。選手目線に立って、公式戦をこなしておくことも頭に入れるべきではないだろうか。

 

 無観客開催を実施すれば当然、各クラブの営業収入に大きな影響が出てしまう。村井チェアマンはJリーグの規約にある大規模災害時補填規定による対応を挙げている。配分金の前倒し支給も検討しているとか。各クラブの経営状況をリサーチしていくなかで、支援の救済措置を展開していかなければならない。

 

 Jリーグはスポーツ動画配信サービスのダゾーンと10年2100億円という大型の独占契約を結んでいる。シーズンを成立させ“ダゾーンマネー”をいかに救済に当てていくか。

 

 上位に手厚くしている分配金の配分を見直すことだって考えてもいい。いろんなアイデアを集め、一時的に「競争」から「共存」に切り替えるべきではないだろうか。救済策を提示できれば、無観客開催となっても各クラブから一定の理解を得られるのではないだろうか。

 

 繰り返すが、人々の健康が最優先されなければならないのは言うまでもない。

 

 ただ無観客でも再開できる段階であれば、再延期と併行して無観客開催の可能性も探ってほしい。やはりサッカーが、スポーツがなくなることは「日常」を失いかねない。「日常にサッカーがある」ことは、人々の希望にもつながるのではないかと個人的には思う。


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