新型コロナウイルスの感染拡大が猛威をふるっています。東京五輪・パラリンピックを含むスポーツ大会の延期、政府からの外出自粛要請など様々な影響が出ています。特に、東京五輪延期は現状を踏まえると仕方ないことだと思います。

 

 東京五輪の1年延期が決定しました。危機的状況ですから仕方ないことだと思います。在住地域によって、トレーニングさえ行えないアスリートもいたはずです。ほとんど体を動かせないまま試合に臨むのは到底無理です。延期の判断は正しかったと思います。既に選考レースを勝ち抜き代表に選出され、今年7月に向けて調整をしていたアスリートもいます。気持ちの整理は簡単なことではないと察します。

 

 五輪男子サッカーに限って言えば「原則23歳以下」の制限があります。東京五輪でいえば1997年1月1日以降に生まれた選手が選出対象です。そこにオーバーエイジ枠3つをどう使うかに頭を悩ませるのがこれまでの五輪です。

 

 東京五輪が来年開催になるならば、「原則24歳以下」に変更するべきだと思います。これに関しては、どのチームの条件は同じですから有利不利は生まれません。公平性は保たれるはずです。FIFA(国際サッカー連盟)とIOC(国際オリンピック委員会)にはうまく寄り添い、柔軟な判断をしてほしい。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、本来順当に行けば代表候補だった選手のモチベーションを下げないためにも、年齢制限に関しては検討してもらいたいものです。

 

 降格なしの判断を支持

 

 Jリーグもコロナ禍の煽りを受け、J1は5月9日、J2は5月2日、J3は4月25日までの延期が新たに発表されました。選手、ファン・サポーターの安全が確保された状態での再開が望ましいので、これも致し方ありません。クラブ側としても、いつも一緒に戦ってくれる人たちから感染者が出てしまっては心苦しいはずです。無観客試合でとにかく、試合を消化しないと……なんてことになると、収益があがらず、クラブの経済事情を悪化させてしまうかもしれません。ここは歯を食いしばり、待つしかなさそうです。場所を提供したがために、クラスターの根源になってしまってからでは遅いのです。

 

 そんな中、先日、鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌のトレーニングマッチがDAZNで放送されました。カシマスタジアムで行われた一戦でしたが、あれはスタジアムに編集機材などがあったから実現できました。鹿島は茨城県から指定管理者としてスタジアムを預かり、過去にはワールドカップも行っています。そういった設備環境が整っていたからこその実現でしたが、こういった試みがもう少し増えればな、と感じます。

 

 さらに今季に限り昇格はあるが、降格はなしになりました。不透明な現状で公平性が担保できないため、降格はなくなりました。昇格に関しては、クラブ、ファン・サポーターの努力、成果を認めるため残されましたね。来季以降はJ1のクラブ数が増え、試合数も増加します。これによりスケジュールの調整、J1からJ2への降格クラブ数の調整なども必要になると思いますが、取り急ぎ、「昇格あり・降格なし」の措置は良かったのではないでしょうか。

 

 僕が支配人を務める鹿島ハイツスポーツプラザもこの1カ月のお客様はゼロです。こういったホテル・旅館業は非常に厳しい局面です。ただ、従業員はいつでもお客様を受け入れられるよう、館内の清掃などに尽力してくれています。会社の誰かが、コロナウイルスに感染してしまうと他の従業員の出勤も制限されてしまうので、自分ひとりが感染してしまうと周囲の人々を巻き込んでしまうことを強く意識し、日々過ごさなければいけませんね。

 

 コロナウイルスに感染されてしまった方々の一日でも早い治癒を願っています。今のところ感染されていない方々は体調管理、手洗い、うがいなど十分に気をつけてこの難局を乗り切りましょう。このパンデミックが少しでも早く解決することを祈っています。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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