日本で開催されるラグビーワールドカップ2019の組織委員会は27日、都内で理事会を開き、元日本代表監督の平尾誠二理事が非常勤の事務総長特別補佐に就任することが決まった。これまでの現場経験に基づき、今後は国内12会場へのアドバイスを行ったり、国内外へW杯の情報発信役を担う。平尾特別補佐は「7回のW杯に携わらせていただいた経験をうまく生かしていきたい」と抱負を述べた。
(写真:記念撮影する嶋津事務総長(左)と平尾特別補佐)
 平尾特別補佐は選手として第1回から3大会連続で出場。第4回大会では監督を務めて代表を率いた。その後もすべてのW杯を現地で体感してきた。それらを踏まえて「W杯は進化した。第1回と比べると別の大会になっている。今回のイングランド大会もさらに進化したものになるだろう。つぶさに観察して日本での大会は過去にない素晴らしいものにしないといけない」との実感を語る。

 第一に取り組む仕事としてあげたのは国内での認知度アップだ。2020年の東京五輪・パラリンピックに比べ、19年のラグビーW杯への機運は十分に高まっていると言い難い。「ラグビーというスポーツが素晴らしいことを伝えていきたい。そこがまず最初」と“ミスター・ラグビー”としての知名度をフル活用する考えだ。

「W杯が最終地点ではない。日本ラグビーのビッグステップ、更なる発展につなげないといけない」
 平尾特別補佐は強い意気込みをみせる。今後は12会場の現地視察も実施し、地域の実情に即した助言を行っていく。

 この日、参議院で「平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案」が可決、成立した。これにより、運営資金に充てるための寄付金付郵便葉書や記念切手の発行、国の職員派遣などが可能になる。

 また、開幕戦と決勝を行う新国立競技場の計画変更が持ち上がっている点に関して、嶋津昭事務総長は「胸がドキドキしている」と率直な心境を明かした。ただ、理事会では特に話題に上がることはなかったといい、「いい競技場ができると信じている」と事態を見守っていく意向だ。

 計画が変更されると、フィールド上の屋根がなくなり、一部の観客席が仮設になる。W杯を主催するワールドラグビーの担当者には6月の来日時に、計画変更を説明する予定だ。嶋津事務総長は「8万人収容のフットボール(のできる)スタジアムとしては変わっていない」と規格変更は問題にならないとの見通しを示した。