FIFA女子ワールドカップカナダ大会で準優勝を収めたなでしこジャパン(日本女子代表)が7日、帰国し、千葉県内のホテルで会見を開いた。五輪も含め、世界大会3大会連続決勝進出という結果に、佐々木則夫監督は、「選手たちが粘り強く、ファイナルに行くんだという思いが叶った。選手たちを誇りに思う」とメンバーを称えた。キャプテンのMF宮間あやは、「目標には一歩届かなかったが、できる限りのことはチーム全員でできた」と大会を振り返った。
(写真:「常にナンバーワンを狙えるという自信を持つことが大事」と今後のテーマをあげる宮間)
 米国との決勝から1日、宮間は「一番欲しかったワールドカップを手にすることができなかった」と無念さをにじませつつも、次に向かって前を向いた。佐々木監督は「選手と経験を積み重ねていく中で世界で3大会通用した」となでしこの成果を強調。「個の質、個の判断を上げ、それをグループにして連係、連動していくことが重要」と今後の課題をあげた。

 今後のなでしこは8月に中国で行われる東アジア杯を経て、来年早々にはリオデジャネイロ五輪のアジア最終予選が待っている。五輪のアジア出場枠は「2」。今回、準々決勝で対戦したオーストラリア、同じくベスト8まで勝ち進んだ中国、16強入りした韓国と地区内のライバルは多い。

 佐々木監督は、「まだリオの切符を手にしたわけではない」と気を引き締めつつ、「前回は銀メダルなので、金メダルを狙うことは間違いない」と再び頂点を見据える。ただ、自身が五輪まで指揮を執るかどうかは、「まずは契約内(今夏まで)の仕事をしっかりした後に」と明言を避けた。

 国内のクラブに所属する選手たちは週末からなでしこリーグが再開する。帰国した選手たちは既に気持ちは切り替わっている様子だ。男女史上初となる6大会連続出場を果たしたMF澤穂希は「皆、悔しい気持ちはあったが、精一杯力を出せた。現実を受け入れないといけない」と語る。

 今回のメンバー最年少、22歳のFW岩渕真奈は「(出場した)2大会で優勝、準優勝で経験値は秀でていると思う。プレーだけでなく、プレー以外の部分でも引っ張っていきたい」と次世代のなでしこをリードする自覚十分だ。「今の現状をピークにしない。リオもあるが、2020年の東京五輪もある」とさらなる飛躍を誓った。

 初出場で初戦のスタメンを任された長身GK山根恵里奈は「4年前(のW杯)はテレビすら見ていなかった。1年後のロンドン五輪は予備登録で決勝をスタンドで見た。今回、決勝の舞台でベンチに入ってメンバーとして戦った。前に進めている実感はある。次はピッチに立つ」と新たな目標を宣言した。

 世界大会で3連続ファイナリストとなったなでしこたちだが、男子と比べれば、待遇面も競技環境も充実しているとは言い難い。奇しくも、この日は七夕。宮間は「サッカーを始めようとしている少女たち、頑張っている選手たちがサッカーを最後まで頑張れたと言える環境になっていければ」と願いをかける。日本サッカー協会の野田朱美女子委員長も「このともしびを消さないように、責任を持って女子サッカーの普及、発展をしっかり考えていきたい」と決意を口にした。

「ここにとどまらず、未来に向けてスタートする一歩が今日から始まる」と佐々木監督は挨拶を結んだ。準優勝の誇りと悔しさを糧に、なでしこは次のステージで大輪の花を咲かせる。
(写真:「あの試合終了のホイッスルが、次のなでしこのスタート」と位置づける佐々木監督)