2日、第97回東京箱根間往復大学駅伝競走は、東京・大手町から神奈川・芦ノ湖までの往路5区間(107.5km)で行われ、昨年10位の創価大学が5時間28分8秒で初優勝を果たした。4区でトップに立つと、そのまま逃げ切った。2位に2分14秒差で東洋大学、3位には2分21秒差で駒澤大学が入った。連覇を狙う青山学院大学は、まさかの12位と大きく出遅れた。

 

 往路の順位は以下の通り。

 

(1)創価大(2)東洋大(3)駒澤大(4)帝京大(5)東海大(6)東京国際大(7)順天堂大(8)神奈川大(9)國學院大(10)拓殖大(11)早稲田大(12)青山学院大(13)城西大(14)明治大(15)日本体育大(16)法政大(17)国士舘大(18)山梨学院大(19)中央大(※)関東学生連合(20)専修大

※OP参加のため順位なし

 

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 4度目の箱根路に挑んだ創価大が初の往路制覇を成し遂げた。区間賞は1人もいなかったものの、1区から区間3位、6位、3位、2位、2位と5区間すべてで6位以内と抜群の安定感が光った。

 

 昨年は1km2分45秒のハイペースだった1区は超スローペースで幕を開けた。1km3分33秒。前回王者の青学大は𠮷田圭太(4年)、國學院大は藤木宏太(3年)とエースを投入。前回2位の東海大はキャプテン塩澤稀夕(4年)、順天堂大学は期待のルーキー三浦龍司を起用したものの、互いに牽制し合う団子状態が続いた。

 

 例年勝負所となる六郷橋で法政大学の鎌田航生(3年)が仕掛けた。コンパクトなフォームで安定したピッチを刻み、塩澤との競り合いに勝った。1時間3分2秒で区間賞。法大は2000年以来の1区トップ通過となった。2位・東海大、3位・創価大、4位・神奈川大学、5位・早稲田大学、6位・青学大がトップと20秒以内の差で続いた。

 

 エースが集う“花の2区”には留学生4人がエントリー。昨年3区で従来の記録を2分以上塗り替える59分25秒という驚異的なタイムを叩き出した東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント(2年)が今年も存在感を見せつけた。14位で襷を受け取ると、オープン参加の関東学生連合チームを含む14人抜き。トップで戸塚中継所に到着した。1時間5分49秒の区間新。昨年、相澤晃(当時・東洋大4年。現・旭化成)が記録した区間記録を8秒更新した。

 

 そのほか駒大の田澤廉(2年)が8人抜き、国士舘大学のライモイ・ヴィンセント(3年)が7人抜き、拓殖大学のジョセフ・ラジニ(2年)が6人抜き。1区トップ通過の法大が16位と、6位の青学大が13位と大きく順位を落とすなど、入れ替わりの激しい区間は、東京国際大から創価大が59秒、東海大が1分1秒、日本体育大学が1分2秒、東洋大が1分5秒遅れて戸塚中継所を通過した。

 

 3区は3位で襷を受けた東海大1年の石原翔太郎が快走。2位集団から抜け出すと、11km過ぎに1位の東京国際大をとらえた。そのまま先頭に立ち、同じ1年生の佐伯陽生に2位に34秒差付けた状態で襷を繋いだ。石原は1時間2分5秒で区間賞を獲得。「狙っていたのでうれしい」と喜んだ。3区は駒大の小林歩(4年)が5人抜きで3位、帝京大学の遠藤大地(3年)が8人抜きで6位に浮上した。

 

 法大、東京国際大、東海大と区間ごとにトップが入れ替わる混戦は4区に入っても続いた。小田原中継所を先頭で通過したのは創価大。昨年10区で区間新記録を叩き出し、創価大初のシード権獲得に大きく貢献した嶋津雄大(3年)が今年も素晴らしい走りを見せた。20.9kmを安定したペースを刻んで1時間2分49秒。区間賞は山梨学院大学のポール・オニエゴ(3年)に譲ったものの、区間2位の力走で、往路初制覇への望みを繋いだ。

 

 山上りの5区。嶋津から襷を受け取った三上雄太(3年)が着実な走りで、トップを守り抜いた。「4区までの選手いい順位で持ってきてくれ、その流れを復路の選手に繋げようと思って走りました」。小田原中継所から最高点まで標高差864mの箱根の山を上り切った。

 

「全く往路優勝は予想していなかった。選手たちが本当によく走ってくれた」と榎木和貴監督はレースを振り返った。今季のチームスローガンは「獅子奮迅~もう一花咲か創価~」。総合優勝という大輪の花を咲かせるため、3日の復路を迎える。指揮官は「先頭を走る喜びを楽しみながら、残りの5区間の選手たちには走ってほしい」と語った。

 

(文/杉浦泰介)