スノーボードハーフパイプ界期待のホープ・青野令選手(松山城南高校2年)。愛媛・東温市内の屋内スキー施設「アクロス重信」を拠点に力をつけ、昨季のスノーボードワールドカップ(以下W杯)男子ハーフパイプで、日本人初の総合優勝という快挙を成し遂げた。
 2010年バンクーバー五輪での表彰台を目指す青野選手に二宮清純がインタビュー。スノーボードを始めたきっかけ、バンクーバーへの意気込みなどを訊いた。


二宮: 南国・愛媛からスノーボードの世界チャンピオンが誕生するなんて、今でも信じられません(笑)。優勝が決まった時の気持ちは?
青野: 自分なんかがワールドチャンピオンになっていいんかな、と。実感もあまりなくて……。

二宮: チャンピオンは狙っていた?
青野: いえ、シリーズチャンピオンというのがあることも知らずにW杯を転戦していました。シーズンの最後にそういう表彰があって、びっくりしました。

二宮: 無欲のタイトル獲得だったわけですね。愛媛・東温市内の屋内スキー施設「アクロス重信」で練習されているそうですが、地元にいつでも滑ることができる拠点があるというのはいいですね。
青野: はい。すごく感謝しています。アクロスがなければ今の自分はないし、アクロスがあるから、今の自分があって、自分の目標が持てると思っています。

二宮: ところで青野選手がスノーボードを始めたきっかけは?
青野: もともとお母さんの妹がやっていて、9歳くらいのときに、大会を見に行ったんです。ちょうど冬休みだったので、僕もやってみようかなと思って。

二宮: 愛媛というとやはり友達は野球やサッカーをやる子が多いでしょう。それでもスノーボードを選んだわけですね。
青野: 大会にも出るようになって、やっているうちに「もっとうまくなりたい」と思うようになりました。

二宮: 冬季五輪で強さを見せる米国勢はW杯にはあまり出場しないそうですが、彼らとの実力を比較してどうですか?
青野: 米国の選手たちは、常に新しい技に挑戦をして、どんどんうまくなっていきますね。遠征のときに、米国で開催された大会に出たんですが、全然かなわなかったです。

二宮: なるほど。でも米国勢に勝てなければ、五輪で金メダルは取れないですよね。米国勢を超える自信はまだない?
青野: そうですね。でも、超えなければ金メダルは取れないので……。もっともっとうまくなりたいです。

二宮: 米国勢に勝つために、何が足りないと思いますか?
青野: 観客や審判への「魅せ方」ですね。やはりハーフパイプは人に見てもらう競技なので、そこは重要だと思います。

二宮: バンクーバー五輪が近づいたら海外転戦もさらに多くなるわけですか?
青野: そうですね。転戦して、いろんなハーフパイプを経験して、どんなパイプでも自分の演技が常にできるようにしていきたいです。

二宮: 青野選手は大会前に何かやることや、ゲンをかつぐことは?
青野: 「笑顔」ですね。滑る前に、とりあえず笑おうとは思っています。

二宮: リラックスして、平常心で臨むためにも良いんでしょうね。2010年バンクーバーに向けた計画は?
青野: 今シーズンも去年くらいの成績を出して、2009年にはオリンピックの内定をもらいたいですね。それで、そのシーズンを練習の期間にできればと思っています。

二宮: バンクーバーまではあと2年。まずは2008年、どんな年にしたいですか?
青野: やはり大会で自分の納得できる滑りができるようになりたいですね。もっともっとうまくなりたいので、いろんな技がいろんなところで出せるようにしていきたいです。

青野令(あおの・りょう)
1990年5月15日、愛媛・松山市生まれ。松山城南高2年。2000年より愛媛・東温市の室内練習場アクロス重信でスノーボードを本格的に始めた。06年キスマーク杯優勝。W杯参戦3シーズン目の昨季、3勝をあげ、日本男子で初の種目別優勝を果たした。163センチ、57キロ。

※この記事は「二宮清純の我らスポーツ仲間」(テレビ愛媛)での対談を元に構成したものです。




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