ぷよぷよを皮切りにeスポーツを始めて半年。そして「あつまれどうぶつの森」(通称・あつ森)を始めて3カ月が経ちました。ずっとゲームが苦手だった私がeスポーツを始めた理由は、以前のコラムを参照(「ぷよぷよ始めました」)いただくとして、今もプレーしながら「果たしてこれはeスポーツなのか?」という疑問は持ったままです。


 さて、あつ森では無人島で個性豊かな仲間たちと暮らしています。島でのアクティビティの中には「釣り」があります。調べてみるとインターネットを介して、島同士を訪問、交流できるようになっていて、ある島では「釣り大会」が催されているとのこと。「大会」となれば、これは完全にスポーツです。早くそこに到達できるように……と夢は広がります。

 

(写真:えちごやのプレー画面より。©Nintendo)

 さて、あつ森生活の様子を少しご紹介します。すでに家も建てたし、橋もつくりました。島のお友達に釣果の「イカ」をプレゼントするとお返しに「ジャージ」をくれました。かわいいです。「クリオネ」をプレゼントすると、お礼にと「シンプルなトレーナー」をもらいました。あと、マウンテンパーカーをもらったこともあります。仲間たちはみんな義理堅くて優しくて、とても嬉しい! 私(えちごや)もこの世界に馴染んできているかのかな~、と感じています。

 

 でも、えちごやには悩みがあります。

 

 長い間に習慣化されてしまった悪い癖について、です。それは、やっていることに何かと理由をつけたり、目的を探したりしなきゃいけない、と考えてしまうということです。

 

 例えば、あつ森で言えば「あつ森おもしろい。心地良いなぁ」と感じているときに、悪い癖である「それはなぜか。考えて文字にして残さなきゃ」が顔を出します。「それ、必要なの?」と自分に言いたいです。

 

 また、例えばこうです。

 

「あつ森。ほぼ毎日、少しだけするのが良い。あまり長くならない方が良い」と思うときに出る悪い癖は、「どのくらいの時間プレーしたとき、どう感じたかを記録する。時間の長さと気持ちの傾向がわかるように。ちょうど良い時間とその理由を突き止めよう!」と。「本当にそれ必要なの?」と自分に……(以下略)。

 

 細かいことでは「今日は島の全員と会話をしよう」「手持ちのお金を20000ベルまで増やそう」「今週中に家を建てよう」など……。無意識のうちに目標を設定してしまったり、そんなことばかりです。

 

 なぜ? どうして? 調べなくては! どうしてもこうなってしまうのです。そんな自分に気がついて驚愕です。

 

(写真:えちごやのプレー画面より。©Nintendo)

 やることなすことに意味を求め、行き先を設定し、成果を想定し、目標を数値化し、期限を設ける。さらに質が悪いのは、始めたことは途中でやめてはいけない。もし万が一やめるなら立派な理由が必要だ、とも考えてしまいます。

 

「この世界に馴染んできたかな~」と自然の感情が湧いているあつ森に、それって必要なんですかね。心の中で私は「そんなの、いらねー、いらねー!」と叫んでいます。

 

「eスポーツ」を始めた初期の目的を考えると、eスポーツのことをお話できるようになるにはまだまだ時間が必要です。それを「いつまでに!」としていたのがこれまでの私。でも、そういう期限は今回は決めないことにしようかと考えています。

 

 せっかく未知の世界であるeスポーツなんだから、私も未知の世界へ(大袈裟だな!)。せっかくだから、もっと自然にハマってみようと思っています。そうeスポーツ沼の中へ。

 

 気持ちの赴くままにコントローラーを手に取り、いつ止めても良い。そうしてみたら、わたしのあつ森はどうなるのでしょうか。いつもの自分とは違う私としてつきあうあつ森、そしてeスポーツ。次回以降のご報告もお楽しみに(いつになるか、まだ決めていませんけれど・笑)。

 

伊藤数子(いとう・かずこ)プロフィール>

新潟県出身。パラスポーツサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。スポーツ庁スポーツ審議会委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問。STANDでは国や地域、年齢、性別、障がい、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するための「ユニバーサルコミュニケーション事業」を行なっている。その一環としてパラスポーツ事業を展開。2010年3月よりパラスポーツサイト「挑戦者たち」を開設。また、全国各地でパラスポーツ体験会を開催。2015年には「ボランティアアカデミー」を開講した。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ~パラリンピックを目指すアスリートたち~』(廣済堂出版)がある。

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