(写真:ここまでFBで起用されている竹山。キッカーも任されるチームの得点源 Photo by S.IDA)

 帝京大学の大学選手権10連覇に注目が集まる2018年度の大学ラグビー。9月からシーズンが開幕し、各地で熱戦が繰り広げられている。

 

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 対抗の一番手・明治大学

 

 ストップ・ザ・帝京。

 

 関東大学対抗戦は、帝京の「鉄板」とは言い難い。評価を高めているのが今季ヘッドコーチから昇格した田中澄憲監督率いる明治大学だ。

 

 昨年、大学選手権決勝で帝京に1点差で敗れ、悔し涙を流した。だが今年4月30日の練習試合では17-14と勝利し、8月14日にも21-19で振り切っている。

 

 田中メイジが掲げるのは①デンジャラスアタック②ハンティングディフェンス③ドミネートセットピース④スマッシュブレークダウン⑤フラッシュトランジションという5本柱だ。田中監督と明治、サントリーでの同期だった伊藤宏明氏をバックスコーチに招聘。春、帝京に勝利できた要因のひとつに、バックス陣がボールを奪うハンティングディフェンス、素早い攻守の切り替えを意味するフラッシュトランジションがあった。練習にレスリングを取り入れるなど、田中改革の成果が形となってあらわれたと言える。

 

 重戦車をまとめるFLの井上遼(4年)、チームキャプテンを務めるSH福田健太(4年)のリーダーシップで勝負強い試合を続けており、「ストップ・ザ・帝京」の一番手と言っていい。

 

 ここまでチームは4連勝。11月4日に帝京を苦しめながらも敗れた慶應義塾大学と、そして18日に帝京と対戦する。大学選手権を占う意味でも、しっかり勝っておきたいところだ。

 

 創部100周年のメモリアル早稲田大学

 

(写真:混戦模様の大学ラグビー。天理大学をはじめとした関西勢にも注目だ)

 明治と並んで打倒帝京に燃えるのが創部100周年の早稲田大学である。明治に負けず劣らず、こちらの評判もすこぶるいい。

 

 8月19日の練習試合では28-14と帝京にダブルスコアで勝利。むしろ明治以上のインパクトを残した快勝劇であった。相良南海夫新監督のもと、ディフェンス重視の姿勢でチームづくりを進めてきた。

 

 武器は伝統の「展開」にある。

 SHの齋藤直人(3年)は6月にサンウルブズの候補生となるなど、日本代表を狙う存在。豊富な運動量とパスセンスに秀でており、キック能力も高い。齋藤を中心に、CTB中野将伍(3年)、U-20日本代表WTB古賀由教(2年)、SO岸岡智樹(3年)ら、バックス陣にタレントがそろう。

 

 FWもFL佐藤真吾キャプテン(4年)を筆頭にこちらも強力。彼らの踏ん張りから「展開」を活かす、ワセダらしいラグビーを目指している。

 帝京、明治とともにここまで4連勝。11月4日に、帝京との大一番が待っている。

 

 依然として本命は帝京大学

 

 一方、関東大学対抗戦8連覇を目指す絶対王者・帝京。練習試合では明治、早稲田に敗れたことがニュースになったが、混戦の様相の中でも「本命」であることに変わりはない。

 

 楽しみなのは、「若い力」だ。

 CTBニコラス・マクカラン、WTB木村朋也、SO北村将大、LO久保克斗らはいずれも2年生。春、夏を経て、ひと伸びしてきた。1年生にも、セブンズの代表合宿に参加したWTB西川虎哲も楽しみな存在だと言える。

 

 とはいえLO秋山大地キャプテン(4年)を筆頭に、バイスキャプテンNo.8ブロディ・マクカラン(4年)、FB竹山晃暉(4年)ら上級生がうまく引っ張っている印象がある。

 

 10月21日、全勝対決となった慶応大学戦では竹山のショートパントから北村のトライが生まれるなど、巧者ぶりを発揮している。

 

 帝京の強みは、勝者のメンタリティーと経験値。そして百戦錬磨の岩出雅之監督が、どうチームを仕上げていけばいいかを熟知していることだ。試合巧者ぶりも光る。11月4日の早稲田戦、18日の明治戦が今年の大学ラグビーを占う重要な一戦となる。

 

(写真:1994年度以来の大学選手権優勝を目指す大東文化大学 Photo by S.IDA)

 関東大学リーグは大東文化大学、関西Aは天理大学が優位

 

 一方、関東大学リーグ戦は昨季優勝した大東文化大学が一歩リードか。

 自慢のFW陣は今年も健在。4年生のLOタラウ、No.8アマトの双子のファカタヴァ兄弟が支え、フロントローにHO平田快笙キャプテン(4年)、PR古畑翔(4年)らパワーがある選手がそろう。スクラムの優位は、大きなアドバンテージだ。

 

 10月28日には法政大学に54-36で勝利し、唯一5連勝をマークしている。ライバルとなる流通経済大学とは11月10日、東海大学とは25日に対戦する。

 目標は大学選手権優勝。昨年は準決勝で明治に敗れており、日本一に向けて士気が上がっている。

 

 関西大学Aリーグに目を移すと、こちらもディフェンディングチャンピオン天理大学が優位に立つ。

 

 セットプレーの強さは今年も健在。早稲田の齋藤らとともに今年4月のNDS(ナショナル・デベロップ・スコッド)キャンプのメンバーに選ばれたNo.8ファウルア・マキシ(4年)、U-20日本代表にも選出されたLOアシペリ・モアラ(1年)、らを擁し、FWは充実一途。バックスにもU-20日本代表でプレーしたSH藤原忍(2年)が存在感を発揮しており、バランスのいいチーム構成だ。ここまで3試合を消化して225得点、7失点は他を圧倒。優勝候補筆頭らしい戦いぶりを発揮している。

 

 帝京一強から、群雄割拠の時代へ。

 どの大学が勢いをつけて、大学選手権に駒を進めてくるか。

 ライバル同士がぶつかる11月決戦から目が離せそうにもない。

 

 J SPORTSでは「ラグビー 関東大学対抗戦2018」、「ラグビー 関東大学リーグ戦2018」、「ラグビー 関西大学リーグ2018」を放送中!

 

 

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ラグビー 関東大学対抗戦2018

11/4 (日) 11:20~13:50 明治大学 vs. 慶應義塾大学 J SPORTS 1

11/4 (日) 13:50~16:00 帝京大学 vs. 早稲田大学 J SPORTS 1

11/18 (日) 13:50~16:00 帝京大学 vs. 明治大学 J SPORTS 3

11/23 (金) 13:50~16:00 慶應義塾大学 vs. 早稲田大学 J SPORTS 1

 

ラグビー 関東大学リーグ戦2018

11/10 (土) 11:20~13:50 法政大学 vs. 東海大学 J SPORTS 1

11/10 (土) 13:50~16:00 大東文化大学 vs. 流通経済大学 J SPORTS 1

11/25 (日) 11:20~13:20 流通経済大学 vs. 法政大学 J SPORTS 4

11/25 (日) 13:50~16:00 大東文化大学 vs. 東海大学 J SPORTS 4

 

ラグビー 関西大学リーグ2018

11/24 (土) 11:50~13:53 立命館大学 vs. 関西学院大学 J SPORTS 4

11/24 (土) 13:53~16:00 京都産業大学 vs. 天理大学 J SPORTS 4

11/25 (日) 11:50~13:53 近畿大学 vs. 大阪体育大学 J SPORTS 3

11/25 (日) 13:53~16:00 関西大学 vs. 同志社大学 J SPORTS 3

 

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