(写真:日本代表のHCも務めた名将・内海HCが今季から就任した日立ハイテク)

 第22回Wリーグ(バスケットボール日本女子リーグ)第1週の5試合が20日、東京・大田区総合体育館と愛知・ウィングアリーナ刈谷で行われた。イースタンカンファレンス(東地区)の日立ハイテククーガーズは新潟アルビレックスBBラビッツに112-60で大勝。2戦連続大差で勝利した。東地区では日立ハイテクに加え、この日東京羽田ヴィッキーズを破ったシャンソン化粧品シャンソンVマジックと、前日に富士通レッドウェーブに勝ったENEOSサンフラワーズが開幕2連勝。ウエスタンカンファレンスではトヨタ紡織サンシャインラビッツを下したトヨタ自動車アンテロープスが好スタートを切った。

 

 曽我部、スリー5本含むチーム最多タイの20得点(大田区総合体育館)

日立ハイテククーガーズ 112-60 新潟アルビレックスBBラビッツ
【第1Q】26-23【第2Q】34-14【第3Q】21-12【第4Q】31-11

 

 新生・日立ハイテクが開幕2連勝&大量得点と好発進を切った。

 

 ジャパンエナジー(現ENEOSサンフラワーズ)で指導者キャリアをスタートさせ、数々のタイトルを手にしてきた内海知秀HCが今季から就任した。日本代表としてもオリンピック2大会(2004年アテネ、16年リオデジャネイロ)を経験している名将が指揮を執る。

 

(写真:2戦合計で8本のスリーポイントを成功させた佐藤)

 選手は4人が退団し、移籍組が4人、新人が3人と大きく入れ替わった。シャンソン化粧品からのCF谷村里佳、トヨタ紡織からのCF佐藤奈々美は今年度の日本代表候補に名を連ねている。実力者が加わり、選手層の厚みは増した。

 

 開幕戦は91-50で大勝し、迎えた第2戦目も攻撃陣が好調だった。第1Qは新潟CFロー・ヤシンの強さに苦しめられ、26-23と競ったものの、Qを重ねるごとに点差を広げていった。スリーポイントが面白いように決まり、第2Q終了時点で23点差。後半に入っても、攻め手を休めない。終わってみれば112-60と前日を上回る得点、点差で圧勝した。

 

(写真:2戦連続でチーム最多得点を挙げた曽我部。攻守に渡る活躍が光った)

 PG曽我部奈央はスリーポイント5本を含むチームトップタイの20得点を挙げた。キャプテン北村悠貴はGにFにとマルチな活躍ぶりで、14得点9リバウンド6アシストだった。新戦力の2人も実力をアピール。谷村はインサイドで力強さを発揮し、14得点9リバウンドを記録した。佐藤は曽我部と並ぶ5本のスリーポイントを含む20得点。スターター全員が2ケタ得点を挙げた。

 

 リーグ戦が中断、中止となった昨季は9位の成績。2012年度からWリーグに昇格以降は下位が続いている。昨季の1試合平均57.69点はリーグワースト2位。攻撃力が課題であることは明白だった。上位進出へ課題克服を大きくアピールした2試合となった。

 

(写真:力強い突破を見せる谷村。インサイドでの頑張りが新潟の守備陣を苦しめた)

 185cmを超えるビッグマンがいなかったが、谷村、Cダラーメ・マレム・ドイが加わった。2人を含めると新加入の7人中4人が180cm以上。サイズはアップした。対戦した新潟の宮坂桃菜が「私たちは小さいチーム。大きいセンターがいるのに対して中ばかりケアし過ぎて外に振られるパターンが多かった」と試合を振り返れば、ロー・ヤシンは「去年と比べてサイズがアップし、シュート力も上がっているなと感じました」と日立ハイテクの印象を語った。

 

 昨季も2勝を挙げた新潟戦だが、いずれも接戦(57-64、67-66)だった。2戦とも50点以上の差をつける圧勝。中に外にと、人もボールもよく動いた。2戦合計でFG成功率は54%を誇り、207得点と荒稼ぎした。昨季までとの違いを北村がこう語る。

「挙げたらキリがないくらい変化のシーズン。選手、スタッフも替わり、昨日今日の試合を観ていただければわかると思うのですが、プレーも全然変わった。新たな日立ハイテクを楽しんでもらいたい」

 

(写真:キャプテン2年目の北村。20年度の日本代表候補に選出されている)

 北村は現在のチームの強みに総合力と順応性を挙げる。

「2ケタ得点できる選手がスタートに4人以上いる。それにいろいろなチームから選手が集まってくる中、それらの選手を受け入れられるところが強み」

 新加入の佐藤も、層の厚さに自信を持っている。

「プレータイムが少なくても次に出てくる選手がしっかり活躍してくれる。チームとしても控えが出てもレベルが下がることがない」

 

 次週は同じく開幕2連勝スタートのシャンソン化粧品と東京・アリーナ立川立飛で2連戦だ。「自分たちのバスケットが崩れないようにコミュニケーションを取りたい。1シーズン通してチームで戦っていけるように頑張ります」(北村)。進化の真価が問われる連戦となりそうだ。

 

(文/杉浦泰介、写真/©Wリーグ※写真はすべて9月19日の試合)