(写真:根塚のトライなど後半4トライを挙げて逆転勝ちを収めたスピアーズ)

 1日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1」第15節が各地で行われ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイがNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安を40-13で破った。

 

 スピアーズとシャイニングアークス。チーム名に千葉県のまち、東京ベイを冠するが、今シーズンの歩みは対照的だ。リーグ2位でプレーオフトーナメント進出を決めているスピアーズに対し、シャイニングアークスは前節ようやく入れ替え戦圏内を脱したという状況だ。

 

(写真:ラインアウトは安定していたが、前半はハンドリングエラーやペナルティーが目立った)

 会場となった江戸川陸上競技場、通称・江戸陸でスピアーズは今季4戦負けなし。昨季はリーグ戦&プレーオフトーナメントで3勝、一昨季はカップ戦で1勝と目下8連勝中だった。験のいいホストスタジアムに試合前、No.8バツベイシオネは「いつも特別な場所。ホームグラウンドでやることによってエネルギーも生まれる。ファンの方々はいつでも、どんなところでも応援してくれる」と語っていた。

 

 小雨がパラつく中、正午すぎにキックオフ。序盤試合を優位に運んだのはビジターのシャイニングアークスだった。前半3分、CTBシェーン・ゲイツがトライ。急遽出場となったSOグレイグ・レイドローがコンバージョンキックを決め、7点をリードした。6分にはレイドローのPGで、10-0と差を広げる。

 

(写真:フォーリーと共にゲームをコントロールした藤原。今季は若手の活躍が目立つ)

 強まる雨足のせいか、スピアーズのハンドリングエラーが目立つ。敵陣まで攻め込みながら、ペナルティーでチャンスを逸する場面もあった。それでも24分に大卒ルーキーWTB木田晴斗がリーグワン初トライを挙げるなど、点を返し、8-13でハーフタイムを迎えた。

 

 雨が止み始めると、流れはスピアーズに。後半4分、敵陣に侵入し、最後はFBゲラード・ファンデンヒーファーが飛び込んだ。さらにSOバーナード・フォーリーがコンバージョンを成功し、15-13で逆転した。こうなるとスタンドの“オレンジアーミー”の後押しを受け、更なる猛攻を仕掛ける。

 

 12分、フォーリーのキックパスをキャッチした大卒ルーキーCTBハラトア・ヴァイレアがインゴール右隅にトライ。木田に続き、ハラトアもリーグワン初トライだ。17分と19分にはフォーリーがPGで着実に加点し、26-13とダブルスコアに乗せた。

 

(写真:オフロードパスを受け取る根塚。「ナードはひとつひとつのプレーに余裕がある。心強い」)

 フォーリーは30分にオフロードパスでWTB根塚洸雅のトライをアシストした。今季度々見られる2人のホットライン。「ナード(フォーリー)が仕掛けた時はオフロードパスを狙っている。練習でもチャレンジしてやっていること」と根塚。抜け出してインゴールに滑り込んだ。フォーリーはその4分後に自らインゴールに運んで点差を広げた。終わってみれば、40-13の快勝でノーサイドの笛を聞いた。

 

(写真:後半はシャイニングアークスを無得点に抑えた。キャプテンの立川も「自信になる」と手応え)

 キャプテンのCTB立川理道は試合後、こう胸を張った。

「前半は厳しい戦いでしたが、ハーフタイムのロッカーでゲームプランを話し合いながら後半調整できた。しっかり最後(リードを)離すことができ、インパクト(途中出場)の選手たちが自分たちの仕事をしてくれた。チームとして成長できている実感がある」

 

 スピアーズはホストゲーム最終戦を白星で飾った。江戸陸の不敗記録を継続。FL末永健雄は「毎試合、スタジアムをオレンジに染めてくれている。その応援に応えようという気持ちでプレーしていますし、すごく力になる」と口にした。その想いは立川も同じだ。

「これで9戦無敗。チームにとっていいイメージを持っているホストスタジアムです。結果を残せていることが自信になっていますし、来季も引き続き結果を残せるよう頑張りたいです」

 

(写真:改善されたピッチ環境。月1でファンとの意見交換の場を設け、運営の“NEXT LEVEL”も目指す)

 チームが今季のスローガンである“NEXT LEVEL”へと向かう一方で江戸陸も“NEXT LEVEL”を目指している。今季からインゴール内とタッチライン際の芝は張り替えられた。前節からは短かったゴールポストを市原市の競技場から借り、一般的なラグビーゴールの高さとなったことで、キックの成否が分かりやすくなった。観客動員数も昨季の1試合平均2183人から今季は3294人と5割も増えた。この試合に合わせて制作された限定グッズもほぼ完売。今後のスピアーズの進化と共にホストスタジアムの変化にも注目だ。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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