4月に入ったが、「K-1」「DREAM」「SRC」といった日本のメジャー格闘技団体の今年の年間大会開催スケジュールが、まだ発表されていない。次回大会の開催も決まっておらず、ファンは待ち疲れ、選手たちは不安な気持ちで日々を過ごしている。
(写真:国内の大会が未定で、米国でのタイトルマッチに挑む川尻)
 そんな中、昨年の『K-1 MAX』日本王者で昨年の大晦日、ミックスルールの下、青木真也をKOした長島★自演乙★雄一郎は、プロレスのリングに上がることを決めた。そして、『DREAM』軽量級の主役の3人、青木、川尻達也、高谷裕之は、4月9日(日本時間=4月10日)、米国カリフォルニア州サンディエゴにあるヴァレービューカジノ・センターで開催される『Strike Force(以下SF)』に参戦する。

『DREAM』『SRC』が以前のように定期的に大会を開けない状況が続けば、日本のトップクラスの総合格闘家たちは今後、海外に戦場を求めていくことになるだろう。
 さて、4・9のSFだが、メイン及び日本人が絡む対戦カードは次の通りだ。

▼メインイベント/SFウェルター級(77・18キロ以下級)タイトルマッチ=5分5ラウンド
ニック・ディアス(王者/米国、シーザー・グレイシー柔術アカデミー)VS.ポール・デイリー(挑戦者/米国、チーム・ラフハウス)
▼SFライト級(70・3キロ以下級)タイトルマッチ=5分3ラウンド
ギルバート・メレンデス(王者/米国、ジェイク・シールズ・ファイティングチーム)VS.川尻達也(挑戦者/T−BLOOD)
▼ライト級(70・3キロ以下級)=5分3ラウンド
青木真也(DREAMライト級王者=パラエストラ東京)VS.ライル・ビアボーム(米国/ファンシー・パンツ・ファイトチーム)
▼フェザー級(65・77キロ以下級)=5分3ラウンド
高谷裕之(DREAMフェザー級王者=高谷軍団)VS.ロバート・ペラルタ(米国)

 昨年の大晦日に屈辱の敗北を喫したとはいえ、青木は、DREAMライト級のチャンピオンである。高谷も同じくDREAMフェザー級王者だ。相手のビアボーム、ペラルタは各々、実績のある強者だが、米国のファン、関係者から値踏みされるこのノンタイトル戦で負けるわけにはいかない。青木も高谷も、アウェイ、ケージでの闘いをすでに経験しており、その対策も十分だろう。米国で、その強さを改めてアピールし、今後につなげるつもりだ。

 川尻にとっては、初の米国での試合、そしてケージの中で闘うのも今回が初体験になる。だが、いきなりタイトルマッチ……勝負をかける。メレンデスは、昨年4月に青木に勝利しており事実上のDREAM、SFの統一チャンピオン。4年余り前に一度敗れている相手との再戦でもあり、厳しい闘いが予想されるが、川尻もすでに十分に力をつけている。昨年の大晦日には、SFライト級ナンバー2と目されるジョシュ・トムソン(米国)にも勝利しており、いまなら打ち合っても王者と互角に渡り合える。

ただ王者のメレンデスは、ケージでの闘い方を熟知している。彼は、川尻の打撃をステップを駆使してかわしながら自らのペースに持ち込もうとするだろう。闘いの主導権を握られては勝つのは難しい。いかに王者のペースを崩すかが川尻にとって大きなカギとなる。決して器用なタイプではないものの地道な努力でチャンスを掴んだクラッシャー川尻の渾身の一撃に期待したい。
 この試合の模様は、「スカパー!」のペイ・パー・ビューで4月10日午前11時から生中継される。

 最後に2月のSFでアントニオ・シウバ(ブラジル)にTKO惨敗を喫し引退が噂されていたエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)だが、どうやら再起を決意したようだ。
「今年中にはもう一度、闘いの舞台に立ちたい」
 そう周囲に話しており、すでにトレーニングを再開している。今後のヒョードルの動向も見守りたい。

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近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実〜すべては敬愛するエリオのために〜』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー〜小林繁物語〜』(竹書房)ほか。最新著『キミはもっと速く走れる!』(汐文社)が好評発売中。
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