羽生結弦が氷上で見せた“照れ隠し?” ~Echoes of Life~

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 プロフィギュアスケーター・羽生結弦は9日に行なわれた「“Echoes of Life” TOUR」千葉公演(船橋市内LaLa arena TOKYO-BAY、千秋楽)のアンコールで、マイクを手にこう語った。

 

「世の中、苦しいこともたくさんあるし、人生は綺麗ごとばかりじゃない。そのことは皆さんが一番わかっていらっしゃるはず。突然起きた苦しいことや突然、希望が失われたり……。そういうことは世の中にたくさんあると思います。でも、皆さんはここにいて、これ(Echoes-)を見て、これを聞いている。

『Echoes-』が皆さんの人生にとって、生きるきっかけになったらなと思います。本当にありがとうございました。

 重たい話をしました。でも、伝えたいことはストーリーに詰め込んでいるので今更、蛇足かな? と思いつつ、自分自身も感極まっていて、今一度言葉で説明しました」

 

 そして、続けた。

「ということで、こんな重たい話をした後ですがアンコールをやりたいと思います」

 

 会場が歓声と拍手に包まれた。このツアーのアンコール1曲目「Let Me Entertain You

」は観客が一緒になって手を左右に振り、楽しむプログラムだ。通常通りの進行ならば、羽生はマイクを使い、この振り付けの説明をする。

©Echoes of Life Official

 彼はこの日、拍手がやむとこう口にした。

 

「……氷が綺麗だなぁ」

 

 そのあとも、「セットはどうでした?」と観客に呼び掛けた。

「すごいなぁと思って。今までのアイスストーリーでもこれだけのステージや美術関係、ここまでの舞台を作ってもらったことはなかった。みんなで気合いを入れて、“ああでもない、こうでもない”と言いながら、作っていただきました。スケーターからすると、(氷上とアリーナの床の境目が氷上と同じ)白なので、どこまでがリンクかわからない(笑)」

 

 実際、職人たちにより張られた氷は綺麗だった。美術セットも荒れ果てた荒野と、遺伝子を操作する研究室の世界観を見事に表していた。

 

 しかし、これらの一連のくだりは羽生なりの照れ隠しだったのではないか? と思った。重たい話をした後で、少々恥ずかしくなり、閑話を挟んだのでは? と記者席でクスッと笑ってしまった。

 

 本人が言うには振り付けの説明も「回数を重ねるごとに雑になっている」。それもまた照れ隠しかもしれない。

 

「僕はスケートで表現するのが得意で、日本語で表現するのは難しいなぁ」と羽生。氷上でチャーミングな一面をのぞかせ、「Echoes-」の千秋楽は幕を閉じた。

 

((((文/大木雄貴))))

 

 

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