20年目のサッカー・Jリーグが開幕した。今年も各地で優勝や昇格、降格を巡って熱戦が繰り広げられるはずだ。90分間、激しくピッチを動き回る選手たちを、実は山本化学工業のバイオラバーマットが支えている。「あるJクラブでウォーミングアップの際にバイオラバーのマットを敷いてストレッチをしたら、通常のマットで行うよりも筋肉の動きが良くなり、要する時間が半分ほどに短縮された。それから効率がいいということで、ここ10年ほど使っていただいています」と山本富造社長は明かす。

 このバイオラバーマットを活用したランナーズサロンが都内に、このほどオープンした。東京タワーのフットタウンに完成した「LOVESPO」だ。都内を走る市民ランナーの拠点となるだけでなく、専属スタッフがトレーニングやアフターケアの方法についてもアドバイスしてくれる。そんな施設の床面の一部にバイオラバーマットが使われているのだ。

「トップアスリートと違って、市民ランナーの中には走り終わった後のクールダウンが不十分な人が少なくない。走った後、バイオラバーマットの上でくつろいでもらえれば血流が良くなり、クールダウンの効果が高まります」
 クールダウンが不足すると、疲労が蓄積したり、故障にもつながりかねない。山本社長はバイオラバーによって、多くのランナーが楽しく走れるサポートができればと思っている。

 そして山本化学工業では、バイオラバーと、前回紹介した“ゼロポジションベルト”を組み合わせた“ゼロポジションクリニック”を2月から開設した。これはスポーツ施設や介護施設などを対象に、参加者を募り、セルフメディケーションの能力を向上させることを目的にしている。

「我々の言う“ゼロポジション”とは正常な状態であることを意味しています。バイオラバーを使ってもらうことで、血流を良くして体温を上げ、低体温を解消させる。またゼロポジションベルトを使ってもらうことで骨盤のひずみを矯正する。体を正常な状態に近付けて、健康的な生活を送ってもらえればと考えています」

 近年、医療費の高騰が問題となっている中、病気をいかに予防するかが、ひとつの社会的テーマとなっている。山本化学工業の新たな取り組みは、その一助となるはずだ。当面は関西を中心に月に5、6回ペースでセミナーを行う予定だが、既に実施先の反響は上々だという。

「たとえば介護施設でセミナーをすると、最初は介護される高齢者を対象としていたのですが、介護する側のスタッフにも好評でした。介護スタッフは何と言っても体が資本。高齢者をお風呂に入れたりするのに、足腰や肩ひじにかなりの負担がかかっています。でも、体が痛むからといっても手を離したら相手がケガをしてしまう。介護する側が日々の業務の中で生じている体のひずみをセルフケアできれば、より健康的に仕事に取り組める。それが、ひいては介護される側にもプラスとなるはずです」

 この3月、バイオラバーは日本統合医療学会から健康機器として第1号認定を受けた。これはバイオラバーが人々の健康に役立つことが学会で科学的に認められた証であり、今後の展開への期待の大きさがうかがえる。春からは、このクリニックを全国で展開できるよう、スタッフ増員も考えている。“ゼロポジション”で元気な日々を――。山本化学工業の思いを多くの人に知ってもらい、セミナーに参加してもらうことが、新年度の目標である。


 『一人一億円稼ぐ会社の鉄則』、ダイヤモンド社より出版[/color]
 山本化学工業の取り組みに対する考え方、新しい開発について、山本社長が1冊の本にまとめました。
「イヤなことは一切しない!」「手形は絶対に切らない」「自転車操業もOK」などなど、小さな会社で世界の大企業を顧客に持ち、トップアスリートが「着たい!」と口をそろえるウェア素材を手掛ける会社の哲学が満載です。
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