二宮: お久しぶりです。今回はそば焼酎「雲海」をおともに、ミシェルさんとサッカー談義に花を咲かせたいと思います。
宮澤: 楽しみにしていました! サッカーは深く見ていますから任せてください(笑)。

 勝つサッカーをしていたウルグアイ

二宮: まずはそば焼酎「雲海」をソーダで割ったSoba&Sodaを。
宮澤: 焼酎のソーダ割りですか!? 僕はお酒はソーダ割り派ですが、焼酎では初めてだなぁ。

二宮: いかかでしょう?
宮澤: うまい! 香りもいいですね。この香りをかいで「これがそば焼酎か、ソーダったな」と思い出しましたよ。

二宮: ハハハ。うまい!
宮澤: いえいえ(笑)。ソーダで割るとより爽やかで、飲みやすい。ついつい飲み過ぎてしまいそうです。

二宮: では、さっそくサッカーのお話を。最近の日本代表は守備が破綻しているように映ります。8月のウルグアイ戦では4失点を喫しました。
宮澤: やはり、今のディフェンスではルイス・スアレスとディエゴ・フォルランの2トップは止められなかったですね。彼らは日本の守備陣が怖がることを常に実行していました。

二宮: 怖がることとは?
宮澤: スキがあれば、日本のDFラインの裏でボールをもらおうとするんです。日本の選手がボール保持者にプレスをかけなければ、スッと動き出す。あそこまで徹底的に裏を狙われれば、DFはビクついて統制のとれたラインコントロールができなくなる。逆に裏をとれないと判断すれば、センターバックの吉田麻也、今野泰幸の前でボールを受けて、確実にポストプレーをこなす。無駄な動きがありませんでした。

二宮: 最終的にボール支配率で上回ったのは日本でしたが……。
宮澤: 僕も、いいサッカーをしていたのは日本だと思います。ただ、どっちが勝つサッカーをやっていたかといったら、ウルグアイですよね。

 時にはラインを“ほどく”ことも必要

二宮: 大量失点の原因としてクローズアップされるのはセンターバックです。現役時代、同じポジションで鳴らしたミシェルさんは、ザックジャパン“不動”の2人をどう見ますか?
宮澤: 確かに吉田と今野は最近、ちょっと落ち着きがないように見えます。彼らはラインを高く保つことをコンセプトにしている。でも、ウルグアイの2トップのように、「これは止められない」と感じた相手には、ラインを“ほどく”ことも必要じゃないかな。

二宮: ほどく、ですか?
宮澤: ラインを崩すということですね。ウルグアイ戦でもロングボールに対し、今野が引いて、吉田が前に出てヘディングでクリアする場面はありました。それでいいんですよ。状況によっては組織を崩してでも、危険を防がないといけません。

二宮: 要するに個人の判断でいいと?
宮澤: そのとおりです。そういう判断が臨機応変にできないと難しいですよ。状況を見た時に「今から蹴られるロングボールとこっちから来る相手選手が合っちゃうな」と思ったら、他の選手をマークにつかせて、自分はスッと引いていってスペースをカバーすることも必要ですよね。

二宮: 冷静に裏のケアをできる選手ということですね。このところの吉田は、どうしちゃったのでしょう?
宮澤: 海外に行ったことで、強い相手とバチバチ競り合うだとか、競り合う相手の前に出てボールを奪う能力は、中澤佑二より高くなっていると思います。だけど裏のケアは、昔の僕より弱いんじゃないかな(笑)。

二宮: 吉田はコンタクトが激しいプレミアリーグでプレーしていて、競り合いに強い。ただ、ウルグアイのように間を使われて、リズムを変えられると、ちょっと脆さが見受けられます。
宮澤: それが彼の今後の課題ですね。僕が吉田のプレーを初めて見たのは、彼が18歳の時です。まだ名古屋グランパスのユースでプレーしていたのですが、体を入れてボールを外へクリアしたり、簡単に蹴り出さないで味方を使ったりするのが抜群にうまかった。実際、吉田に「いいサイズ持っているし、お前いいなぁ」と言ったんですよ。未だにフィードもうまいし、いい選手だなとは思います。ただ、今は1人でやる守備を学ばされているのではないでしょうか。「とにかく1人で守りきらないといけない」という独りよがりな守備をやっているように映ります。もっと吉田が周りを使うか、誰かが彼をうまく使ってほしいですね。

 岡田ジャパンの守備力

二宮: アルベルト・ザッケローニ監督はウルグアイ戦の3失点目にも絡んだ吉田を懲罰に近いかたちで交代させました。
宮澤: ミスしてから代えちゃいけないですよ。選手もひとつのミスで動揺してプレーがおかしくなるようなら、もう代表に来ないほうがいい。交代というショック療法が通用するのはクラブチームまでですよ。

二宮: 外すのなら、スタメンからも外して他の選手を試したほうがいいと?
宮澤: 僕はいつも中澤、田中マルクス闘莉王の存在が頭の中にちらつくんです。南アフリカW杯で、世界を相手に耐えきった選手たちですからね。

二宮: 南アW杯の岡田ジャパンは守備的すぎるとの批判もありましたが、ベスト16という結果が出たのは守りが固かったからでもあります。もちろん、次はもう1ランク上の戦い方をしなければならないわけですが……。
宮澤: おっしゃるとおり。世界で勝とうと思ったら、守らなければいけないという原点に最後の最後で戻りましたね。ザッケローニ監督は南アW杯の日本代表を見て、あの守備がいつもできると考えていると思うんです。ですが、あれはもう苦肉の策。阿部勇樹をアンカーに入れ、遠藤保仁、長谷部誠を並べて中盤の真ん中を固める。そして両サイドの大久保嘉人と松井大輔には徹底的にプレスをかけさせたわけです。

二宮: 岡田ジャパンの守備には明確なコンセプトがあったと?
宮澤: そうですね。今のディフェンスはラインの位置だけを高くするということだけで、全体的にはコンセプトが薄く、ふわふわしている。ザックジャパンの魅力は攻撃といわれますが、守備があれだけ揺らいでしまうと、その攻撃力も生かせないと思いますね。

 必死だったJリーグ元年

二宮: 国内に目を移すと、Jリーグが開幕20周年を迎えました。近年のJを見ていて思うのは技術が高い選手は増えていますが、ミシェルさんのようなヤンチャな選手が少なくなりましたね(笑)。
宮澤: アハハハ。確かにそうかもしれませんね。僕らは本当に、命をかけてやっていました。夏場の本当に暑い時も週に2試合を戦っていましたから(笑)。

二宮: 延長戦、さらに決着がつかなければPK戦までこなさなければいけない過酷さでした。
宮澤: もう痩せちゃって、痩せちゃって。どれだけ食べても、体重が増えないんです。

二宮: アマ時代を経験しているから、必死さが違いましたね。ここから成り上がるか、終わってしまうか……。
宮澤: 国立競技場での開幕戦では木村和司さん、水沼貴史さん、ラモス瑠偉さんも試合前に震えて泣いたらしいです。ジェフ市原は開幕戦が広島であったんですが、僕はケガをしていて広島に行けなかった。でも、僕もテレビでヴェルディ川崎対横浜マリノス戦を観て、涙出たよ。「本当に今から、これが始まるのか」と。

二宮: あの頃は日本中が熱狂の渦に巻き込まれていました。
宮澤: 練習にも500人のサポーターが来ていましたからね。日本リーグ時代は試合でも500人集まらなかったのに(笑)。行くところのスタジアムはすべて超満員。冷静に「これはブームでしかない」と思ってはいましたけど、感謝せざるを得ないですよ。だから、足がもげようが、ぶっ倒れようがしょうがない、と心の底から思っていました。そうでなければ、あんな過酷なスケジュールはこなせませんよ。

二宮: だから見ている側も心を打たれたのでしょうね。気づけば1杯目もなくなりそうですね。今もよく飲みに?
宮澤: 行くには行きますが、現役時代と比べると、てんで弱くなりましたね。朝まで飲んでしまったら、仕事ができなくなった。たまたま調子が悪いからかなと4回ほど試してみたんですが、全部ダメでした(笑)。ですから、最近は途中で家に帰るようにしています。

二宮: それは意外ですね。ミシェルさんはお酒が強いイメージでしたが……。
宮澤: おふくろは飲めないんで、僕もそれほど強くはないと思います。あと、期間を空けてしまうといきなり弱くなっちゃうタイプなんです。現役時代もケガをしている時には飲めないので、2週間のリハビリが終わってから飲んだ時はすぐ顔が真っ赤になっていました。だから、奥さんには「酒を2日空けちゃうと、飲めなくなって人づきあいできなくなるから飲みに行くんだ」と言っています(笑)。

(後編に続く)

宮澤ミシェル(みやざわ・みしぇる)
1963年7月14日、千葉県生まれ。フランス人の父と日本人の母の間に生まれる。86年、国士舘大学卒業後、フジタ工業(現湘南)に入社し、翌年、プロ契約を結ぶ。92年、ジェフユナイテッド市原(現千葉)へ移籍。センターバックとして、冷静な読みと激しいプレーを武器にチームを支えた。93年に日本国籍を取得し、アジア大会日本代表候補に選出されたものの、故障のため辞退。96年に現役引退後は、メディアでの解説や講演など、幅広い分野で活躍。全国各地で学生を対象にしたサッカー指導も行っている。


★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと九州山地の清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎の定番です。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
膳・菜・酒「塁」
「魚」と「野菜」をテーマとした新世代和食屋。宮城・気仙沼漁港や神奈川・三崎漁港など、直送で仕入れる魚は鮮度抜群! また秘伝のタレを使った「煮付け」も塁でしか味わえない逸品です。野菜も築地のほかに茨城の契約農家から取り寄せたりと「素材」にこだわっています。京都祇園で修業を積んだ料理長が手掛ける料理もまた必見です。個室も2〜50名様までと宴会はもちろん、大事な御接待にも対応できるようになっております。

東京都千代田区大手町1−7−2 東京サンケイビル地下2F
TEL:03-3276-2321
営業時間:
昼(月〜金) 11:00〜15:00(L.O.14:30)
夜(月〜金) 17:00〜23:00(L.O.22:00)
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◎クイズ◎
 今回の宮澤ミシェルさんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真/鈴木友多)
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