昨日さいたまスーパーアリーナで開催された「DREAM.3」の一夜明け会見が12日、都内ホテルで行われた。会見にはライト級GP2回戦に勝利し、決勝大会進出を決めた川尻達也(T−BLOOD)、エディ・アルバレス(エリートXC/ファイト・ファクトリー)、宇野薫(和術慧舟會東京本部)、また、ミドル級GP1回戦を突破したジェイソン・“メイヘム”・ミラーも出席した。(写真:会見に出席した4選手。左からミラー、川尻、アルバレス、宇野)
 「DREAM.3」でメーンイベントに登場した宇野は石田光洋(T−BLOOD)に2R1分39秒、チョークスリーパーで一本勝ちを収めた。試合前にはあごの骨折で1回戦を欠場しながら、主催者推薦枠で2回戦に出場することに対して非難を浴びていた宇野。しかし、総合格闘技のパイオニアとしての実力を存分に見せつけ、決勝大会(7月21日、大阪城ホール)にコマを進めた。
 宇野は会見で「昨日はメーンイベントで役割を果たせてまずはホッとしています。初めてのDREAMのリングは楽しかったです」と語り、安堵の表情を浮かべていた。

 一方、その宇野に同門である石田を破られ、さらに宇野の“特別扱い”にやはり不快感を示していた川尻は、閉会式で宇野と共にリングにあがった際、「宇野薫選手、俺と戦ってください」とすごい剣幕で詰め寄る場面があった。
 一夜明けて川尻は「昨日のメーンの後に個人的に熱くなってしまい、宇野選手と関係者の皆さん、DREAMのスタッフの皆さんにご迷惑をかけて申し訳なく思います」と謝罪した。だが記者から宇野戦に対して尋ねられると「いちファイターとして宇野選手と戦いたい。でもトーナメントだし、まだもうひとつの枠も決まってないので僕のわがままで決めるわけにはいかない。主催者と宇野選手の気持ち、ファンの声を聞いてから。準決勝でもいいし決勝でもいいので」と宇野に対する執着心もみせた。(写真)

 同じく会見に参加したアルバレスは昨日のセミファイナルで、ヨアキム・ハンセン(フロントライン・アカデミー)を相手に観客のスタンディングオベーションを起こす熱戦を繰り広げた。これを笹原圭一イベントプロデューサーは「DREAM.3」のベストバウトと評価した。決勝大会に向けて「アウェーでの戦いなので、いつも通りのパフォーマンスをしなければいけないし、相手は完全に決めなければならない(と考えるだろう)。もしノックアウトできなくても試合を完全に支配しなければ次は勝てない。それに向けてさらに激しいトレーニングを積んで勝者としてリングに残りたいと思います」と試合への意気込みを語った。また「他の選手に負けないことは?」という記者の問いに「自分の試合を観ている人が感情移入できるような試合をしたい。観ている人の心を勝ち取りたい、それが自分の試合にとって最も大事です」と答え、昨夜の熱戦の理由が垣間みえた。(写真)

 この日、唯一ミドル級からの出席となったミラーは「本当に素晴らしい選手と一緒にDREAMに参戦できて名誉なことだと思っています。私のゴールはチャンピオンになること。この奇妙で変わった私を温かく受け入れてくれた日本の皆さんにお礼を申し上げます」とマウントポジションでピースサインするリングでのクレイジーさとは別の顔をみせた。そして本人が憧れであると明かした桜庭和志(LAUGHTER7)に対して「桜庭和志選手は自分にとって長い間ヒーローでした。だからこのヒーローと戦うチャンスがあるのは自分にとって大きな可能性であり、大きな夢。桜庭選手は今まで一回もタップアウトしたことがないのでそれをとることが夢です」と語り、桜庭戦への強い意欲を示した。

 ライト級GPはアルバレス、宇野、川尻に加えて、6月15日に開催される「DREAM.4」で対戦する青木真也(パラエストラ東京)と永田克彦(新日本プロレス NEW JAPAN FACTORY)の勝者が決勝大会へ進み優勝を争う。「DREAM.1」での青木対カルバン戦のノーコンテストや宇野の主催者推薦枠出場といった因縁が起爆剤となり盛り上がりをみせてきた。今後の「DREAM」の展開から目が離せない。


〜DREAM.3ライト級グランプリ 2ndラウンド〜

<第1試合> ※フェザー級ワンマッチ
○山崎剛(日本/GRABAKA)
2R判定3−0
×昇侍(日本/KIBAマーシャルアーツクラブ)

<第2試合> ※ミドル級GP1回戦
○ジェイソン・“メイヘム”・ミラー(米国/Team Mayhem Miller)(写真)
1R6分57秒レフェリーストップ
×柴田勝頼(日本/ARMS)

<第3試合> ※ミドル級GPリザーブマッチ
○メルヴィン・マヌーフ(オランダ/Show Time)
1R4分8秒TKO
×キム・デウォン(韓国/チーム ユン)

<第4試合> ※ライト級ワンマッチ
○中村大介(日本/U−FILE CAMP.com)
2R1分5秒KO
×チョン・ブギョン(韓国/チーム ユン)

<第5試合> ※ウェルター級チャンピオンシップ代表者決定戦
○ニック・ディアス(米国/シーザー・グレイシー柔術アカデミー)
1R6分45秒TKO(タオル投入)
×井上克也(日本/和術慧舟會 RJW)

<第6試合> ※ライト級GP2回戦
○川尻達也(日本/T−BLOOD)
2R判定3−0
×ルイス・ブスカペ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)

<第7試合>※ライト級GP2回戦
○エディ・アルバレス(米国/エリートXC/ファイト・ファクトリー)
2R判定3−0
×ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)

<第8試合>※ライト級GP2回戦
○宇野薫(日本/和術慧舟會東京本部)(写真)
2R1分39秒チョークスリーパー
×石田光洋(日本/T−BLOOD)