二宮: お久しぶりです。今年はいよいよW杯イヤーです。今回はそば焼酎「雲海」をいただきながら、サッカーにまつわるとっておきの話ができればと思っています。
秋田: お酒はほぼ毎晩、いただいています。焼酎も好きで、水割り、お湯割りで楽しんでいますよ。

二宮: では、1杯目はそば焼酎「雲海」のSoba&Sodaを。
秋田: ソーダで飲むのは珍しいですね。あっ、これは飲みやすい。クセもなく、さっぱりとした口当たりですね。だけど、そば焼酎の味わいもしっかりと出ている。

二宮: この飲み方は女性や、普段、焼酎を飲み慣れていない方にも好評です。
秋田: そうでしょうね。本当に飲みやすいので、何杯でもいけそうです。

 しびれる戦いを体験したW杯

二宮: 日本が初めてW杯に出場したのは98年のフランス大会。秋田さんもセンターバックとしてグループリーグの全試合に出場しました。アルゼンチン、クロアチアの強豪に対して、ともに0−1。あの大会は1勝もできなかったものの、守りは堅かった。クロアチアのFWダヴォール・シューケルもあの決勝点以外はほぼ動きを封じていました。
秋田: 彼はJリーグで対戦したラモン・ディアス選手(元横浜M)と一緒でポジショニングがうまい。決してスピードがあるわけではないのに、相手の裏をスッととってきます。こぼれ球への反応も早かったですね。アルゼンチン戦ではFWガブリエル・バティストゥータ選手とクロスに対してゴール前で競った場面があったのですが、僕が体をぶつけなければ確実にヘディングシュートを決められていました。そういう世界レベルのしびれる戦いを体験できたのは貴重でしたね。

二宮: W杯でしか味わえないドキドキ感があったと?
秋田: そうですね。アルゼンチンのクラウディオ・ロペス選手にしても、スキをみせれば裏を抜けてくる。だから、普通なら体を寄せるところを、わざと50センチくらいスペースを空け、先回りして裏をケアしていたんです。それでも動きが速いのでギリギリのレベルでしたが。

二宮: 井原正巳さんとのセンターバックコンビも2人のプレースタイルが対照的で、いい組み合わせだったのではないでしょうか。
秋田: 井原さんは、どちらかというとズル賢く、相手の動きを先読みして守るタイプ。僕は対人の強さをメインにしつつ、ラインコントロールも意識していました。だから、お互いにすごくやりやすかったと思います。

二宮: 早いもので、あのW杯から16年が経ちます。日本は以降のW杯にすべて出場を果たし、決勝トーナメントにも2度進出する実績を残してきました。ただ、秋田さんのような個性のあるセンターバックは少なくなったように感じます。
秋田: 僕らの頃と比較すると、高校生の年代からレベルが上がって、みんな、うまくなっています。でも確かにセンターバックでインパクトのある選手は少なくなっていますね。

 代表内のライバルは不可欠

二宮: 秋田さんは今のアルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表に田中マルクス闘莉王選手(名古屋)を入れるべきだと主張しています。
秋田: 彼は高さがあるので、相手がパワープレーで点を獲りに来たときに投入すれば、吉田麻也選手(サウサンプトン)とのコンビで守りきることもできます。森重真人選手(FC東京)も投入して、5バックのようにしてもいい。空中戦にも強いですから、センターフォワードとしても使えます。

二宮: 戦術面でのオプションが増えるだけでなく、長年、代表で培った経験も強みになるでしょうね。
秋田: 彼は視野が広いので、後ろからのパスで攻撃の起点にもなれます。最終ラインからのビルドアップでは、闘莉王選手が日本で一番うまいのではないでしょうか。どこに運べば相手がイヤなのか、どうすれば相手の陣形にスキが出るのか、よく見ていますね。ここはまだまだ麻也には足りない部分です。

二宮: 吉田選手はザックジャパンでは不動のセンターバックの地位を占めていますが、不安があると?
秋田: まだプレーに自信がないように見えますね。DFはミスが失点に直結するポジション。ミスが怖くなると、どうしてもプレーが消極的になってしまうんです。こればかりは場数を踏むことでしか自信は芽生えてきません。それに闘莉王選手が代表に入ることでセンターバックの競争も激しくなる。チームを活性化する上では、ライバルとなる選手は絶対に不可欠です。

二宮: 秋田さんにも代表の中でそんな存在がいたのでしょうか。
秋田: 僕の場合は小村徳男さんがライバルでした。小村さんも対人が強いタイプ。だから、競争に勝って井原さんとコンビを組みたいと強く思っていました。たとえば昨年11月の欧州遠征でボランチに山口蛍選手(C大阪)が先発して、遠藤保仁選手(G大阪)、長谷部誠選手(ニュルンベルク)もビックリするくらい動きがよくなりましたね。山口選手の存在が、遠藤選手や長谷部選手の気持ちに火をつけた。

二宮: 代表は活動できる期間が短いですから固定したメンバーで戦うほうが戦術は浸透させやすい。一方でメンバーを固定化しすぎると競争原理が働かず、チームが活性化しない。このバランスをとりながら、チームづくりを進めていくことが重要なのでしょうね。
秋田: それまでのザッケローニ監督は選手への信頼の証として、あまりメンバーを変えずに戦ってきました。吉田選手にしてもミスがあっても、ザッケローニ監督が我慢強く起用する中で、代表のレギュラーを張れる存在に成長してきた経緯があります。これは代表にとっては大きな財産です。しかし、ここからW杯本番で勝負するにあたっては、彼を脅かしたり、場合によっては彼にとって代わるような選手も常に見つけていかなくてはいけません。

 青山、大迫をスタメンで

二宮: ちなみに現状の日本で秋田さんが考える理想の代表スタメンは?
秋田: 最終ラインは内田篤人選手(シャルケ)、吉田選手、森重選手、長友佑都選手(インテル)。ボランチは山口選手、青山敏弘選手(広島)。2列目が岡崎慎司選手(マインツ)、本田圭佑選手(ミラン)に、香川真司選手(マンチェスターU)。そしてワントップに大迫勇也選手(1860ミュンヘン)です。

二宮: ボランチに青山選手というのは意外な人選ですね。その理由は?
秋田: 彼は視野が広く、パスを長短、使い分けてさばける選手です。広島の連覇も彼の力が大きかったと感じます。遠藤選手もいいですが、僕なら青山選手を選びますね。

二宮: ワントップには柿谷曜一朗選手(C大阪)を推す声もありますが、秋田さんは大迫選手が適任だと?
秋田: 大迫選手は得点力が高いだけでなく、ポストプレーもできる。スピードはめちゃくちゃ速いわけではありませんが、ドリブル、ロングシュートと、どんなかたちになっても平均点以上のプレーができます。鹿島で活躍して本人も自信が出てきたはずです。大迫選手が軸になることで、柿谷選手にも負けたくないとの思いが出てくる。それが相乗効果を生んで、柿谷選手を試合に出した際には、もっと力を発揮してくれるとみています。

二宮: 今や日本の大黒柱に成長した本田選手のルーキー時代に秋田さんは名古屋で一緒にプレーしています。当時、こんなにトップスターになると予想していましたか。
秋田: 当時は想像できなかったですね。彼のやろうとしているプレーが、まだ実際にできない部分が多かったのでしょう。トラップも決してうまくなかった。それが今ではくさびのボールが入ったら、ピタッとコントロールして、すぐにパスを出せますからね。「うまくなりたい」という強いメンタリティがあったからこそ、ここまでレベルアップできたのだと感じます。

二宮: 決して天才型の選手ではなく、努力で伸びてきたと?
秋田: その通りです。キック力はあったので、名古屋時代もフリーキックの練習はものすごくしていました。今の本田選手があるのは、人一倍、トレーニングした賜物でしょう。世間的にはビッグマウスでふてぶてしいイメージがありますが、こちらがきちんと話をすれば素直に聞く耳も持っている。藤田俊哉さんや僕の言っていることには納得して理解してくれていましたよ。

二宮: ミランではチーム再建の役割も求められ、大きな期待が寄せられています。移籍後、本人と連絡を取り合ったりしたことは?
秋田: メールで時々やりとりをしていますが、ものすごく謙虚に自分自身を見つめている様子が伝わってきます。たとえば移籍後、初ゴールを決めたコッパ・イタリアのスペッツィア戦では途中交代だったので、「なんでオマエ、交代だったの?」とメールしたら、「それが今の僕に対する評価なんじゃないですか」と冷静に返ってきました。彼は目の前の結果に一喜一憂せず、自分のプレーをちゃんと分析して、首脳陣に実力を認めさせようと考えている。

二宮: いかに自らを客観視し、次の一手を打てるか。スポーツ選手に限らず、成功する人間は“もうひとりの自分”が冷静に進むべき方向をコントロールしていますね。
秋田: 選手がプロとして活躍できるかどうかは、考え方、思考による部分が大きいと思いますよ。思考によって、日々の行動が決まってくるし、その行動の積み重ねが未来を変えていく。本田選手はそういった目に見えないところがしっかりしているから、「将来、こうなろう」という具体的なイメージを持って頑張れる。本田選手の才能は、単なるテクニックだけでなく、こういった考え方も含めてのものだと僕はみています。

(後編につづく)
 
<秋田豊(あきた・ゆたか)プロフィール>
1970年8月6日、愛知県出身。愛知高、愛知学院大を経て、93年に鹿島入り。空中戦と対人の強さを武器に不動のセンターバックとして活躍。鹿島の9つのタイトル獲得に貢献する。日本代表にも95年から選ばれ、W杯にも98年のフランス大会と02年の日韓大会に出場。98年大会ではグループリーグ全3試合にフル出場する。03年オフに鹿島から戦力外通告を受け、翌年は名古屋に移籍。07年には京都に移籍して引退した。その後、京都のコーチや監督、東京Vのコーチ、町田の監督などを務め、現在は解説者。J1通算391試合、23得点、ベストイレブン4回。日本代表通算44試合、4得点。

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
和風ダイニングバー〜采〜
東京都渋谷区桜丘町2−9 カスヤビルB1
TEL:03-3477-1431
営業時間:
昼 11:30〜15:00
夜(月〜金) 17:00〜23:30
夜(土・祝) 17:00〜22:30  
日曜定休

☆プレゼント☆
 秋田豊さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「秋田豊さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は3月13日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、秋田豊さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
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